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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:北米 フロリダ編

フルモト氏追悼講演

ASLMS中日に行われた総会では、最初にレーザー医学に多大な貢献をした日系アメリカ人のHorace Furumoto博士の追悼講演が行われました。

昨年7月に75歳で亡くなったのです。

フルモト博士は1970年に大手レーザー会社のキャンデラ社を創立した創立者の一人でした。

パルスダイレーザーの研究者として医療部門をマネジメントしました。彼はキャンデラを経てサイノシュアのCEOになりました。

通常レーザーは経年変化をして、同じ設定で照射しても、パワーが弱くなってくるのを感じるのですが、現在のサイノシュア製品はキャリブレーションが正確で、常に安心してレーザー照射ができます。

これらの製品ひとつひとつにもフルモトイズムが浸透しているのだなといつも思います。

 

この図は彼の設計したおそらくパルスダイレーザーの図です。


フラクセルの新製品

写真が「フラクセル・リファイン」と呼ばれるフラクセルの新製品です。

新製品とはいっても、フラクセルⅡの下位ブランドに当たる機種ですね。

波長はフラクセルⅡが1550nmを使用するのに対して、リファインが1440nmという、少し浅めに入る波長を使います。ニキビ肌に対する効果は落ちるでしょう。

僕は昨年の6月にリライアント本社に行った時に、開発中のこの機械を初めて見たのですが、ようやくリリースといったところでしょうか。

ところでこの形、まるでimacみたいなのですよ。かわいいですね。

そのほか今年はフラクショナルCO2(炭酸ガス)レーザーが各社からリリースされていました。色素沈着の可能性の高いアジア人の肌にはたしてどのような効果があるのか、これからの治験が試されるところですね。


2008年 僕の発表演題その3

3つ目の演題がキュテラのブースの話でもすこしふれたキュテラ社の新しい波長を使用した、

「パールを使用したアジア人の肌に対するリサーフェシング(肌の入れ替え)療法の検討」

でした。

“Skin resurfacing utilizing a 2.79um Er:YSGG ( YTTRIUM SCANDIUM GALLIUM GARNET) laser for asian patients”

パールは現在クリニックFで最もお問い合わせの多いレーザーです。2004年フラクセルのセンセーショナルな登場で初めて生まれた「肌の入れ替え」という概念が、去年パールの登場によってより具体的にイメージできるようになり、この日本でも定着し始めたと言えるのではないでしょうか。

なんでもそうだと思いますが、新しいアイディアを出す人、それを具現化する人、それを広める人、根付かせる人、そこから次への課題を提案できる人・・・と、言ってみればリレーのように何人もの「走者」によって、モノは生まれ、根付き、育っていくものなのだと、こうして仕事をしているとしみじみと感じますね。

時差ボケと、ハードな学会スケジュールの中、昼休みに外で一服。

飲んでいるのはオロナミンCをヒントにアメリカで作れらた栄養ドリンクの“RedBull”です。

タウリンがオロナミンCの数倍入っていてとても元気になるのですよ。

数時間ですが…。

とても奇麗なイルカの彫刻がコンベンションセンター内にありました。

 


2008年 僕の発表演題その2

ふたつめの演題は、東京女子医大の法医学教室と、4月から慶応大学の一学科になった、共立薬科大学薬学部との共同研究でした。

この研究では、レーザー照射後に皮下にできる活性酸素の種類を電子スピン共鳴装置(ESR)で測定、同定しました。

さらにクリニックFでもレーザー照射後の外用剤などで使用している「フラーレン(強力な抗酸化剤・写真)」を利用して、これらの有害なラジカル発生を抑え、肌の老化を最大限食い止め、より美しく変化させてゆくためには、レーザー照射後にどのような要素が必要なのか、検討したのです。

英語の原題は

“ESR analysis of free radical generated by Fractional resurfacing laser (1440nm) ”

でした。

 

 


2008年 僕の発表演題その1

今年のASLMSに僕は3つの演題を出しました。

演題のひとつめは、2007年に日本に初めて導入されたアファームマルチプレックスを利用した治療経験の話です。

クリニックFに定期的に通ってくださっている患者さんの中から、24名の方にモニターをしていただいて、色素沈着、肌のテクスチャー、リフトアップなどの加齢の項目の改善率を数値化してアファームマルチプレックスの優位性を示したのです。

英語の原題は、

“Clinical evaluation of 1440nm and 1320nm multiplex fractional laser (Affirm multiplex) delivered by microarray for treatment of photo aging for Japanese skin”

でした。

アファームマルチプレックスで使用されている波長は、1440nmと1320nmなのですが、これらはメラニン色素に対する吸収率が低い波長である、ということが言えます。

メラニン色素に対する吸収率が低い、ということが何を意味しているかと言うと、それは「肌の色に依存しない」ということを意味します。

レーザーは波長によって白人種と黄色人種とでパワー設定を変えることを余儀なくされることが多々あります。白人種であればパワーを上げられるものでも、もしその波長がメラニン色素に対して吸収率が高ければ、黄色人種に打つときにはパワーをかなり下げないと火傷を起こしてしまう。

しかし、アファームマルチプレックスは、メラニンに対する吸収率が低く肌の色に依存しない為、黄色人種の肌に対してもパワーを上げることが可能なのです。(もちろん調整は必要ですが)

これは我々アジアでクリニックを展開するドクターにとっても、様々な可能性を模索できる機器であるということが言えますし、またレーザー会社にとっても朗報であるということが言えるでしょう。

アメリカのレーザー産業は、アジアと中近東マーケットの獲得によって今後飛躍的に伸びていくことが予測され、そういった意味でもこれからこうした黄色人種の肌に対するレーザーの効果・使い方を、より深く掘り下げられる医師がさらに求められていくことになると思います。

僕は自分自身も黄色い肌を持つそのひとりとして、この分野において様々な提案や研究をしていくことができればいいなと思っています。


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