今日ある人と飲んでいて、「あの素晴しい愛をもう一度」の話になりました。
僕はずっと、この歌は昔の恋愛を思い出す歌だと思っていました。おそらく男性が聴けば、昔好きだった女性のことを思い出す。
ところが女性は、昔好きだった男性そのものではなく、その人を好きだった頃の自分を思い出すのだそうです。
もちろん男女をそんなに単純に分けられる話ではありません。ただ、言われてみると妙に腑に落ちる。僕にはちょっと衝撃でした。
昔から、男性の恋愛はROM(リードオンリーメモリー)、女性の恋愛はRAM(ランダムアクセスメモリー)、という比喩があります。
男性は昔の恋愛を消さずに保存していて、何かの拍子に昔の相手を読み出す。女性は現在の恋愛が前面にあり、新しい関係が始まると過去の恋愛は後ろへ下がっていく。
もちろん、これは心理学的に証明された話ではなく、あくまで俗説です。性差より個人差の方が大きいでしょう。
それでも「あの素晴しい愛をもう一度」を考えるには、なかなか面白い比喩です。
男性は過去の恋愛を人物として保存する。
「あの時の彼女」。
女性は過去の恋愛を、自分の人生のある時代として保存する。
「あの人を好きだった頃の私」。
そう考えると、同じ歌を聴いていても、見えている景色は少し違うのかもしれません。
そして歳を取ると、この違いもだんだん曖昧になってきます。
最初は「あの人」を思い出していたはずなのに、何十年も経つと、その人の顔よりも、その人を好きだった頃の自分の若さの方が懐かしくなる。
「あの素晴しい愛をもう一度」は、ROMに保存された昔の恋人を読み出す歌として聴き始めても、最後には昔の自分自身を読み出す歌になっていく。
この曲は、作詞・北山修、作曲・加藤和彦。1971年の歌です。
歌詞は、二人で同じ花を見て、それを美しいと思った記憶から始まります。
考えてみれば、相手の顔や性格を歌っているわけではないんですよね。
同じものを見て、同じように感じた。
そのことを覚えている。
男性なら、その風景の向こうに昔の女性の姿を見るのかもしれない。
女性なら、そこに昔の自分を見るのかもしれない。
まだいろいろなことを疑っていなかった自分。誰かをまっすぐ好きになることができた自分。
そして、この歌の題名は「あの素晴しい人をもう一度」ではありません。
「あの素晴しい愛をもう一度」
なんです。
人ではなく、愛。
これは結構大きな違いです。
相手を取り戻したいというより、二人の間に確かにあった、あの状態をもう一度、という歌にも聞こえます。
若い頃に聴けば、失恋の歌だった。
ところが歳を重ねてから聴くと、
「あの人にもう一度会いたい」
ではなく、
「自分にも、あんなふうに人を好きだった時代があったな」
という歌に変わってくる。
昔の恋愛を思い出しているつもりが、実は昔の自分を思い出している。
若かった自分。怖いものが今より少なかった自分。未来が今よりずっと長く見えていた自分。
そう考えると、「あの素晴しい愛をもう一度」は単なる失恋の歌ではないのかもしれません。
失った相手の歌であり、失った時間の歌であり、少しずつ失ってきた自分自身の歌でもある。
昔はこの歌を聴いて、ただ良い曲だと思っていました。
今聴くと、少し違う。
歌は50年以上、ほとんど何も変わっていない。
変わったのはこちらなんでしょうね。

Ano Subarashii Ai o Mou Ichido: Whom Are We Really Remembering?
Today, I was having a drink with someone, and our conversation somehow turned to the song Ano Subarashii Ai o Mou Ichido—“Once More, That Wonderful Love.”
I had always thought of it as a song about remembering an old romance.
Perhaps, I thought, when a man hears it, he remembers a woman he once loved.
But apparently, women may remember something slightly different.
Rather than the man they once loved himself, they may remember the person they were when they were in love with him.
Of course, you cannot divide men and women that neatly. Still, when I heard this, something about it immediately made sense.
And, to be honest, I found it rather startling.
There has long been a popular metaphor that men’s romantic memories are like ROM (read-only memory), while women’s are like RAM (random-access memory).
Men supposedly store their past relationships without erasing them, and something
