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再びスタンフォードへ

水曜日に慌しく用事を済ませ、そのまま成田へ。

学会とレーザー会社や化粧品会社との打ち合わせがあるのです。

サンフランシスコ経由で再びスタンフォード大学へ。

スタンフォードの形成外科医のドクターハンタッシュが、ハイドロキノンに代わる新しい美白剤のペプタイドを研究しているという情報を得たのです。

ハイドロキノンは肌の表皮の基底層でメラニンを精製する過程の、チロシナーゼ阻害剤ですが、強力な美白剤として知られてきました。しかしながら、この薬は近いうちに米国FDAで禁止されることが分かったのです。

クリニックFでは基本的にレーザー治療が主となるため、ハイドロキノンをメインで使うことはあまりないのですが、それでも患者さんの希望もあってドクター・オバジのクリームプログラムのご案内もしていますし、禁止されてしまっては困る患者さんの顔が目に浮かびます。

美白剤については、アメリカでは議論も盛んで、今までもコウジ酸やアルブチンなどの商材が使えなくなったりしました。ハンタッシュとスタンフォード近くのヒルトンで食事をしました。彼は五つものハイドロキノンに代わる新しいペプチドを研究し、見つけているのです。

この商材は日本にも早々に入ると思います。でもその前に、1つ障害があったのです。明日書きますね。


フランツ・リスト

前回書いた「パガニーニ」の話の続きを書きましょう。雑誌「男の隠れ家」で紹介されていたもう一人の超絶技巧派リストについて。
リストとの初めての出会いは、「超絶技巧練習曲」です。僕が高校生の時に鎌倉の市立図書館でこの練習曲の“超絶技巧”という名前を見て「超絶技巧って一体なんだろう?」と、LPを借りてテープにダビングし、はじめてリストを聴きました。今思うとあまりうまい演奏ではなく、誰の演奏だったかも忘れてしまったのですが、多感な時期に毎日通学の道すがら聴いていたので、リストにはとても影響を受けました。この超絶技巧練習曲は、最近ではブログにも書いた、小菅優さんの演奏のものが好きですね。またリストの「ピアノ協奏曲」も好きな曲の一つです。これは同じく高校生の時にショパンのピアノ協奏曲のLPが欲しくて買ったら、カップリングされていたのですが、思ったよりもいい曲でとても気に入りました。でも、普通の人からすると、リストというとやはり「愛の夢」とか、「ラ・カンパネッラ」なのではないでしょうか。
「ラ・カンパネッラ (la Campanella) 」はフランツ・リストが作曲した6曲から成る『パガニーニによる大練習曲』(Grandes Etudes de Paganini, S. 141) の第3番にあたります。最近コマーシャルでよく聞きますね。何台ものピアノが奏でる“ミミレ・ドドシ・ラソラシソ♪”
この曲はその名が示すとおりニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調Op.7、第3楽章のロンド『ラ・カンパネッラ』を主題にリストが作り上げたのです。リストは20歳の時に、ニコロ・パガニーニの演奏を聴いて感銘を受け、自らもピアノでの超絶技巧を目指したといわれています。
ハンガリー人だったリストは、ピアニストとしては当時のアイドル的な人気を誇っていて、女性ファンの失神も続出した逸話が残っているのだそうです。しかも、どんな曲でも初見で弾きこなしたと言われ、超絶的な技巧を持つ当時最高のピアニストで「ピアノの魔術師」と呼ばれていたそうです。


フジモト・プロトコール

米国レーザー学会(ASLMS American Society for Laser Medicine and Surgery)は、毎年1回アメリカで開かれます。一昨年はオーランド、去年はボストン、今年はテキサス。開催地は毎年変わります。僕はそのASLMSで演題を毎年発表してきましたが、2005年に発表した「アジアンスキンの肝斑に対するQスイッチヤグレーザーピーリングとLEDの併用治療法」はありがたいことに高い評価を頂き、その後その治療法は「フジモト・プロトコール」と命名され、ヨーロッパ・アジア諸国の肝斑治療で使われるようになりました。

前回ヨーロッパの学会に参加したときに、「フジモト・プロトコールのフジモトか?」と何人かのドクターから聞かれ、そうです、と答えたところ、それぞれの先生方は肝斑治療で僕が提案した治療法を使ってくださっているそうです。それを聞いてとても嬉しかったです。

それまでレーザー(フォトディストラクション・光破壊)を中心としていた学会の意向に、LED(フォトバイオモデレーション・光学的生体内変性)を加えた「併用療法」を提案したことに意義があったのだろうと思います。

ところでLEDとはなにか、ご存知ですか? 美容医療現場で使われるLEDは知らなくとも、信号機で使われたり、最近では蛍光灯の代わりに使われたりするので、普段の生活の中では馴染みのあるものだと思います。「青色発光ダイオード」の話題で覚えている方もいるかもしれません。

では、美容医療現場で使われるLEDとはどんなものなのか? それを考える前に、まずは美容医療現場のトレンドの話をしましょう。

美容医療の現場では、レーザーを主体としたアンチエイジング治療がそれまではずっと脚光を浴びてきました。レーザーの光によって表皮と真皮両方に刺激を与えることで、メラニンやヘモグロビンなどの色素を破壊し、コラーゲンの活性を図る事で抗加齢に取り組んできたのです。ところがその後「光治療」と呼ばれる、レーザーのように単一の光でなく、光の波長に幅をもたせた治療法が登場し、注目を浴びるようになりました。レーザー治療のように強烈な変化を一度で求めるのではなく、光治療によって穏やかながら確実な変化を求めるクライアントが増えてきたこともその背景にあります。

LEDはこの光治療に分類されます。LEDでは緩やかな光によって、細胞の中のいくつかの器官を活性化する効果があることが医療現場で明らかになり、学会の演題でも近年多く取り上げられるようになりました。この細胞器官活性効果を、フォトバイオモデレーション(光学的生体内変性)と言います。また、LEDが持つ創傷治癒過程を早める性質が、医療の分野では特に注目されており、LEDを利用した治療器は現在確実に増えています。

1. LEDの光がマストセルを活性化させる。マストセルは肌のコントロールタワーであり、皮膚の細胞の化学伝達物質をつくる他細胞のコミュニケーションの要である。

2.マストセルが放出した化学伝達物質の影響で肌のコラーゲンをつくる線維芽細胞や筋線維芽細胞や、皮膚の中の老廃物を食べ掃除をするマクロファージ、白血球などが活発になる。

3.光の波長で影響をうけた細胞が活化することで、細胞レベルから肌の新陳代謝が高まる

よって→→→たるみ、シワ、くすみ、シミなど総合的な肌効果をもたらす

LEDによって多くの細胞が活性化され、それによって肌の入れ替わり(ターン・オーバー)が早くなるというわけです。レーザーのような痛みを伴わず、穏やかでしかし確実な効果を期待できるLEDは、「スローライフ」を好む世代に受け入れられる次世代的な「スローデバイス」と言えるでしょう。


妊娠線に効くレーザー

「妊娠線」が気になる、どうにかなりませんか?

という患者さんがクリニックに来ることがあります。

妊娠線とは急速な体重増加または骨格の成長に起因する皮膚のストレッチマーク(皮膚割れ線、皮膚萎縮線と同等)のことで、皮膚に「ひび割れ」のように入ってしまう線のことを言います。

真皮までの断裂がほとんどなので、皮膚科学的にもこれを改善するのはなかなか難しいのです。

化粧品ではまずムリでしょうし、医療現場で出来ることも今まではあまりありませんでした。

 

以前に韓国でメソセラピーを使用して妊娠線を改善しているクリニックがあり、見学したことがあります。

MTSという針を併用する療法で、血はだらだら流れ、そのあまりの痛みを伴う治療に、もしも効果があるとしても、これは日本人には到底受け入れられないだろうなと思いました。

僕の専門であるレーザーでも今まで妊娠線に効果のあるものはなかなか見当たらなかったのですが、実は最近、最新のレーザーと既存のレーザーを組み合わせることで、妊娠線の改善が見られる可能性があるという論文が出てきました。

論文に出てくるレーザーは偶然にもどちらもクリニックFにあるレーザーでした。

早速患者さんに施術したところ、結果は思いがけず良かったですよ。患者さんも喜んでいました。

 

化粧品では改善しきれないしわやたるみなど、真皮層に届く症状にレーザーは威力を発揮します。

最近では、上記のようにひとつではなくふたつのレーザー/光治療器を組み合わせることによって驚くような改善が見られるケースも増えてきました。

ふたつのレーザーを組み合わせる場合には、パワー設定や打ち方などにちょっとしたコツが必要となってきます。そのコツがあるかないかで、結果がまったく変わってくるのですね。

オーロラとポラリスを組み合わせたギャラクシーが良い例です。

今度はしわやたるみについて書いていきましょう。


カプリース

アファームの講演で八重洲富士屋ホテルに行きました。早く着きすぎてしまったので、途中八重洲ブックセンターに立ち寄り「男の隠れ家」という雑誌を買ってみました。特集が「大人のためのクラシック」だったのです。

初心者にもわかりやすく、そしてクラシックファンも納得のクラシックの魅力をとてもよく取り込んでいて、買って満足。中でも面白かったのが超A級難易度の作曲家兼演奏家の特集です。このコーナーでは、ピアノではリスト、ヴァイオリンではパガニーニが挙げられていました。

ニコロ・パガニーニに至っては、その悪魔的な超絶技巧の演奏が、悪魔に魂を売ったとしか思えないといわれ、教会での埋葬を拒否されたという逸話が残っています。パガニーニのヴァイオリン音楽史上の金字塔ともいえる、「24のカプリース(奇想曲)」をお聴きになったことがありますか? 特に第一番はその時点までのほぼすべてのヴァイオリンの奏法が持ち込まれています。

パガニーニ:カプリース

買ったきっかけ:
15歳のときに演奏したパガニーニ最高難易度のバイオリン曲。

感想:
10度重音、一弓スタカート、二重トリル、左手のピチカートなど、ほぼ完璧な技術であっさりこの曲を弾きこなす五嶋みどりは本当に天才です。

おすすめポイント:
バイオリン好きは、一度は聴いてみたい名盤です。

超絶技巧の演奏ができるためには、もちろん手先が器用であるということが重要だと思いますが、これには手指が長い、手指が柔軟であることが不可欠です。 などなど。僕も初めて聴いた時は、確かに神か悪魔の演奏と思いましたよ。二人で弾くことならできそう。そんな感じです。

実はこういった二つの症状を同時にもつ病気があります。それはマルファン症候群という遺伝性の結合組織の病気なのです。マルファン症候群は、異常に長い肢が特に特徴ですがあとの症状をあげると高身長、上肢や下肢などの手足、指が細くて長い(クモ状指)、関節の過可動性といったところでしょうか。このパガニーニも、リストも、そして僕の好きなラフマニノフも、実はマルファンだったのではという推測があります。演奏家としては天与の才能になるのでしょうね。

このマルファン症候群、体中の結合組織が病気になってしまうので、大動脈かい離などの病気で命を落とすことが多かったようです。

ちなみにこのパガニーニの「カプリース」。お勧めのCDは、五嶋みどり演奏のものです。「男の隠れ家」でもこれが紹介されていました。彼女は見かけからしても、もちろんマルファン症候群ではないですが、この演奏、15歳の時にレコーディングしているのだそうです。天才ですね。

リストについてはまた次回書きます。


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