僕の新刊。オフェンシブ栄養学。
ようやくAmazonで予約できる様になりました。
ディフェンシブ栄養学から構想6年。
ようやく対の書が完成です。
僕の薬学博士号の研究はドラッグデリバリーシステムでした。
今回のドラッグデリバリーシステム学会誌では、「エクソソームの糖鎖修飾による標的細胞選択性の向上」についての論文が掲載されていました。
現在日本の美容医療領域では「エクソソーム」の商材が多く存在しますが、がん細胞からも当然エクソソームが分泌されています。
まさに玉石混合。
中には害のあるものも入っている可能性がありますので、クリニックFでは採用見送りの、論文と学会報告の様子見のスタンスですね。
エクソソームは、真核細胞においてエンドソーム区画で形成される膜結合性の細胞外小胞です。
エクソソームは、多くのリポタンパク質と同程度のサイズであり、直径は約30-150 nmであると考えられています。
エクソソームは、起源となった細胞由来の標識分子を含んでいる、いわゆる細胞間メッセージ物質。
血液凝固や細胞間シグナル伝達から廃棄物の管理までさまざまな生理学的過程に特化した機能を持つことが知られています。
今回のこの論文は、エクソソームの標的細胞選択性を上げるために、糖鎖を置き換える技術について書かれていて非常に興味があるものでした。
エクソソームには臨床的な可能性があるものの、アメリカでは医学的に証明されていない未承認のエクソソーム製品による治療を行うクリニックが存在し、患者に深刻な有害事象が起きているとして注意喚起が行われています。
ちなみに、アメリカ厚生労働局(FDA)は未承認のエクソソームについて注意喚起を行っており、患者が科学的に正しい治療を受ける機会を遅らせたり被害を及ぼすことで患者を危険にさらすと指摘しています。
線虫によるがん検診。
確か偽陽性率が異常に高いエビデンスが無い検査でしたよね?こんな広告出してて大丈夫なんでしょうか?
医療の世界は情報を受け渡しする人の知識の非対称性が高いですから、難しいですよね。
ヘルステック系の案件だと、血液一滴で多くのがん検査が可能として、政治家を含めて多くの人を巻き込んだセラノス社が詐欺事件に発展したのは記憶に新しいですね。
以下引用
米国カリフォルニア州サンノゼ連邦地裁は2022年11月18日、シリコンバレーのヘルステック・スタートアップ、セラノスの元最高経営責任者(CEO)であるエリザベス・ホームズ氏に対し、投資家への詐欺罪で11年3カ月の実刑判決を下した。ホームズ氏は2022年1月に、約4カ月に及ぶ裁判を経て、陪審員による有罪判決を受けていた。
ホームズ氏は2003年、同州パロアルトでセラノスを設立。同社が開発した小型デバイスは、指先から採取した一滴の血でどんな血液検査もでき、研究室における従来の検査方法よりも正確で早く検査結果が出せると主張し、投資家から多額の資金を調達していた。
休診日の今日は、友人に誘われ、葉山でウインドサーフィン。三年ぶりでした。
ところが、この後浅瀬で右足をエイの毒針に刺され大変な惨事に。
多分エイをふんじゃったんでしょうね。
あまりの電撃的な痛さに、カツオのエボシにやられたかと思いました。
20年やってるサーフショップでもエイに刺された顧客は3度目だとか。引きが強いのか運が悪いのか。笑。
色々治療法を調べたので、もうエイに刺されても対処はわかりましたが、刺された後には、40-45度のお湯で60分ぐらい。
まずタンパク質毒を分解させると良いのだとか。
ロングパルスヤグレーザーを打ち込んだら良いですよね。毒針が残ってる場合は外科的にデブリ。
抗生剤はあった方が良いので、必ず医者に行った方が良い案件ですね。
あーびっくりした。
工学部の光学研究開発者向けの雑誌「光学」より、原稿執筆依頼がありました。
原稿料はでませんので完全なるボランティアですが、今後の光学機器研究に役立ってもらいたいのでお引き受けしました。
他の依頼者をみると大学教授ばかり。
「美容医療業界で工学博士を取得しているのは藤本先生だけであり、確認した美容レーザーの教科書として売られている著作も、工学的な記載は正確じゃないものが多いので、是非お願いしたい」
との事。
やはり臨床医として頑張られて教科書を書かれる様な方々の中でも、臨床の経験値は得られても、工学物理系の理論をきちんと理解されていないこともある様です。
一時期流行ったピコレーザーも、結局シミを取るだけなら安いQスイッチの方が効くじゃないかと、ようやく言われる様になりました。工学を学んだ者にしてみれば当たり前で、僕も米国の開発の研究者たちと
ピコレーザーって斬新の様に言われてるけど、単なるマーケティング用語だからね。誰が最初に気づくかね?
とお酒の席で笑って話していました。
レーザー治療に対して、光治療はターゲットが明確に決まっていません。
レーザーと比較してパルス幅も広く、波長選択性も明確ではないのが理由で、シミなどを限定的に治療するには不向きですが
肌のターンオーバーを上げたり、コラーゲンやエラスチン線維を太くするなどの効果もありますので、アンチエイジング目的にはなりますね。
一般的な光理論の話の後に、こんな機器が作れたらと言った工学的な提案も出来たらと思いますよ。
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以下依頼文です。
皮膚は身体の最表面にあるため,ヒトを対象とした光学的治療・計測は皮膚を介するものが 多い.
中でも美容皮膚科では,健康な皮膚でのシミ・肝斑・ニキビなどの各症状の治療を対 象とするため,低侵襲的治療が可能な光学技術が応用されている.
しかし,光学的知見が皮 膚治療の原理や機器にどのように活用されているかについては,光学研究開発者も熟知して いない部分もある.
そこで本特集では,光の生体組織への作用メカニズムの原理から,レー ザーなどの光源の安全基準,医用レーザー装置,さらに臨床での光を用いた治療について, 工学・医学の各立場から解説いただく.