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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

花粉症の治療について

花粉症の治療について

花粉症の季節がやってきました。

年によって症状の差あはれ、僕も花粉症持ちで、この季節米国皮膚科学会(AAD)があるので、出張(つまり転地療法)を心待ちにしていたのですが、考えてみれば、コロナで中国の工場がとまった3年前は楽だった気がしますね。

黄砂や、工業廃棄物などもあるでしょう。

単純に花粉だけの理由ではないのかもしれませんね。

体に花粉など異物が侵入すると、異物を食細胞である「マクロファージ」が食べ、その情報を「Bリンパ球」に伝えます。

Bリンパ球が異物と認識すると次に侵入してきたときに排除できるよう「IgE抗体」を作ります。

抗体は血液や粘膜内にある「肥満細胞(マストセル)」にくっつきます。

再びアレルゲンが体内へ侵入してくると、抗体のくっついたマストセルの表面でアレルゲンと抗体が結合する(抗原抗体反応)と、炎症を引き起こすアレルギー誘発物質(ヒスタミンやロイコトリエン)がマストセルから放出され、くしゃみや鼻水・鼻づまりなどの症状を起こします。

要は免疫の過敏反応なんですよね。

僕の東京大学での医学博士論文テーマはマストセル(肥満細胞)についてでした。

20年前には免疫の分野での研究がしやすかったのですよね。

一応僕は薬学博士号(慶應義塾大学)も持っていますので、少し薬についてもお話したいと思います。

一般的に花粉症の内服薬は、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、抗ロイコトリエン薬、小青竜湯などの漢方薬となります。

もともと使用されていた

第一世代抗ヒスタミン薬 と言われるもの。

ポララミン
(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)

レスタミン
(ジフェンヒドラミン)

は、効果の強いものの、眠気などの中枢神経抑制作用や、口渇や胸やけなどの抗コリン作用など、副作用があったため、これらの作用を少なくしたものを
第二世代抗ヒスタミン薬といいます。

これらは1983年以降に発売されたものです。

一般的に強い順ではこのような感じでしょうか。

アレロック
(オロパタジン塩酸塩)

ジルテック
(セチリジン塩酸塩) 市販薬あり

ザイザル
(レボセチリジン塩酸塩)

ビラノア
(ビラスチン塩酸塩)

タリオン
(ベポタスチンベシル酸塩)

アレジオン
(エピナスチン塩酸塩)

クラリチン
(ロラタジン)

アレグラ
(フェキソフェナジン塩酸塩) 市販あり

個人個人で相性も、慣れもありますので、効果の強さは個人差ありますので、いろいろ試してみるのがいいですよね。

この中でもジルテックやアレグラ、クラリチンなどは特に眠気の副作用が少なく、第三世代抗ヒスタミン薬と分類する場合もあるようです。

シングレアなどの「抗ロイコトリエン剤」を加えると良い場合もあります。

ステロイド剤は最初は非常に効果が高いのですが、数年経過した場合の予後は悪く、賛否両論があります。

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花粉症対策ですが、海外で意外と有効だとされているのは毎日ワセリンを鼻粘膜に塗るというもの。

鼻粘膜をワセリンで、ブロックする発想ですね。

自費診療とはなりますが、
ボトックス。

これは注射ではなくて点鼻なのですが、抗コリン作用があるボトックスを点鼻することで鼻水を止めてしまおうというもの。

僕も以前やったことがあるのですが意外と効果は高いです。

ちょうどボトックスの効果も3か月なので、有効な治療だと思います。

そして、レーザー治療。

これは炭酸ガスレーザーで鼻粘膜を焼くもの(効果は3年ぐらい)と、弱い近赤外線のレーザー(スーパーライザーLLLT)を自律神経のコントロールタワーである頸部の星状神経節に照射する方法があります。

最後に、花粉症による経済的損失額は1日あたり2215億円とも、年間5兆円とも推計されているようです。

杉はもともと日本にある木でしたが、現在花粉を散らしている木は、1950年「造林臨時措置法」により、戦中・戦後の大量伐採伐採で荒れた山地を復旧させるため、そして高度経済成長期に住宅を大量に建築するための木材としてスギ(とヒノキ)を大量に植えられたものなのだそうです。

この植えられた新しい杉は30年後ぐらいに大量の花粉を散らすようになるわけで、80‐90年代から日本で花粉症が増えてきた理由と合致します。

医療と林業ではお役所が違うと思うのですが、日本の国益のために少しでも杉を切り、他の樹林に植え替える。

花粉の出ないタイプの杉を遺伝子改変して作り受紛させる。

などを行ってほしいですよね。(写真は森野庁のデータです。)


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