「口唇(こうしん)ヘルペスの既往があると、レーザー治療はできません」
と言われたことはないですか?
クリニックFでの問診表にも、ヘルペスの既往歴を書いていただく欄があります。
ちょうど昨日
「この“ヘルペス”ってなんですか? どうしてレーザー治療に関係あるんですか?」
と、ある患者さんから聞かれたので、ここで簡単に説明しておきたいと思います。
ヘルペスとは、
「皮膚や粘膜に小さな水ぶくれ(小水疱)が集まった状態」
のことです。「ヘルペスウイルス」の感染によって起こります。
ヘルペスウイルスの特徴は、一度感染すると、症状がなくなった後にもウイルスが神経節に潜んでおり、抵抗力が落ちると潜伏していたウイルスが神経節から出てきて再発を繰り返すというものです。
レーザー照射を口の周りに行うと、ヘルペスが再発するといった例がまれにあるため、きちんとした診療を心がけるクリニックでは、たいてい診察の段階で口唇ヘルペスについて事前に確認するわけです。
では、具体的にどういった症状が起きるのでしょうか?
ヘルペスになるとまず、皮膚の違和感が起こり、「かゆみ」や「ほてり」を感じます。
半日ぐらいすると口唇の周りが赤くはれ、1~3日で水ぶくれとなり、かさぶたになって治る・・・といった経過をたどります。
もしこうした症状に心当たりがあれば、一度診察を受けておくことをお勧めします。
ヒトヘルペスウイルスは、実は8種類もあり、中でも上記の症状を示す「アルファヘルペスウイルス」に属するものは3種あります。
口唇ヘルペスをおこすものは、単純ヘルペスウイルス1型。
性器ヘルペスをおこすものは、単純ヘルペスウイルス2型。
水ぼうそうをおこすものは、水痘・帯状疱疹ウイルスといいます。
どれもが皮膚に同じような水疱を作りますし、体力が落ちた時、疲れた時など免疫力が落ちたときに再発すると言うのは一緒なのですが、それぞれ違ったウイルスなのです。
口唇ヘルペスを防ぐのは、やはり体調管理と休養・休息、睡眠、そして十分な栄養を取ることにつきます。
細菌を殺す抗生物質の開発に比べて、抗ウイルス薬の開発は遅れましたが、現在はアシクロビルなど、口唇ヘルペスに効果的な薬も処方箋や薬局で買うことができるようになりました。ただ自己診断は禁物ですね。必ず専門の医師に指示を仰いでほしいものです。
クリニックFでも、自費診療にはなってしまいますが、こういった薬を処方することもできるので、患者さんからは美容やアンチエイジングの相談の際に気軽にお声を掛けて頂いています。
特に夏場は思ったよりも身体が疲れていますから、ヘルペスの再発に注意が必要な季節なんですよ。
「人間は夏に老いる」
という言葉もありますから、くれぐれもお体には気をつけてくださいね。
僕も今日は一日診療を休んでゴルフに出かけてきます(笑)。