AAD米国皮膚科学会、今年の展示会場です。
レーザー医療界にとって今回最も大きなトピックは、やはりピコ秒レーザー機器の登場でしょう。
数年前から噂のあったこの機器。
サイノシュア社からようやく登場です。
こちらは本邦初公開?
ピコ秒医療レーザーの写真です。
755nmのアレキサンドライトレーザーをベースとして、750psのパルス幅で照射ができます。
パルスエナジーは200mJなので、十分臨床利用が可能。
レーザー治療上、機器より発振するパルス幅は、非常に重要です。
1秒からスタートして、照射時間を1000分の1に短くしてゆくと
秒→ミリ秒→マイクロ秒→ナノ秒→ピコ秒→フェムト秒→アト秒
・・・と、呼び名が変わるのです。
ちなみに工学系ではピコ秒の百万分の一の単位であるアト秒レーザー機器まで開発されています。
アト秒レーザー機器を使用すると、分子ばかりか原子の動きまでを測定できるのです。パルス幅に関しては、医療レーザーとは隔世の感がありますね。
今まで医療の分野ではナノ秒発振機器が最短でした。
これを超える短いパルス幅が出たことは、医療の進化におけるひとつの歴史ですよね。
ちなみに機器の価格は約3,000万円だそう。まだ高額ですが、今後の臨床適応例が増えてゆくのが楽しみです。
こちらはCUTERA社のブースですが、同じように実験段階ではありますが、Nd:YAGレーザーのピコ秒レーザー機器がR&Dグループで開発されている情報が展示されていました。
ヤグをベースにレーザー機器を作ると、まずNd:YAGの1064nm及び半波長のKTP532nmが出力できます。こちらを250psで発振する技術が可能になったというわけです。
これが今回の発表です。
さらに、YAG波長のもともと持つ1320nmを半波長にした659nm。
そして、457nmという波長を現在開発中なのだそうです。
このように波長が揃ってくると、最もメリットがあるのは刺青、タトゥーの除去。
◆1064nmは黒に
◆532nmは赤に
◆659nmは緑に
◆457nmは黄に
それぞれ反応させることができますので、今までとくに難しかった緑色や黄色のタトゥーを除去することができます。
興味深いですよね。
こちらはパロマ社。
スターラックスよりも、新しいプラットフォームのアイコンです。
そして、こちらVECTUS LASER。半導体をいくつも横に並べた新規の脱毛機器を発表しています。半導体レーザーは、小さくつくれる反面、熱の逃がし方が難しく、出力を上げるためには技術が必要です。
この辺りは工学的には非常に興味深いです。
こちらのブースはシネロン社。
新規発売となったeMAXの後継機種であるePlusもデビューしていましたよ。
先月本社に見学に行かせていただいた、カルフォルニアのサイトン社。
DEKA社なども多くの展示がありました。
こちらは近年一気に成長したアルマレーザー社。
アクセントウルトラの上位機種Accent Ultra Vです。
プラズマを利用したフラクショナルRF機器が新たに付け加えられるようになりました。
詳しい話を開発者に聞きたかったのですが、残念ながら時間が合わず。
ところが、ちょうど来週Alma Lasers社長でもあるDr.Karniの来日予定があり、1日半の日本滞在のスケジュールの中、クリニックFを訪問してくれることになりました。
学会会場でも注目を浴びていた機器だけに、とても興味があります。
いずれにせよ、AAD会場のこの混雑ぶりには、毎年のことながら驚かされますね。