自然科学系の学問と違って勝つための戦略は数える程なのに、それでも経営が面白いところは、時と運により百社百様の戦術を展開して、時には一発逆転勝利が狙える事なのでしょうね。
追いつめられてボロボロになっても、追いつめられたからこそ絞り出された知恵により起死回生の一手を打ち息を吹き返すこともある。
思いがけないトラブルに見舞われて倒れても、それが何かのヒントをもたらし、それまで以上に大きくなることもある。
もちろんその逆もあるわけですが。
答えがバラエティに富んでいるので創意工夫で何通りも挑戦できるのが、経営の醍醐味なのだろうな、と人生の先輩ともいえる様々な経営者の方々とお目にかかってお話を伺うと、そんなことを思います。
そして、50歳を目前に若輩者ながら確実に僕が理解したことはと言えば、
ではその目指す「勝利」とは一体どこにあるのか、ということが経営者自身の中でも時や経験の熟成の中で形が変化していくということです。
戦略も、勝利そのものも、有機的で粘土細工のように形状変化するものなのですよね。
病院というカテゴリーの中のささやかなクリニック経営をしていますが
経営者として自分はクリニック経営には向いていないんじゃないか。
医療に関してはどこかの研究施設で研究者に徹し、それとは別に自分の好きな機器やテクノロジーをテーマにした企業を別に作り、その経営者になることを考えたほうが良いんじゃないか。
この点を随分悩みながらもう15年以上経ってしまいました。
クリニックの目指す勝利は、ゴールにたどり着くことではなく、患者さんとの間の関係構築と維持にある、という結論に最近辿り着き、それにより少し肩の力は抜けたかもしれませんね。