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ビタミンCがガン細胞を殺す

今日はクリニックFの休診日でした。僕は在宅診療の日だったのですが、向かう途中偶然本屋で立ち読みしていて見つけたのがこの本です。

「ビタミンCがガン細胞を殺す」

「ビタミンCの大量注入療法は果たしてガンに効果的があるのか?」

という議論は、古くから医師の間でなされていました。

ライナスポーリング博士による「メガビタミン療法」という言葉を聞いたことはありますか? 一度は米国医学会から葬り去られた彼の理論は2005年にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に採択された「薬理量濃度のアスコルビン酸は選択的にガン細胞を殺す:過酸化水素を癌組織へ移送するプロドラッグ作用」( 2005;102:13604-13609 )という論文によって、また注目を浴びることになりました。大量ビタミン療法がやはりがん治療において無視できない理論であったことが再確認されたのです。

この論文を一般読者向けに噛み砕いて書かれたのがこの本です。

家に帰ってから論文の原文を読んでみました(下にアブストラクトを貼り付けます)。ほんの10年前なら、よい論文を見つけても、大学の図書館に通って、内容を確認しなければならなかったのです。これが大学病院勤務医と開業医の知識差を作っていたのですが、今は英語を読むのが苦でなければ、自宅から原文をチェックできるのです。日々勉強している医師ならば、どんな地域にいても最新の医学知識にアクセスできる。インターネット時代の素晴らしいところです。

この実験では、バーキットリンフォーマという悪性リンパ腫の細胞を使用していますが、大量のビタミンCが、その抗酸化作用により、正常の細胞に影響なくガン細胞のみを破壊することが出来るということが証明されています。ガン細胞を破壊できるまでビタミンCの血中濃度を上げるためには、ビタミンCを静脈に注射をするしかないのですが、その方法は医師であればいたって簡単であり、しかも抗がん剤などとの併用も可能です。

しかし残念なのは、この方法は、日本では現在、保険診療が出来ないということです。日本の保険診療は、国民に低い自己負担額で、医療のアクセスを保障したと言う点では世界に胸を張れる素晴らしい制度だと思いますが、こと最新医療に関しては、厚生労働省が保険診療を認可するまで、試すことが出来ないというのは残念な話です。

ちなみに、現在世界で使われている販売実績ベスト100の薬の中で、日本の保険診療下で使用できるのは60程度。つまり世界で最も売れている薬の3分の1が日本で保険診療では使用できないのです。これは世界の主要30カ国のうちで27番目の数字です。驚くべきことだと思いませんか?

僕のクリニックFでも、最新のレーザーは、自分の医師免許を使って個人輸入しています。そうでもしない限り、世界と同じレベルの医療は提供できないのです。

今後、日本の医療がこれから転換をしてゆかなければならない分野ですね。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Sep 20;102(38):13604-9. Epub 2005 Sep 12.

Pharmacologic ascorbic acid concentrations selectively kill cancer cells: action as a pro-drug to deliver hydrogen peroxide to tissues.

Molecular and Clinical Nutrition Section, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

Human pharmacokinetics data indicate that i.v. ascorbic acid (ascorbate) in pharmacologic concentrations could have an unanticipated role in cancer treatment. Our goals here were to test whether ascorbate killed cancer cells selectively, and if so, to determine mechanisms, using clinically relevant conditions. Cell death in 10 cancer and 4 normal cell types was measured by using 1-h exposures. Normal cells were unaffected by 20 mM ascorbate, whereas 5 cancer lines had EC(50) values of <4 mM, a concentration easily achievable i.v. Human lymphoma cells were studied in detail because of their sensitivity to ascorbate (EC(50) of 0.5 mM) and suitability for addressing mechanisms. Extracellular but not intracellular ascorbate mediated cell death, which occurred by apoptosis and pyknosis/necrosis. Cell death was independent of metal chelators and absolutely dependent on H(2)O(2) formation. Cell death from H(2)O(2) added to cells was identical to that found when H(2)O(2) was generated by ascorbate treatment. H(2)O(2) generation was dependent on ascorbate concentration, incubation time, and the presence of 0.5-10% serum, and displayed a linear relationship with ascorbate radical formation. Although ascorbate addition to medium generated H(2)O(2), ascorbate addition to blood generated no detectable H(2)O(2) and only trace detectable ascorbate radical. Taken together, these data indicate that ascorbate at concentrations achieved only by i.v. administration may be a pro-drug for formation of H(2)O(2), and that blood can be a delivery system of the pro-drug to tissues. These findings give plausibility to i.v. ascorbic acid in cancer treatment, and have unexpected implications for treatment of infections where H(2)O(2) may be beneficial.

http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pubmed&pubmedid=16157892


クリスマス

クリニックFもすこしクリスマスらしい飾り付けになりました。


任天堂「Wii」

商品券がいくらか余っていたので、何を買おうか迷っていたところ、話題の任天堂「Wii」を買ってみようと思い立ちました。

任天堂といえば、イチローのいるシアトルマリナーズのオーナー企業でもありますし、TVゲームという、アニメと並んで世界で勝負できる日本のソフトコンテンツを作っている企業と言えますよね。

Wiiを使ってフィットネスや体調管理をするという「Wii Fit」が欲しいと思って探してみると、どのお店を見ても完売。クリスマス商戦さすがうまいですね。

今回は「Wii Fit」はあきらめ、「はじめてのWii」「Wiiスポーツ」というソフトを買いました。

テレビゲームは、とりわけ好きだという意識で見たことはなくても、小学校時代にインベーダーゲームを見てしまった僕たちの世代はなんだかんだでゲームが身近な世代です。

医学の世界では最近内視鏡の外科手術が流行していますが、内視鏡手術は画像を見ながら、手元を動かして手術します。実は、この手術はテレビゲーム世代と、それ以上の世代では、上達のスピードが違うと言われているんですよ。術者を見ているとよくわかりますが、テレビゲーム世代の若い人の方がうまい。

衛星放送を使って、ヨーロッパの患者さんにヨーロッパで行う脳外科の手術を、アメリカ人医師がアメリカから遠隔操作で行ったりすることができる時代になりましたので、今後も「ゲーム世代の外科医」はよりニーズが増えるように思います。

果たして良い事なのか、悪い事なのか。

最新の手術が出来る医者が増えるのは良いことのように思いますが、ゲームを攻略するように執刀するのは考えものですよね。

話がそれました。

ところで、この「Wii」はコントローラーが変わっています。コントローラーの動きや向きを感知して、キャラターがそのまま動くのです。テニスやゴルフをしましたが、感覚は本物そっくり。打った時の振動や音なども、ちゃんとリモコンのコントローラーから感じたり、聞いたりできるのです。いやー、すごいですね。おかげで今日は寝不足です(笑)。


肝斑とイオン導入器

肝斑は、メラニン色素の影響で茶色に見えますが、このメラニンは活性酸素がついて酸化型になることにより、茶色い色が増すことになります。

厄介ですね。

ここで、皆さんもよくご存知のビタミンCの出番が来ます。

ビタミンCと一言で言ってもいくつかの種類があります。簡単に言うと、「美肌に効くビタミンC」と「効きづらいビタミンC」があるのです。

皮膚への浸透が高い、「高浸透型のビタミンC」を使用すると、ビタミンCの活性酸素還元能力により、茶色い酸化メラニンが、還元型に変わり、色が薄くなります。

肝斑治療ではこのビタミンCを使った外用薬治療も非常に重要である、と考えています。

このビタミンCの浸透能力を上げる施術の一つにビタミンCのイオン導入というものがあります。クリニックやサロンで使用する、いわば業務用と家庭で使うことができるホームケア用の二種類があります。

イオン導入器にはレーザーと同じように長い歴史があり、毎年のように新しい機能が付加されるため、ホームケア用に三年以上前のイオン導入の機械を使っている方は、現在最も安い機械を買いなおしても、新しい機械の方が効果が高いと考えてよいと思います。

クリニックFでホームケア用に推奨しているのは、「イオンスキンケアリフト(写真)」という発振周波数に1,000Hzを使用した、現在販売されている同種のイオン導入機器の中ではもっとも効果的なものなのですが、価格は19,950円(税込)と割安なので人気商品です。

家庭用に使うものは、あまり高すぎてもいけないですよね。

ちょうど施術する手に当たる部分が、金属でできており、これをアースにすることで、より浸透度をあげています。


肝斑とLED

肝斑を特別なレーザーによって治療した後、

「はい、これで治療はおしまい」

と言って帰してしまうのでは肝斑治療は“完全”とは言えません。

まず第一に、顕微鏡を使って肝斑の病態の組織像を見ると、ほぼ100%の確率で炎症細胞が観察されます。こうした皮下の炎症状態を抑えるために赤色のLEDの治療が非常に有効なのです。

さらに、レーザー照射後「マイクロクラスト」といわれる「メラニンのかけら」が肌の中にはまだ残っています。このかけらを処理しておかなければならないのですね。

「マイクロクラスト」を処理する「マクロファージ」という細胞があります。

マクロファージは“肌の異常細胞を食べてくれる掃除屋さん”いわば“仕事人”です。その仕事をきっちりさせるためには、活性化させる必要があります。

マクロファージを活性化するために何が必要なのか?

必要なのは、赤外線です。830nm程度の赤外線光によって、マクロファージは活性化されます。

また、肌を構築するケラチノサイトや免疫系の司令塔であるマスト細胞なども赤色から赤外線域の光によって活性化されるので、ターンオーバーも活発になります。

レーザー照射後、赤外線光を当ててマクロファージを活性化することが、肝斑治療には非常に重要である、と言えるわけです。

この赤外線光を当てる機器として白色(赤外線)LEDと呼ばれる光治療器を僕は使用します。

LEDは皆さんの身近なところに常にあります。今年は六本木ミッドタウンのクリスマスイルミネーションが大評判のようですが、あれもすべてLEDなんですよ。以前には赤しかなかったLEDが、今は緑も青も開発されたので、あんなに美しい光の演出ができるようになったのです。

LEDとLEDの効果については以前に書いたフジモトプロトコールでもふれましたが、レーザーと比較して1/1000以下の弱い出力の光を使用することで、肌の細胞をゆっくりと変化させていくという「フォトバイオモデュレーション」という治療法が開発されています。

この画像はクリニックFにおいてあるオムニラックスというLED治療器です。小さな機械ですが、本当に肝斑に関しては「仕事人」ですよ(笑)。


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