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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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フラクショナルCO2レーザー 納品されました!!

2008年最後の期待の新星。

フラクショナルCO2レーザーがとうとうクリニックFに納品されました。

ルートロニック社のeCO2(エコツー)プレミアムが日本初上陸です。

アメリカでは、フラクセルやアファームMPXなどのフラクショナルレーザーよりも、より強力で、効果の高いCO2を使用したフラクショナル治療が一般的になりつつありました。

CO2の波長を使用すると、肌を蒸散する能力が高く、ニキビ跡や毛穴を治療する効果が高くなるのですが、反対にダウンタイムと呼ばれる、日常生活に復帰できる時間が長くなってしまいます。

こうしたアグレッシブなレーザーは、欧米人や、韓国人など、結果にこだわる人種には受け入れられると思うのですが、あまり日本人向きではないのかなと、導入には慎重になっていました。

しかしながら実際に使ってみると、パワー設定を調節することでこれらのトラブルは回避できそう。それでも数日のダウンタイムがあるので、フラクショナルレーザーの未体験者にはお勧めできませんが、

「フラクセル2」や「アファームMPX」や「モザイク」で改善できなかった、深いニキビ跡や毛穴に悩んでいた人には、その後の選択肢の一つになりそうです。

技術は進歩するものですね。

フラクショナルCO2レーザーは、米国では一回5000ドル(約50万円)もする高額な施術ですが、数回でフルリサーフェシング(肌の総入れ替え)が可能で、患者さんはこの機器を導入しているクリニックをわざわざ探して遠くから訪ねて来るそうです。

今日はルートロニック本社のある韓国から、テクニカルトレーナーが、新しいパラメーターと使用法を教えに来てくれました。

これから私たち日本人の肌に最適なパラメータを決定する予定ですので、実際の患者さんへの施術は年明けからになります。

乞ご期待。


コールドレーザー

2008年12月12日はグランドセントラルステーション近くで、コールドレーザーという痛みを取る専門のレーザー機器開発企業と打ち合わせでした。


肝斑治療のレーザー。ホヤコンバイオ社「メドライトC6」

これが今日クリニックFに導入された新しいQスイッチヤグレーザー。

ホヤコンバイオ社の「メドライトC6」です。

クリニックFではこれまでも、肝斑の治療にレーザーを使用してきました。

ルートロニック社のSpectraVRMⅢ。

そしてサイノシュア社のアコレード。などなど。

レーザー機器には性能を決定する五つの要素があります。

それは

「波長」、「パルス幅」、「ビームモード」、「ビーム径」、「フルレンス」

しかしながら、レーザー機器はハイテク工業機器ですので、カタログ上では、全く同じ波長を使った同じ性質のはずのレーザーでも、製造会社によって少しづつ性能が異なることがあるのです。

肝斑をより効果的に治療するレーザートーニングを行うために、どうしても欲しかったレーザーがこの「MedliteC6」

とうとうクリニックFにも導入されました。

僕が以前C6を使用したときに、ひとつ気になった点がありました。オリジナルのC6は、ガイドレーザー光が強すぎて、照射前後の細かい病変の変化が見えにくいのです。かといって照射前にガイド光を消すわけにもいきません。

そこで、今回の導入時に、僕が注文を出したところ、JMEC社の技術の方が、わざわざ時間をかけてクリニックF用にカスタマイズしてくれたのです。

そして、今後の国内のC6注文を受けた場合、僕の意見が採用されて、今回僕がカスタマイズをお願いした、この仕様で出荷されることのなったのだとか。ちょっと嬉しいですね。

導入されて嬉しいことは嬉しいのですが、高級外車並みの支払いを考えると「顔で笑って心で泣いて」といったところでしょうか…(笑)。

まあ、寿司屋さんが用途に分けて沢山の種類の包丁を持っているのと同じく、レーザークリニックは、まずはレーザーに投資しなければですよね。

ところで、以前のブログにも書きましたが、2005年以降はQスイッチレーザーで肝斑を治療することが、世界では一般的な治療になりました。すでに、多くの論文も発表されています。

反対に、ライムライトやナチュライトなどのIPL(光治療器)で、肝斑を治療できると紹介している記事を見たことがありますが、正確には、「肝斑の中には、IPLで薄くなるタイプがある」という程度でしょう。成功率は30%ぐらいだと思います。

おそらくIPLが肌のターンオーバーを早めるために、肝斑が薄くなって見えるのだと思います。理論的にはIPLのパルス幅ではメラニンを破壊できませんから。

ところで、肝斑をレーザーで治療する上では、以下5つの注意点があります。

1.表皮最下層にあるメラニン色素を破壊できるように、深達度の高い“赤外線域の波長”のレーザーを選択する。

2.メラニン色素を破壊する臨界照射時間(TRT・熱緩和時間)である50ナノ秒以下のレーザーを選択する。

3.均一にレーザーが照射されるように照射径内のパワーが均一なトップハットモードのレーザーを選択する。

4.メラニン色素のみを破壊し、周りの正常皮膚に影響が無いパワーを選択する。

5.目の周りに発生することが多い肝斑は、レーザー照射によって網膜に影響を与えることがあるので、適切なスポット径を選択する。

しかし、いよいよメドライトC6がクリニックFに入ったことで、おそらく国内どころかアジア圏で、これだけ肝斑用のレーザー機器をそろえたクリニックは他には無いのではないかとおもいます。

肝斑でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


USA LASER BIOTECH INCのネルソン・マクガイヤー博士と

実はこのアンチエイジング歯科学会で、僕の次に招待講演をされたのが、このネルソン・マクガイヤー博士でした。

彼は工学や医学について勉強後、約12年前にアメリカはヴァージニア州に“USA LASER BIOTECH INC”という会社を立ち上げ、 治療用レーザーの開発をされているのです。

今回の学会の招待講演で彼が話したのは、痛みを軽減するレーザー治療器についてです。

痛みを軽減するレーザーは、僕がレーザー医療に興味を持ったきっかけにもなりました。

僕は医学生の時に最も興味を持った「痛み」についての研究をしたくて、初期研修に麻酔科を選択しました。今はアメリカのレーザー専門医を取得し、すっかりレーザー皮膚医療分野の医師になりましたが、日本ペインクリニック学会認定医でもある僕にとって、痛み治療はレーザーと並ぶ専門の一つです。

もう10年以上も前の話ですが、本郷の東大附属病院の痛み(ペインクリニック)外来で診療をしていた時に、スーパーライザーというLLLT(Low Level Laser Treatment 低出力レーザー機器)に出逢ったのです。

当時東大病院では、痛みの治療にレーザー機器を使用していたのです。

特殊な波長とパルス幅のレーザーを照射すると、細胞の中のミトコンドリアが活性化されます。

細胞のエネルギー発電所であるミトコンドリアの活性が上がると、細胞の働きが活発になるのです。

神経節の近くにこのレーザー光を照射すると、痛みを伝達する神経よりも太い神経が刺激されるので、痛みを伝達する神経がマスクされるのです。この理論は「ゲートコントロールセオリー」という名前で有名です。

今回のマクガイヤー博士は、自社でこの低出力レーザーを改良し、810nmの波長の半導体レーザーを連続モードをパルス式に変え、出力を高出力にしたものを開発したというわけです。

彼は医学に加えて工学的な知識も豊富。さらにお父さんが歴史学の大学教授ということもあってアカデミックな家系に育っているため、研究に対する姿勢は真摯そのもの。僕の父親も社会情報学を大学で教えていますので、環境も思考パターンも共通のものを感じました。

講演が終わってから懇親会が始まるまで待ち時間があったのですが、講師控室に二人きりの状態で、気づいたら2時間以上もレーザーについてディスカッションしていました。

この痛みを取るレーザーも、実際に使用してみなければ何も言えませんが、興味深い機器であることは確かですね。

また、彼の会社では、最近はパルス幅が極端に短いために、組織を傷害する放熱時間を考えずにピークパワーを上げることができるフェムト秒レーザーを利用して、CTやMRIのような断層写真が撮れる機器を開発しているのだそうです。

理論的には、フェムト秒のように短い時間であれば、体を突き抜けるレベルの高出力のレーザー光を、体内に熱影響を与えることなく照射することが可能なはずです。

この特殊なレーザーを使用して断層写真を撮ることができるようになれば、被爆の心配が全くないまま、非常に画質の良い断層写真を動画で取ることができるのです。

腸が詰まっていたり、肺に炎症があるのを、何度も写真を撮りなおすのではなくて、医者が目でその場で確認することができるのです。

医学が飛躍的に進歩することでしょう。

ヴァージニアにある彼の会社を、近々訪問できるようお互いに調整していますが、それはまた追ってこのブログで報告しますね。


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