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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

強力な光が生体に対してなぜ影響を与えることができるのか?

僕の医学の専門はレーザー光治療ですが、光を使って肌の細胞を若返らせることを目的としています。

強力な光が生体に対してなぜ影響を与えることができるのか?実は謎でした。

光が生体に影響を与えるとしたら、葉緑体を思い浮かべる人が多いですが、もちろん植物にある葉緑体は、動物には存在しません。

実際にこの答えを予想したのは、1989年。当時のソ連邦崩壊のさなかのモスクワの学者KARUでした。

可視光から近赤外光は、光受容体であるミトコンドリア内膜上に存在するチトクロームCオキシダーゼに作用することを発表したのです。光刺激により、電子伝達系を介したミトコンドリア内膜でのATP合成が促進されることが若返りのトリガーになります。

ミトコンドリアはもともとは酸素を利用することのできる別の生物で、それが酸素を利用できない真核生物の細胞の中に取り込まれたので、現在の酸素によりエネルギーを作る生物が生まれました。このため、独立した遺伝子をもっていることが知られています。

細胞核の中のDNAにはミトコンドリアの遺伝子は含まれておらず、父親系の遺伝子が含まれない。つまり、ミトコンドリアに依存する運動能力などは、母系遺伝になり、基本的に世の男性は、自分のミトコンドリアの遺伝子を後世に残すことができないのです。

ミトコンドリアDNAは必ず母親から子に受け継がれ、父親から受け継がれることはない。またミトコンドリアDNAは男女の交合による組換えを経ることがないため、個々人のミトコンドリアDNAの違いは突然変異のみになるのです。興味深いですよね。

写真はKURUの論文の表紙です。


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