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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

ショパンピアノ協奏曲第一番 チェルニー・ステファンスカ プラシーボ効果 二重盲検法

おはようございます。

1月29日(火)。今日もクリニックFの診療日です。

今日は音楽の話題から。チェルニー・ステファンスカというポーランドの女性ピアニストをご存知ですか?

彼女は、ショパンピアノコンクールでも優勝経験のある一流のピアニストです。

彼女のこちらの演奏、ショパンピアノ協奏曲第一番の録音は、史上最高のピアニストとして誉れ高いルーマニア出身のディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti)のものと誤認されてきました。

リパッティは33歳という若さで、悪性リンパ腫(ホジキン病)にて夭折したのですが、残された録音(モノラル)のどれもが素晴らしいもので、死後特に評価が高くなりました。

僕も好きなピアニストの一人で、このブログでも何度か登場したことがありますよね。

こちらはリパッティのほぼすべての録音が残されている7枚組お買い得CDです。

以前は「リパッティの芸術」シリーズとして発売され、1枚3000円以上したのです。

僕は7枚全部持っていたにもかかわらず、もしかしたら録音状況が違うかもと、ついつい買ってしまいました….。

そして、こちらYOUTUBEで見つけたリパッティのショパンピアノ協奏曲第一番です。

どちらの演奏も技術的には素晴らしいですが、リパッティの弾くショパンの方が物悲しいですかね。ショパンの特徴を捉えているのかもしれません。

興味深いのは、この誤認の事実が知られた後に、チェルニー・ステファンスカの録音に対する音楽評論家の意見が一転したこと。

思い込みとは罪深いものです。

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医学の世界では、特に薬の治験の際、プラセボ効果(プラシーボ効果)を統計学的に排除するということを行います。

Placeboはラテン語で、「私は喜ばせる」の意味です。

プラセボ効果とは、偽薬効果(ぎやくこうか)とも表現しますが、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの症状の改善がみられる事をいいます。

ちなみに医師法では、常習化が起こりうる危険な患者さんに対して、睡眠剤と偽ってビタミン剤を投与することが認められていると聞いたことがあります。

ビタミン剤を処方しても、眠剤と信じて飲めば効いてしまう人もいるのです。

僕は良く、患者さんに対して、医療施術と美容施術の違う点を説明するようにしているのですが、美容は一言で言うと、このプラセボ効果の影響を多大に受けているのですよね。

もちろん化粧品に紫外線をカットしたり、乾燥を防ぐといった「効能」はありますが、原料的には、医薬的「効果」はないはず。

しかしながら不思議なことに、高額なクリームを塗ったことで気持ちが高揚し、実際に綺麗になる人も中にはいるのです。

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医療として治療法や薬が認められるためには、このプラセボ効果との差異を、統計学的に証明しなければなりません。

医学博士論文を書く時に、多くの統計学的検定手法を学ぶのは、このためです。

僕が過去の論文を書く時に使用した検定で、ちょっと頭に浮かぶだけでも、ベイズ推定 • 仮説検定 • Z検定 • スチューデントt検定 • カイ二乗検定 • F検定などなど、沢山の手法があります。

さらに、統計学的にいくら正しくても、元データの精度が悪ければ意味がありません。

元データを取る時に特に大切なのは、出来る限り二重盲検法(Double blind test)を使用するということ。

この二重盲検法は、実施している薬や治療法などの性質を、医師(観察者)からも患者からもわからない様にして行う方法なのです。

プラセボ効果や、観察者バイアスの影響を防ぐ意味があるのですよね。

ちなみに、今年通過した僕の米国レーザー医学会の二つの演題でも、患者さんの施術評価の際に、二重盲検法を行ったか、選ぶ項目がありました。

医学会の演題の通過条件としても重要な点の一つなのです。

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この10年間、肌を美しくするためのレーザー・光施術が急速に発展しました。

○透明感を上げる

○コラーゲンやエラスチンの再生力を高める

○毛穴やシワ、にきび跡などが平滑化した艶(ツヤ)のある肌を作る

○皮下組織のタルミを引き上げる

肌を美しく、さらにメンテナンスする機器が、二重盲検法によって評価される時代になったのです。

僕がクリニックFで導入している機器は、こうした二重盲検法によって米国のレーザー学会で評価され、米国FDA(米国厚生労働局)た機器であることを基準にしています。

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僕は、クリニックFで施術をするからには、すべての患者さんに、正確なデータの蓄積と統計検定を行った上で選択した、最短の最も効果のある治療を提案したいと常々思っています。

診察にいらっしゃる患者さんの肌を診察、分類し、さらに患者さんの希望を聞いた後、30以上もある多くの機種の中から、最も適しているとおもう機種を、患者さんごとに選んでゆくのが、僕の楽しみでもあるのです。


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