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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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次世代のメス? ダイヤモンド・レーザーメス

カルフォルニアには、レーザー開発のベンチャー企業なるものがいくつかあります。

そのうちの一社を今回、訪問してきました。

この会社はダイヤモンドレーザーメスなるものを作っているのです。
デビアス社から直接仕入れ、特殊な角度でカットされたダイヤモンドをCO2レーザーの先につけ、電気メスのように使用するというものです。

電気メスには、切る役割と、血管を凝固する役割があります。電気メスは一部の上皮を蒸発させることで皮膚を切るため、傷を合わせたときに、跡が残りやすいのです。ですから、通常の手術では、まず普通のメスで皮膚を切った後、電気メスで凝固します。

しかし、このダイヤモンドレーザーメスを使うと、25ナノメーターという非常に細かい切れ味があると同時に、同時に血管が凝固できるのです。

今まで、手術の時には切開と、凝固という二つの工程で時間がかかっていたので、これにはビックリです。顔や頭といった、出血の多い部分での効果は非常に良いと思います。

実際にチキンの肉を使って、研究所のような倉庫??で、実践してくれました。

通常、メスを使うときには肌の抵抗を感じながら切るものなのですが、実際にやってみると、なんと表現したらよいのか、バターを温めたナイフで切るような、いわゆる名医になった気分になれると思いますよ。

実際に売れるかは数年後ですね。


帰って来ました!!

カルフォルに比べると、気温はそれほど変わらないのでしょうが、日本は湿気がすごいですね。成田についた瞬間、違いを感じました。まるで蒸し風呂にいるようです。でも肌にとって紫外線と乾燥は天敵。湿気によって日本人の肌は守られているのですね。

コントロバーシーは、朝早くから始まります。大体7時半には学会に医師が集まります。セッションは8時からです。時間毎に、IPL、スキンタイトニング、脂肪溶解、新技術など細かい分野に分かれてセッションが組まれており、そこでレーザーのメーカーごとの、いわば、遠慮の無い効果比較実験や、この新技術は実際に効くのか?などといった、医師の本音が語られるのです。

この学会はもともとハーバードコントロバーシと呼ばれていて、レーザー治療の先駆者であるハーバード大学、ロックスアンダーソン医師の主催するウェルマン研究所出身の医師たちの、いわば同窓会のようなものだったらしいのです。いつか、ハーバードの名前が取れ、何年か前から、コントロバーシー アンド カンバセーションという名前に変わったようです。

今年は世界から、200人以上の医師が参加しました。参加者全員の名簿が住所付で配られるという、いわば仲間意識の下(それもどうかと思いますが)、議論をするのですが、○○会社のレーザーの、照射時間を測定してみたら、事実は全く違ったよ、とか、こんな技術は効かないのじゃないの?とか、医師たちがファーストネームで呼び合って、談笑するという感じで、本音の激論は痛烈です。

それを聴きながら、休み時間に実際に質問したりして、この機械は買っちゃいけなのだなとか、来年はこの技術の入った機械を買おうとか思うわけです。こういった情報は、医師として、患者さんに最も優れたレーザー治療を提供できるわけですし、経営者にしてみれば、時価にして数千万円以上の価値があると思いますよ。


コントロバーシー情報

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今年のコントロバーシーは Four Seasons Resort Aviara, North San Diego でした。写真はWEBからとりましたが、ホテルはこんなに綺麗です。残念ながら、学会員で予約が一杯になってしまっていて、泊まることは出来ませんでしたが…。

アメリカの学会は朝が早いのです。7時半とかから始まります。
でも、その時間は日本では真夜中なんですよ。

夜通し、学会のセッションに出席して、夜はいろいろなドクターやこちらのレーザーの業者さんや会食してへとへとになります。でもこちらの夜は、日本の真昼間なのでこれがまた、寝れないんですよね。

いつもはアメリカででWEBをあげるんですが、今回は体力的にだめです。すごい情報も手に入れたので、帰国したら順番にアップしますね。


ひもじい食生活

海外の学会に、一人で来てしまうと、意外と食事に困ります。

アメリカの場合、時差の関係もあって、日本の真夜中が食事時間になるので、そもそも食欲が無い。

しかも、地方に来てしまうと、ファミレスもない。かといって一人でホテルの食事をとりたいとも思わない。

今回は移動があまり無いとおもって、レンタカーも借りなかったので、ちょうど1マイル(1.6キロ)離れたスーパーマーケットまで歩いて行って、アボガドの入ったアメリカ版寿司カルフォルニアロールを5ドル35セントで、そして、サラダを1ドル98セントで買って来ました。

アメリカだと量がとことん多いので、これを昨日の晩飯と、今日の朝食に分けて食べました。なんとも安上がりな…。でも、なんか違うような…。

そういえば、去年、ナポリのメソセラピーのトレーニングに行ったとき[関連した日記LOG]は、歩いていけるところにスーパーも無くて、ホテルのレストランも閉まってしまい、ミニバーにあったポテトチップスで夜を明かしたっけ…。

でも、これも経験です。ダイエットになるかもしれないし、良いように考えなくちゃいけませんね(笑)。


傷の残りにくい、新しい創傷治療

そういえば、創傷治療について書こうと思っていたのを思い出しました。

最近、出来た傷は消毒せずに、ラップのようなものでカバーをして治したほうが傷口が綺麗になるという考えが出てきました。夏井 睦先生という人が提唱を始め、数冊本が出ているのです。

今までは「傷の治療は、毎日消毒をしてガーゼを当てる。」「消毒の時しみるのは、細菌が死んでいるから。」「傷は乾かせばよい。」などを、古くからの伝承文化のごとく、多くの医療従事者が盲目的に従ってきました。先輩の医者からそのように言われていますし、子供の時からそうやっている。今更その常識を、辞めようなんて、出来ないですよね。

消毒剤は、確かに、細菌を殺すという作用があります。しかし、考えてみれば、一旦消毒しても、皮下より湧き出す皮膚常在菌によってあっという間に汚染されます。それどころか、皮膚の上皮化をつかさどるケミカルメディエーターを一緒に殺し、組織も破壊してしまいます。功罪のうち、罪の部分もあったのです。

夏井先生の本を初めて読んだときには、新しい治療法に挑戦したその勇気に頭が下がりました。毎日消毒で痛い思いをしなくて良いし、患者さんの負担も楽。これこそ新しい医療です。

結局、傷が出来たら、48時間以内であれば、汚れを(放置すると外傷性の入れ墨になってしまいます。これはレーザーで治療できますが…。)水道水で洗い流し、ハイドロコイドなどの湿潤物質を上から乗せて、放置したほうが傷が綺麗に治るのです。消毒剤や減菌水ではなくて、普通の水道水でいいのです。

数年前に、顔に大きな擦り傷を作ってしまった女の子を診たことがあって、この治療法をおっかなびっくりやってみたのですが、結果はまさにグレイトジョブ!!。それから傷の治療には、この方法を利用するようになりました。毎日のガーゼの交換は痛いですし、傷を作り直しているようなもの。顔にそんなことをやったら色素沈着が起こりますよ。

実は数週間前、クリニックのスタッフが目の前の坂で転倒して、左の膝を大きく切ってしまったのです。膝なら傷が残ってしまうのはかわいそう。

縫うまでも無かったので、この湿潤治療法を採用することにして、早速実践に移したのですが、ガーゼはしない。消毒はしない。本当にこれで治るんですか?と散々詰め寄られ、最初は信じてもらえなくて、困りました。

でも、今は感謝してくれているようで…。

医師としての信頼が失墜しなくて良かったです(笑)。


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