今回新しく作っているジェルの処方がやっと決まりました。
新しいジェルの主成分は、僕がずっと研究で関わってきたフラーレンを、植物性スクワランに溶解したLipoFullereneです。
一般に効力の強い物質を多く混ぜると、逆にテクスチャーは悪くなって使いにくくなってしまいます。効能と使い勝手は相反する関係にあるのです。
今回新たに発表されたリポフラーレンは、高機能のフラーレンと、原料としてすでに定評があり、効能も優れているスクワランと合わせた事で、相乗効果を狙ったわけです。
フラーレンの研究では、今まで僕は、2008年4月フロリダの米国レーザー医学会、2008年10月パリの欧州皮膚科学会、2009年4月ワシントンDCの米国レーザー医学会と、世界を代表する医学会で、三つの研究演題を発表してきました。
さらに今年の10月のベルリンで行われる欧州皮膚科学会でもフラーレンとレーザー治療についての演題が再び通過したという連絡が先月ありました。
フラーレンとレーザーの研究では国際医学会通過率は4連勝で、しかも現在まで演題通過率100%。フラーレンなどの新たな抗酸化物質の研究は、多くの査読者の興味のある内容なのでしょう。
フラーレンの医学的応用は、僕の専門分野の一つになりつつあります。
そもそもこのフラーレンという物質は、レーザー皮膚治療ととても相性が良いのです。
リポフラーレン。C60というサッカーボール型の炭素60個からなる構造を持つフラーレンの骨格を維持していますが、原料は淡いピンク色の上品な色彩です。
なぜ、この原料を新しいジェルに混ぜたかというと、答えは紫外線対策です。
これからの季節、紫外線が強くなりますよね。
紫外線といえば、メラノサイトを活性させてシミのもとになる、いわゆる「色彩的老化」に対する弊害ばかりがクローズアップされてきました。
しかしながら、近年、紫外線(UV)によって表皮に分泌された皮脂が、過酸化脂質という、毒性の強い油に変性し、皮膚を、「シワ」ができたり、「毛穴が開く」といった、いわゆる年老いた状態にしてしまう、「形態的老化」 の原因になっているのが明らかになってきました。
この過酸化脂質は、周囲の細胞膜やタンパク質、さらにDNAまでも傷つける毒性の強い物質ですが、肌の表面に分泌されている皮脂が変性してしまうと、油の特性でもある「自動酸化」によって、連鎖的に真皮内にある皮脂腺まで酸化させてしまうのです。
紫外線は、波長の特性上、真皮のように深くまで浸透しないので、物理的には「形態的老化」には関連が低いと考えられていたのですが、
油の自動酸化という、化学的要因によって、間接的に真皮に影響を与えていたわけです。
こうした酸化反応を抑えて、過酸化脂質の発生を防ぐ物質としては、ビタミンEのような脂溶性の抗酸化物質があげられるのですが、これらの物質は紫外線によって分解されてしまいます。
フラーレンには、もともと強い抗酸化能力(ROS・フリーラジカル除去活性)がありますが、この原料の抗酸化力は紫外線照射下においても安定していることが、最も際立った特徴であると言えます。
クリニックFでは、このリポフラーレンにいくつかさらに原料を加えた形で作ったジェルを今週から患者さん向けに院内処方を始めました。
その他加えた材料はアスタキサンチン、リコピン、TPNa、トコフェロール、トコトリエノール、ホホバ油、エキストラバージンオリーブ油、エゴマ油、パーム油、βカロチン、ヒアルロン酸、などなど。
保湿力が高いのに、肌にすっとなじむ感触は新鮮で、素晴らしい商材ができたとスタッフと喜んで使っています。
名前はベタですが「リポフラーレンジェル」 6300円
今後この新規原料を採用する企業がどんどん出てくると思いますよ。