昨日はクリニックFの診療後、予定されていた会食までちょっと時間が空いたので、渋谷に寄り道してきました。
3月3日から渋谷東急Bunkamuraに展示されている、フェルメールの「地理学者」を見に行きたかったのです。
ちなみに僕は、現在工学部博士課程の大学院生でもあるので、学割で入れてもらいました(笑)。
フェルメール以外にもフランドル地方の絵が沢山展示してあったのですが、30分ほどしか時間がなかったので、そのままフェルメールの絵に向かいました。
その分フェルメールは、ゆっくり観ることができましたよ。
フェルメールは日本ではゴッホやピカソに並ぶ人気のある画家ですが、生涯で30数点の作品しか残さなかった寡作の人でもあります。
世界各国の国際学会に参加した時に、現地の美術館に行ってフェルメールの絵を観ることを一つの趣味にしている僕ですが、「地理学者」はフランクフルト・シュテーデル美術館から世界中に貸し出されることが多く、実際に実物を観たことがなかったのです。
こちらは、Wikipediaの画像です。
この絵をよく観察すると、モデルの男性が日本の着物の様な服を着ていることに気付きます。
この服は1600年代にオランダの富裕層の間で流行した、日本風の着衣なのだそうです。
壁の下にはデルフト焼のタイルが見えますし、地理学者が手に持つコンパスも、後ろにある地球儀も丁寧に描かれていました。
キャンバスの質感も、素晴らしく綺麗でしたよ。
感性豊かな時間を過ごすことができました。
フェルメールの絵画は全世界に37枚残っています。
このうち、この絵は僕が実際に観た26枚目の絵でした。
フェルメールの絵の中には、1990年にボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から盗まれて、いまだに行方がしれない「合奏」や、個人の所有物になってしまっているものもあります。
残り11枚。観るチャンスがあればいいのですが…。
フェルメールといえば、単身女性像と呼ばれる、窓のある小部屋に女性一人がモデルとなる絵を描く作風で知られていますが、フェルメールが男性をモデルにした絵は、今回来日したフランクフルト・シュテーデル美術館の「地理学者」と、パリ・ルーブル美術館の「天文学者」の2枚しかありません。
こちらはWikipediaよりお借りした「天文学者」の絵ですが、この絵についてはパリブログでもふれましたよね。
ちなみに、フェルメールの「地理学者」と「天文学者」のモデルは実は同一人物で、フェルメールと同じ年に同じデルフトで生まれ、生前交友関係にあったアントニー・ファン・レーウェンフックなのではないか?
という説があります。
レーウェンフックは、顕微鏡を発明し、微生物を初めて見た人物で、「微生物学の父」として科学史に名前を残しています。
Wikipediaでレーウェンフックの肖像画を見つけましたが、確かに面影があるような気もしますね。
僕が理科系の科目に興味を持ち、将来、研究者になりたいと思ったのは、小学校の時に祖母から買ってもらった小さな顕微鏡がきっかけでした。
もしも本当にこの絵のモデルがレーウェンフックだったとしたら、夢が広がりますね。