TakahiroFujimoto.com

HOME MAIL
HOME PROFILE BOOKS MUSIC PAPERS CONFERENCES BLOG MAIL CLOSE

BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

ゼロの概念

実はひとつご縁あって、来年度より開校するとある経営大学院にある医療系MBA講座で講師を助教授待遇で頼まれてもらえないか・・・というお話を頂いています。講座は一定期間しかも土日に限定された講義なので、クリニックの院長と兼任も可能だというお話です。僕は学術の世界が好きなので、こういうお話を頂けるのは素直に嬉しいですね。時間やタイミングなどがうまく合えば自分に出来ることはしたいと思ってます。

その講師会が今日開かれ、仕事の合間に初めて参加してきました。この経営大学院は海外の大学の日本分校なので会議は英語で行われたのですが、ファイナンス系の講師として召集がかかった面々に、インド人が多いのには驚きました。インドは21もの言語が存在するため、会社などの公共の場で働くときは、ほとんどは英語(一部ヒンドゥー語)の会話になるのだそうです。どうりで英語が上手いわけだと感心していたのですが、ファイナンスといえば、やはり数学の知識は切り離すことが出来ません。

今のアメリカのITのシステムエンジニアは、インド人の比率が非常に高いとか。インドの数学教育のレベルは非常に高いことを思い出しました。インド人は九九を、20×20の段まで憶える事が義務付けられています。日本の九九の実に4倍! それだけでも膨大な記憶量が必要ですよね。

数学においては、インド人が世界史上最初に発見した“0(ゼロ)”という概念によって、十進法が可能となり、負数(マイナス)の概念も確立したわけで、まさにインドは近代数学の祖といえます。

ゼロという概念を初めて見つけるというのは、考えてみると、本当にすごいことだと思いませんか? ゼロは負数や虚数と違って、実際に存在する数字だと言えます。しかし、誰かが気付かない限り、認識は出来ないのです。インド人はきっと、世界にあるほかのどの文化圏の人よりも発想が豊かなのでしょうね。

そういえば、僕は医師国家試験を受験するとき、あまりに勉強が辛くて何かにすがりたくなり、般若心経を毎日唱えていた事があります。この経験によって多くの仏教経典のダイジェストとも言える、般若心経を暗記できましたし、今にしてみればいい体験でした。

般若心経の中には、「色即是空(この世の万物は形をもつが、その形は仮のもので、 本質は空であり、不変のものではない)」、「空即是色(またその空は、万物の形を持つのである)」という言葉が出てきます。般若心経の「空(くう)」は、すべての固定的観念を否定することを主目的としているのです。

インド人は「空」という概念を非常に大切にし、この概念が、ゼロの発見につながったのでしょうね。


カテゴリー