最終日、ニースからロンドン行きの飛行機は夜に出発です。
最後の時間を利用してニースのシャガール美術館に行ってきました。
ニースの中央駅から地図上ではあまり離れていなかったので、歩いて美術館に向かったのですが、複雑な道や坂があって人に道を聞いたりして、大変な思いをしました。
通常は観光バスで行くルートのようです。
さて、ようやく門に辿り着きました。
中にはいるとシャガールの人生の年表が出てきます。
シャガールは僕が最も好きな画家の一人です。
はじめて彼の作品に出逢ったのは、子供の時に叔母の家に飾ってあったシャガールのリトグラフを見たときでした。
その作品はとても小さかったのですが、「シャガールブルー」といわれる彼独特の何種類もの青を使うのがとても印象的でした。
小さなころから僕の好きな色は、常に青色だったのです。
彼はロシア系ユダヤ人。1887年に生まれ、1985年に亡くなったので、100歳近くまで生き、精力的に作品を作り続けたことになります。
中でも超大作といわれるパリのオペラ座の天井画は、本当に好きなのでリトグラフを買ってしまったぐらい。以前のブログにも書いたことがありますよね。
実はこのニースにあるシャガール美術館は、もう20年来僕が来たかった場所なのです。
シャガールが南仏に住むようになって、旧約聖書をモチーフにした17枚の絵を描きます。
その絵が散逸してしまわないように、シャガールがフランス政府に寄付をしたのがこの美術館の始まりです。1973年のことでした。
美術館の中は極めてシンプルで、これがまたとてもセンスがいいんですよ。
17枚の絵が、写真のようにレイアウトされているのですが、建物の建築構造が非常に工夫してあって、どの絵にも均一な光が差し込むようになっているのです。
ユダヤ教徒であったシャガールは、幼少の砌(みぎり)から親しんでいた旧約聖書の物語を心から愛していたようで、
聖書についてまとまった絵を描くのが夢だった
と、インタビューでもよく語っていました。
それぞれが、赤・黄・青の3原色に近く、またサイズも非常に大きなキャンバスに描かれた絵に囲まれて、僕は夢心地になり、ボーっとして過ごしました。
ここは、もしかしたら僕が世界で一番好きな場所になるのではないだろうか
と、ふと思ったりもしましたよ。
ちょうどパリのオランジュリー美術館で、モネの睡蓮を観ていたときに似た幸福感に満たされました。
そんな幸せな気持ちでいるときに、大きな観光バスが到着して、あれよあれよという間に人だらけになってしまい、現実の世界に引き戻されました。
人気スポットですからしょうがないですよね(笑)。
壁にはモザイクもかかっていましたよ。