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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:栄養・健康・サプリメント

新書 オフェンシブ栄養学

新書オフェンシブ栄養学に入れる挿絵のデザインを考えています。

活性酸素の生体での産生原因と身体内でのホルモン系や神経系、心血管系へのカスケード。

何度か書き直してバランスを合わせていますが、カチッと歯車が合った感じ。

オフェンシブ栄養学を、お楽しみに。

 


僕の新著「オフェンシブ栄養学」

僕の新著「オフェンシブ栄養学」の原稿を入稿しました。

希望としては夏には出版できるでしょうか?

日本の平均年齢が50歳を超えて、一気に高齢化社会を迎える今、いつまでも若々しく元気でいるためには、今までの栄養学とはちょっと違った切り口が必要です。

こちらはしがき(まだ仮)の文章です。

数年前に『ディフェンシブ栄養学』という本を出しました。

ディフェンシブは「守り」という意味です。

この本には「美しくやせる食べ方」という副題がついています。

やせるには食べなければいい、という考え方は成り立ちません。

美しくかつ健康的であるためには、あらゆる臓器の予備能力を上げ、さらに防御能力を高めるディフェンシブな考え方が必要です。

『ディフェンシブ栄養学』はそのような立場から、身体で必要な50の要素を取り上げ図式化し、さらに六大栄養素をもれなくとり、健康を害する可能性のあるリスクをヘッジする方法を書きました。

本書『オフェンシブ栄養学』は、その先へと踏み込んでいます。

オフェンシブが「攻め」という意味であるように、健康を守るだけではなく、より元気に、人生を明るく楽しいものにするための最強の食材と食べ方を紹介しているのです。

両者の違いをわかっていただくには、栄養学と医学の関係を知ってもらわなければなりません。

かつて栄養学は、医学と近い関係にありました。

しかし1900年代初頭に医学から離れ、独自の歩みを始めたのです。

そのため日本では、栄養学と医学の交流がなくなってしまいました。

思えば医学部のカリキュラムにも栄養学はありませんでしたね。

私の母は管理栄養士の資格を持っています。

現在80歳ですが、昔彼女が習っていた内容と、今の栄養士が習っている内容にあまり大きな違いはないといいます。

変化といえば、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」を発表し、5年ごとに改訂していることぐらいです。

これは国民が摂取すべきエネルギーと栄養素の基準値で、栄養失調と過剰摂取による健康被害を防ぐ目的で公表されています。

一方で医学は、半世紀かけて大きく進歩しました。

その変化は冒頭の第1章で示しますが、目を見張るような進歩でした。

ただ、栄養学にも変化や進歩がなかったわけではありません。

古い栄養学とは異なる、斬新で先鋭な栄養学が水面下で実践されつつあります。

本書は旧態依然とした古い栄養学を離れ、一部で意識の高い人々にのみ実践されている攻めの栄養学を「オフェンシブ栄養学」として紹介するものです。

医師 医学博士 工学博士 薬学博士

クリニックF院長 藤本 幸弘


糖尿病とタンパク質について

著名な女性誌から過剰なタンパク質の摂取について取材を受けました。

プロテインバーやプロテインドリンクなどが主食になっている人が多いのかもしれません。

こちらはまた別途リリースのタイミングでご案内しますが、今日はそこから少しスピンアウトして、糖尿病とタンパク質について書いておこうと思います。

糖尿病の際には、タンパク質の摂取を控えるように言われます。

糖尿病の三大合併症は、腎症、神経障害、網膜症ですが、特に糖尿病腎症のリスクがある方や、すでに発症してしまった患者さんに関しては、タンパク質の摂取制限を指導されるのが一般的です。

前のブログにも書きましたが、タンパク質は、他の三大栄養素である脂質や炭水化物と大きく違う点があるのですが、それは構成している元素です。

脂質や炭水化物はC(炭素)とH(水素)とO(酸素)の三つの元素で主に構成されているのに対して、タンパク質はアミノ基を含む構造上、CとHとOに加えてN(窒素)が必要となるのです。

CとHとOだけなら、CO2(二酸化炭素)とH2O(水)に分解できるので、呼気と尿で体外排出できるのですが、Nを身体から排出するのは少し複雑です。

タンパク質が分解されて生ずるアンモニアを、肝臓の“尿素回路”で代謝することで、体外排出できる尿素を作ることで、Nを排出するのです。

タンパク質が体内で合成されるときにはアミノ酸が使われるのですが、そのうち余分なタンパク質は尿素などの老廃物に分解され、腎臓でろ過されますので、糖尿病腎症の進行を早めてしまします。

つまり、構造上Nが多ければ多いほど、排出時に肝臓にも腎臓にも負担がかかるというわけです。

さらに、血糖コントロールができていない糖尿病患者さんの場合、インスリンがタンパク質合成のサポートを上手くできなくなり、摂取したタンパク質の栄養素を十分に活用することが難しくなるのです。

タンパク質は身体をつくるために重要な栄養素のひとつですが、糖尿病治療を開始している方の場合には、過剰摂取に注意が必要です。

過ぎたるは及ばざるがごとし。良薬口に苦し。たんぱく質の重要性もわかりますが、健康に関しては、必ず身体によい反応と悪い反応の功罪の両面がありますので、とにかく、自分の身体の反応に常に耳をすませ、バランスを重要視するのが大事ですね。

 

 

そしてもう一点、プロテインドリンクやプロテインバーが主食になってしまってはいけない理由。

それは食物繊維がとれなくなることだと思います。食物繊維は人間には消化ができないという事で、そもそもの栄養素から外されてしまった経緯がありますが、実際には、食物繊維を主食とする腸内細菌は多いのです。

人間の体内の細胞は60兆個、これに対して腸内細菌は100兆個も存在し、細胞の数だけ考えれば腸内細菌の方が多く、言ってみればその集合体が人体です。

腸内細菌フローラが人体にとって免疫防御や、必須栄養素の生成など、人間の持っている細胞では出来ない、有益な多くの役割を果たしていることは最近の研究でよくわかってきました。

腸内細菌のなかでも、善玉菌として知られるクロストリジウムが食べる食物繊維が豊富にあれば、制御性T細胞(Treg細胞)という細胞が発生してしやすくなるという研究成果もあります。

Tレグ細胞は、免疫応答を抑える機能を持ち、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー疾患などを引き起こす過剰な免疫応答を抑制することができるのです。

僕が医師免許を取ったのはもう30年近く前、免疫学で医学博士号を取ったのも20年前になってしまいましたが、その時に習っていた生理学、免疫学、さらには解剖学でさえ、現在では大きく変化しています。

脂肪細胞や、筋細胞などが、多くのメッセージ物質(ペプチド)を放出して細胞間でやりとりをしているなんて、待ったくわかっていませんでした。マクロな目で見て、まったく役割を果たしていないと思われていた盲腸(虫垂)や、脾臓を摘出するなんてことをやっていましたが、これらは免疫細胞を成熟させるうえで大きな役割を果たしていたこともわかってきましたよね。

医学はいまだに完成しておらず、研究も日々進歩している学問です。常日頃、多くの情報にふれて、アップデートしないといけませんね。

 

※図は、以前に出版した著書「ディフェンシブ栄養学」で生体を維持するのに必要な50要素をあげたときのものです。


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