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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

講談社現代新書の「ハイブリッド戦争」

昨日はあっちから、今日はこっちへ。

飛行機内での時間は集中した読書タイムにもってこいですね。

講談社現代新書の「ハイブリッド戦争」。

良書でした。

情報リテラシーの低い日本にとっては寝耳に水的な情報ですが、現在の戦争は、兵器とインターネットを使った攻撃の2局面で行われます。

特に後者の技術に長じた政策と投資をしてきたのがロシア。

賢いですよね。

囚人のジレンマの理論で考えると国家間の安全保障は、軍事費という観点では、たとえ自国を守るための軍備であっても必ず拡大路線を辿ります。

一方で、サイバー攻撃であれば、兵器に比較して圧倒的にコストも安い割に、国家の中枢に近い機能のサーバーダウンさせることも出来る。

さらに英語というWeb共通言語を使って、例えばSNSなどで明らかなフェイクニュースと、まことしやかなフェイクニュースをわざと2種類流す事で世論や選挙を操作したり、英語が共通言語であるインドやアフリカ諸国への情報を混乱させたりといった、よりインテリジェンスの高い情報撹乱戦略を取る事が可能になってくる。

コロナ問題の様々なフェイクニュース然り、トランプvsヒラリーの選挙合戦然り、なぜ経済上の問題で国土の拡張をもう望まないはずのロシアが北方領土だけは手放さないかなど。

興味深く読みました。

日本の国際的な立ち位置は、平成の30年でbashingからpassingへ移行してしまいましたが、このままでは令和の早い時期にnothingになってしまうのは明らか。

対米、対中国という地政学的なものばかりでなく、サイバー攻撃であれば矢は地球のどこからでも飛んでくるので、グローバルな視野に立った長期的な戦略を組む事ができるKGBやCIAのような国家諜報組織を日本に作り、さらに得られた情報の価値を理解して判断できるバランス感覚を持った政治家を教育しなければなりませんね。

これらのハイブリッド攻撃を、インターネットやSNSが完備されたわずかこの10年余りの間に考えつき、専門家を養成し、国益に生かすロシア。

色々と考えさせられました。

 


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