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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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レーザー会社5社とのディスカッション

ここ最近クリニックFは大忙しの日々が続いています。

特に昨日はばたばたでした。

特に意図してこの日にぶつけたわけではないのですが、クリニックFに導入している、または導入予定のレーザー会社の国内法人の方々、ディストリビューターの方々など、朝から夜にかけて、あわせて5社の訪問と打ち合わせが診療の合間にあったのです。

打ち合わせた内容は

○今後の国際レーザー医学会の演題の打ち合わせ

○本国社長のクリニックFへの訪問や、訪問予定の打ち合わせ

○工学系レーザー学会への次の研究演題の打ち合わせ

○クリニックFへの新規購入予定機器の打ち合わせ

○友人から依頼された、彼の新しいクリニックのコンセプトに必要な機器の選定

○レーザー機器販売のための新たなマーケティング構想の提案

・・・などなど。

皆レーザー機器がらみですが、

僕の持っている三つのクオリフィケイション 

①医師(MD) ②医学博士(PhD) ③経営管理学修士(MBA) 

つまり、

①の資格を使ってレーザー医療臨床「医師」としての診療と、診療技術の向上の仕事

②の資格を使って「医学博士」としての最新レーザー機器開発のための研究の仕事

③の資格を使って「MBA」としての医療系企業医療コンサルタントや病院経営コンサルタントの仕事

をバランスよく生かした仕事ができたらいいな、と思っています。

こうした

レーザー/美容医療関連の機器開発の依頼

新規に国内外で開発された機器評価の依頼

などが、電話やメール、郵便物などでクリニックFにも良く頂くのですが、今は直接の知人を介した紹介以外の仕事はお受けしていません。自分の力不足もあるかもしれませんが、まだちょっと時間の余裕もないような状況です。

次いで、ここ最近は音楽関係の患者さんが増えて、それもとても嬉しく思っています。

昨日も長年僕が尊敬している方がお越し下さって、それは感無量な出来事でしたよ。


ジャマイカ家庭料理

クリニックFのある東京都千代田区麹町は、オフィス街です。

歴史を辿ると、徳川家康の江戸城入場後、城の西側の半蔵門から西へ延びる甲州道中(甲州街道)沿いに町人町が形成されるようになってから栄えた街とされています。

そんな麹町で、昼時になると込み合うのがオフィス街の中に現れる屋台村。

日替わりで、様々なお弁当を買うことが出来ます。

たいてい診療中の僕はここまで行って並ぶことが出来ないのですが、スタッフに今日はここへ行って来てもらいました。

ジャークチキンのせライス。600円。

そういえば、ジャマイカはまだ行ったことないんですよね。

さあ、ここから午後の診療です。

 


2011年ニキビ跡治療の最新トレンド

アメリカから東京に帰国後は、日々の診療と大学院での勉強に追われています。

診療では、季節の変わり目と震災、その後に続く不安定な日々・・・というファクターが相まって、「心と身体を映す鏡」といわれる皮膚にトラブルが一気に出てしまっている患者さんが、例年に比べ飛躍的に増えている感があります。

熟睡もままならず、自律神経系が乱れるばかりなのでしょう。

この一月余りで一気に老け込んだ気がする、とおっしゃる方も。

レーザー治療ではニキビやニキビ跡、毛穴、若返り適応の機種が一気にフル稼働。サプリメントや点滴の処方も必要に応じて行っています。

先日初診でいらした患者さんが、興味深いことをおっしゃっていました。

「家や車や装飾品、洋服といったものをいくらもっていても、地震のときに持って逃げることは出来ないですよね。身ひとつで逃げる可能性があることを考えると、もっていける財産は自分自身しか無い。自分の健康維持がいかに大切かわかりました。」

これからまたがらっと価値基準も変わっていくのでしょうか。

さて、ここで改めてこの春の学会情報総括を行っておきたいと思います。

毎年春、連続した月に開催される米国皮膚科学会(AAD)と米国レーザー医学会(ASLMS)。

今年は2月にAADがルイジアナ州ニューオリンズで、3月にASLMSがテキサス州グレープバイン開催されたことになりますが、世界のレーザー/光機器メーカーは、この二つの学会に新商品の発表をぶつけてくることが多いのです。

おそらく来年まで新しい機器デビューがないと考えると、この時期が今年の最新情報がすべてそろっている時期とも言えます。

2007年から治療器として最も注目を浴びてきたCO2フラクショナルレーザー治療器。

僕が定期的に目を通す、アメリカの「WebMD the Magazine」という美容健康のサイトがあるのですが、こちらで特集されたアンチエイジング・ブレイクスルーのTOP6の中の見事一位に選ばれていました。

Antiaging Breakthrough No. 1: Fractional CO2 Laser Skin Resurfacing

The antiaging breakthrough of the decade, according to many doctors, is a skin-resurfacing treatment known as CO2 fractional laser therapy. Combining the effectiveness of traditional carbon dioxide lasers — long thought to be the gold standard in wrinkle removal — with a new application technique, it delivers powerful results without the traditionally harsh side effects.

ちなみに第二位は「しわに対するフィラー治療」。第三位は「抗酸化剤」。第四位は「ペプチド」。第五位は「ビタミンA」。第六位は「アンチエイジングサンスクリーン剤」。と続きます。

CO2フラクショナルレーザー機器は、2007年以降、今までも数限りなく機種が発売されてきました。

以前のブログでも書いたのですが、萎縮性のニキビ跡の場合、治療をする以前にどのタイプのニキビ跡なのかを診察することが大切です。

ニキビ跡は、形態的に4種類(ヨーロッパでは3種類)に分類するのが一般的です。

それらは

①Rolling ローリング型

②Ice-pick アイスピック型

③Shallow box-car 浅いボックスカー型

④Deep box-car Type 深いボックスカー型

と、呼ばれています。

①ローリング型とは、丘のようにうねって平らな部位が少ないニキビ跡(Rolling scars are gently undulating, appearing like hills and valleys without sharp borders.)のことを指し

②アイスピック型とは、表面が広く深くなるに従って細くなる円錐状のニキビ跡(Ice-pick scars, also known as pitted scars, appear as round, deep depressions culminating in a pinpoint base; in cross-section, they are shaped like a “v”.)

③浅いボックスカー(箱形の車)型(Box-car scars have a flat, “u-shaped” base. Broader than ice-pick scars, they are round, polygonal, or linear at the skin surface)と、

④深いボックスカー型(Shallow box-car scars terminate in the shallow-to mid-dermis, and deep box-car scars penetrate to the reticular dermis.)

ヨーロピアン・アクネ・グループ(The European acne group (ECCA) )では、

◎ローリング型を「W-shaped」

◎アイスピック型を「V-Shaped 」 

◎ボックスカー型を「U-shaped」

と分類しています。

2011年現在では、アジア人を対象とした場合、上記のどのタイプのニキビ跡治療でも、

「フラクセル3」

がファーストチョイスになりますね。

強いCO2フラクショナルレーザー機器を最初から使用してしまうと、ダメージが多すぎて、その後の治療に結びつきにくい場合があります。

フラクセル3で数回治療したうえで、残存した深いニキビ跡には、フラクショナルRF機器であるe-matrixや、フラクショナルCO2レーザー機器を照射するのがよいと思います。

どの機械が最も効果的なのか?ということをよく美容レーザー機器を使用する同業医師に聞かれるのですが、一定の性能基準を満たしたレーザー機器を購入することを前提とした場合、機器の違い以上に、使用する医師の経験の違いが現れやすい施術ということがいえると思います。

特に治療効果の違いが現われやすいのが、「ニキビ跡治療」ということになるでしょう。


ASLMS米国レーザー医学会 2011番外編 NYで観た8枚のフェルメール②

ニューヨークのメトロポリタン美術館には常時5枚のフェルメールの絵が展示されているのですが、このうち何点かは貸し出されていることが多く、5枚をすべて同時に観ることが今までは出来ずにいました。

フィリックコレクションの後、セントラルパーク沿いを歩いて

ニューヨークメトロポリタン美術館(MET)に向かいます。ゆっくり歩いても10分程度の道のり。

約一年ぶりのメットです。

広い美術館の中からフェルメールの絵を探します。

メットにある5枚のフェルメールの絵画は、いずれも寄付によって同館の所蔵になりました。

19世紀にフランス人のテオフィール・トレが、長い間忘れ去られてきた17世紀のオランダ人画家フェルメールを再発見し発表したところ、世界の注目を浴びるようになります。ちょうどその時期、19世紀末にアメリカの産業は黄金時代を迎え、実業家たちは巨万の富を得ました。

その富を背景に、世界のフェルメールの絵画が買われたので、現在世界に散らばる三分の一のフェルメールがアメリカ合衆国にある、というわけです。

1枚を除いて1918年の第一次世界大戦終戦までにアメリカに買い集められたものなのだそうです。

世界に37枚しか作品が現存していない画家の絵画ですから、現在ならば高すぎて値段がつかないでしょうね。

マイケル・フリードサムの寄贈した「信仰の寓意」

チャールズ・ライツマン夫妻の寄贈した「少女」

コリス・P・ハンティントンの寄贈した「窓辺でリュートを弾く女」

ベンジャミン・アルトマンの寄贈した「眠る女」

そして、ヘンリー・G・マーカンドの寄贈した「窓辺で水差しを持つ女」

以前のブログにも書きましたが、やはりこの絵が最も印象に残りますよね。

特に銀の食器に映る赤いテーブルクロスなど、本当に緻密に表現されています。

思ったよりもはるかに短い時間で5枚の絵を見つけられましたので、メットのほかの場所もさらっと観てきました。

医師の仕事は技術や理論だけでなく、患者さんと接するときに自分の中にある一定量以上のエネルギー貯蔵がないと勤まらない、と僕は思っています。

それがないと良い診療/治療を行う事ができないのです。

どういったものでそのエネルギーをチャージするのかは医師それぞれに違うと思うのですが、僕にとっては心の中に絵画や音楽といったものが画像や音として記憶され、それを必要なときに引き出し慈しむ事ができる、ということでそのエネルギーチャージを行っているような気がします。

日本帰国前に、ここに来てやはり良かった、と思いました。

見えるものとしては形が変わりますが、患者さんに旅の成果物を還元できそうです。


ASLMS米国レーザー医学会 2011番外編 NYで観た8枚のフェルメール①

機会がある度に、フェルメールの絵を見ることを旅の目的のひとつとしています。

今回のアメリカ出張で、ニューヨーク滞在中時間があれば、市内にある8枚のフェルメールを、すべてとはいかなくても一枚でも観られたら・・・と思っていました。

日本に関するニュースは、アメリカで目にするとまた違った緊迫感が漂い、毎日「FUKUSHIMA DAIICHI(アメリカでは福島第1原発をこう呼んでいるようです)」について新聞紙面やCNN他のニュースで見聞きしていると

こんなときに絵画鑑賞・・・?

と思う自分も心の中にいましたが、

こんなときだからこそすこしでいいから美しいものに触れて日本に帰りたい

と思う自分も一方でいました。

ニューヨークにある8枚のフェルメール。そのうち3枚はフリックコレクションに、残りの5枚はメトロポリタン美術館にあります。

どちらの美術館もマンハッタンのアッパーイーストサイドにありますので、時間があまりなくても歩いて移動できます。

フリックコレクションは、実業家であったヘンリー・クレイ・フリックの個人的なコレクションを、彼の邸宅だった場所で展示しているのです。

アンドリュー・カーネギーと一緒にカーネギー製鋼を設立したフリックですが、ワシントンDCのナショナルギャラリーを作り上げたアンドリュー・メロンと友人だったのだそうです。

1880年に一緒にロンドンに旅行した際に、メロンは英国ナショナルギャラリーに感動して、ワシントンにもそれに匹敵するものを作りたいと考えた・・・という話は以前ワシントンブログでもしたと思うのですが、フリックの方は、個人コレクションであるウォレス・コレクションをモデルに自分のコレクションを集めるというインスピレーションを受けたようです。

このコレクションはプロの視点から見てもその卓越した趣味の良さで知られていて、実際行っても本当に素晴らしいのです。

実業家として成功したのちに、そのお金をどのように使うかは個人の考え方によると思うのですが、フリックのように審美眼をもって、散逸してしまいがちな世界の芸術品を蒐集し公開するというのは、我々市民にとっては嬉しいですよね。

ともあれ、フリックコレクションは、美術館としては小さいのですが、僕がとても好きな場所です。

建物の中には中庭があり、皆がくつろいでいます。

この美術館は絵画の写真がとれませんので、ウィキペディアから写真をお借りしました。

以下のフェルメールの三枚の絵が展示してあります。

「兵士と笑う女」

この絵はフリックが最も好んだ絵だといわれているのだそうです。写真になると平面的な絵に見えますが、実物は兵士の赤い服にも質感があり、女性の表情も、光の当たり加減の描き方も素晴らしいです。

女性のこぼれるような笑顔に、不覚にも目頭が熱くなりました。いつもよりエモーショナルになっているのでしょうね。

絵画を画集で見るのが好きだったのですが、光を巧みに使ったフェルメールの絵は特に、実物と画集の印象が違うことが見るときの楽しみです。

「中断された音楽の稽古」

「夫人と召使」

です。

この絵に描かれた「白の縁取りのついた黄色のサテンのコート」は、フェルメールの遺品として実在が知られており、ほかの絵にも登場しますので、見覚えがある方もいると思います。

 


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