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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

藤田全健先生の投稿で知って読んでみた本

リアルでもお世話になっていて、何より日本を代表する若手ピアニストの藤田真央くんのお父さんである藤田全健先生の投稿で知って読んでみた本。

非常に面白かったです。

作者曰く、日本人にとって最も人気の高く、世界レベルの演奏というスタンダードを作り上げたピアニストは、ショパンコンクールの勝者であるマウリツィオ・ポリーニ(1942年)と、マルタ・アルゲリッチ(1941年)なのではないかと。

そのどちらもが突破したショパンコンクール。

このコンクールの第一位だけは、まだ日本人が得ていない称号なのです。

ポリーニとアルゲリッチは同じ1960年台のショパンコンクールの覇者ではあるのですが、二人の演奏スタイルはかなり異なっています。

ミラノ出身のポリーニは、完全無欠の完璧な演奏をするタイプ。

1960年のショパンコンクールの圧倒的な勝者となったのち、8年もの間身を潜めて、他のピアニストに師事したり、ミラノ大学で物理学や美学を学んだ好学者。

僕の一押しポリーニの音源は、あえてショパンを外しますが、1995年に録音されたブラームスピアノ協奏曲第二番。

クラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏ですが、理知的なポリーニは、ブラームスを演奏すると光ります。

ぜひお勧めします。

一方、アルゼンチン出身のアルゲリッチは、1965年のショパンコンクールでそれまでの女性ピアニストの印象を一掃した情動的な演奏家。

父親の違う三人の娘を設けるなど、音楽以外の点も話題となりましたが、そこがまた彼女の魅力でもあるのです。

僕のおすすめする音源は、チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番/ラフマニノフピアノ協奏曲第3番のカップリングCD。

リッカルド・シャイー指揮、ベルリン放送交響楽団 。

まだ若きアルゲリッチが弾く超難曲のラフマニノフピアノ協奏曲第3番はまさに究極の甘美な演奏で、伝説のホロビッツの同曲の演奏とともに、最も聴いていた演奏でした。

畢竟、このような天才的な演奏家たちが60年代に現れてしまったため、僕が高校生の時はLPレコード(当時は)を超える生演奏を聴けることは、おそらく無いなあと思っていたのです。

時は流れて、現代。

こちらの本にも記載がありましたが、ピアニスト中村紘子さんが、「藤田真央くんのラフマニノフの協奏曲3番に恋しちゃった」とコメントされていますが、僕も真央くんの演奏を初めて聴いたときには、今までの既成概念をひっくり返すような、革命的な衝撃を受けました。

僕は、世界レベルに行ってしまった真央くんの、単なる生演奏の追っかけファンですね。笑。

プレッシャーを与える気持ちは全く無いですが、期が熟したときにショパンコンクールに挑戦して、日本人としての初めての栄冠を勝ち取ってきてほしい。

1クラシックファンとして、つとにそう思います。


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