いつもいらしてくださる患者さんが、かっこいい折りたたみ式の自転車で現れました。
・・・僕も欲しくなってしまいました。
いつもいらしてくださる患者さんが、かっこいい折りたたみ式の自転車で現れました。
・・・僕も欲しくなってしまいました。
最初に出席したのは、レーザー機器のセッションでした。
その中でエジプトの先生が発表した内容がちょっと刺激的でした。
彼は、皮下のコラーゲンを増加させるとされている、多くの会社のレーザー機器を比較実験し、本当に効果があるのか、統計学的な検討を加えたのです。
彼が比較検討を加えたのは、
RF(サーマクール)
Nd:YAG(1320nm)
IPL + RF (e-Light ST Syneron)
Erbium:YAG
メソセラピー
IPL
の6種類の施術方法です。
肌の骨格を構成するいわゆる「1型コラーゲン」と、
創傷治癒の初期に増殖し、いずれは1型コラーゲンに入れ替わる「3型コラーゲン」の二つのタイプの増減が検討されていたのです。
彼の結論は、
サーマクール と e-light ST については長期的なコラーゲンの増加が認められるが、その他の機種や、メソセラピーにはコラーゲン増加効果はないというもの。
サーマクールとリファームSTが長期的に皮下のコラーゲンを増やすというのは、僕の臨床経験からしても納得です。
ただし、施術方法による比較検討は、評価が非常に難しいと思います。
彼はスライド上で、パラメーターを公開しませんでしたので、どの程度のパワーで照射されているかわかりません。
また、白人種、黄色人種、黒人種それぞれに対して、相性の良いレーザー光治療機があるので、その発表そのものが日本人の肌に適応できるかわからない。
特にレーザー光治療の効果は、機器の選択以上に、
照射方法
設定するパラメーター
さらにそのレーザーが出力表示通りのパワーが出ているかという機器の問題などなど。
いわゆる「使用方法」や「使用条件」によって違いが出てくる場合が多いのです。
クリニックFにいらっしゃる患者さんで、
「他院で全く同じ名前の機器の施術をしてきたけれど、同じ機械でもぜんぜん違うんですね!」
とおっしゃる方がいらっしゃいます。僕は、どの患者さんに対しても、クリニックF独自 のレーザー光治療機でのパラメータに設定しなおしますし、患者さんによって照射方法を変化させます。
そのため、実際に施術後、効果の違いに驚かれることもしばしばあります。
患者さんそれぞれに対し、最も適したパラメータを探すこと。僕はこれに、最も時間をかけているとも言えます。
適切な機械の選択と、その照射方法。
レーザー治療のカギはここにあります。
会場には早朝に着いたので、まずは僕の発表演題のポスターを貼りました。
今回はポスターセッションでの参加です。
学会発表を行うとき、口演で発表するかポスターで発表をするか選択を事前に行います。
口演で発表するメリットは、一度に多くの聴衆に向かって話すことができること。新規性のある内容や、視覚的にアピール力のある内容を伝えたいとき、また自分自身が新参者で学会でまず自分の顔や名前を覚えてもらいたいときに、適した発表スタイルと言えるでしょう。
しかしながら、口演時間は長くても持ち時間が6分。どんなに素晴らしいデータを出したスライドも、さっと流さなければなりません。
それに対してポスターでの発表は、多くの情報を正確な形でプレゼンテーションすることができるため、文字情報や考察がメインのものには適しています。ひとりひとりのドクターや関係者がじっくり内容を読んでくれるため、ポスターの内容が良いと、時に口演よりも評価に繋がるときがあります。
今回の僕の発表は、「強力な抗酸化物質であるフラーレンの、レーザー治療に対する適応」についての研究。じっくり目を通してもらいたい内容だったので、ポスターセッションを迷わず選びました。
実際に作って持っていったのは、こんなポスターでした。
レーザーのように強いエネルギーの照射を皮膚に行うということは、当然功罪どちらも考える必要があります。
功罪の「功」=効果は、肌の下のメラニンを破壊すること。コラーゲンやエラスチンを増生させること。
功罪の「罪」=害は、パワーオーバーで照射されてしまったた場合に起きてしまう火傷。そしてレーザー照射後の色素沈着症です。
この色素沈着には、皮膚にレーザーが照射された時に発生する数種類のラジカルが関わっているのですが、そのデータをスピンエコー法で分析したのです。
東京女子医大との共同実験でした。
フラーレンをレーザー照射前後に使用すると、こうしたレーザーの害を低下させることができて、より治療効率を上げることができるのです。
このポスター、学会では評判になり、多くのドクターから声をかけてもらいましたよ。
まずは事前登録していた名札を受付でもらいます。
メンバー(認定医)ですから青色のバッジをもらいます。
EADVヨーロッパ皮膚科学会の参加も思えばもう7回目です。
2005年 イギリス ロンドン
2006年春季 フィンランド サーリセルカ
2006年 ギリシャ ロードス島
2007年 オーストリア ウイーン
2008年 フランス パリ
2009年春季 ルーマニア ブカレスト
そして
2009年 ドイツ ベルリン
このEADVは、ヨーロッパ系の学会では最も僕が重要視している学会。
知り合いや声をかけてくれるドクターも増えてきました。こういった人脈や情報網は一晩ではできませんから、僕にとってはお金で買えないとても貴重な財産となっています。
それにしても今年の人出はすごい。
ここのところ、経済状況が悪いので、医療の最先端を往くアメリカの学会でさえ人の入りが悪いのです。
こんなに会場がごった返しているのを見るのは数年ぶりです。
今日は天気も悪いので
学会会場に終日籠って新しい知識を仕入れよう
と思い、どのセッションに参加するのが一番効率的か考えます。
この後ろの掲示板。枠のすべてが学会討論の場なのですよ。
レーザー、ボトックス、フィラー、リサーフェシングなどのセッションを選んで会期中に出席するものを決めていきます。
今日は日曜日ですので、学会の話は明日以降にして、僕がドイツで買ってきたお土産をご紹介しましょう。
僕は写真集や画集が好きで、海外に行くと必ず本屋を覗きにいきます。
今回もついつい買ってしまいました、3冊。
まず最初はバッハゆかりの地、アイゼナッハで買ったドイツ語の「マタイ受難曲」4枚のCD付き。
新約聖書のマタイによる福音書でキリストの受難について書かれた曲集です。
全ての曲に対して関連した絵が引用されているのですよ。
素晴らしい本に出逢い、すぐに買ってしました。ドイツ語は大学の時に習いましたが、もう少し勉強しておけばよかったなあ。
こちらはベルリンのソニーセンターにあるフィルム博物館で購入した80年代の映画のパンフレットが載っている画集。
どれも懐かしいものばかり。
80年代の映画というと、CGもそれほど発達していなくて、随所に工夫が見えるんですよね。
「ET」とか「この男凶暴につき」とか、「TOP GUN」とかのパンフがありましたよ。本当に懐かしい。
もう一つは同じフィルム美術館で購入した新旧映画俳優のアルバムです。
グレゴリー・ペックからレオナルド・ディカプリオまで思い入れの残る俳優のショットが収まっているのです。
重くて、持って帰るのが一苦労でしたけど(苦笑)どれも眺めているだけで楽しいですよ。