ニューヨークはメトロポリタンオペラ。
本シーズンの期待の新作フィリップグラスの「アクナーテン」を昨晩、観に来ました。
11月より公開して、先週メトライブビューイングの撮影を終えたところですが、公演は本日を含めてあと3回。
当然の様に本日のチケットも完売でした。
アクナーテンは、紀元前14世紀のエジプト新王国時代の第18王朝のファラオ。
エジプト三大美女で、胸像で有名なネフェリティティを妻に持ち、アマルナ革命によってテーベよりアケトアトンに遷都し、エジプトの太陽神アテン信仰を強く押し進めたが、従来のアモン神信仰を推し進める神官たちの反逆に会い革命は失敗しました。
彼らの娘の一人があのツタンカーメンと婚姻しましたので、ツタンカーメンの義父でもあります。
僕はエジプトの考古学博物館でもネフェリティティの胸像を観ましたし、2010年には彼のミイラのDNA鑑定も終わり、本人確定したのです。
ここまでが僕の世界史の知識。
アクナーテンについては、アガサ・クリスティが小説にも残していますよね。
この話を元に、フィリップグラスがオペラを作り、今回METで初演出となったのです。
主役アクナテンのアンソニー・ロス・コスタンゾはカウンターテナー。
メロディはほとんど無く、古代エジプトを彷彿させる独特のハーモニーと、ヘブライ語などを含む多言語で物語は進行します。
さらに、この舞台の演出を特殊な世界観を持たせているのが、12名のジャグラーによるパフォーマンスです。
初演の時はMETでも賛否両論があったそうですが、途中の休憩シーンでは、こんな演出観たことない。
まさにアメージングだとの声も聞こえました。
僕はボックス席で観ていたのですが、第一幕が終わったときに、あまりの不思議な演出に呆気にとられて、茫然としていたところ、後ろのおばあさんから、あのアクナーテンの即位のシーンは、どう思う?と声をかけられました。
ただただ驚きましたよ、と答えるのが精一杯でしたが、いや、頭がぐるぐるしてしまう、すごい経験でした。
こちら、2020年2月21日(金)~2月27日(木)のメトライブビューイングでも上映されますので、頭の整理のためにも、もう一度観に行きたいと思います。