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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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ASLMS米国レーザー医学会 2011⑧ サイレントオークションその他

先週訪れたテキサス州グレープヴァインの米国レーザー医学会のご報告を閉めてしまいますね。

学会会場の展示場では、例年、レーザー機器メーカーが「Silent Auction(サイレントオークション)」なるものを催します。

各レーザー機器メーカーが自社製品のパーツなどをオークションに出し、Bidding=入札を公開落札にはせずに紙に記名などの形で提出し、落札金額が高い人が落札するという企画。

レーザー治療を行っている医師であれば、結構なお値打ちものもあるので、足を運ぶようにしています。

最初にこれを見たときは「アメリカ的な文化だなあ」と感心したのですが、最近日本でもチャリティオークションなどこうした形式をとられることもあるようですね。

中には著作権の問題で、ここではお見せできない、興味深い新しい機器の演題もありました。

夜はシネロン社のディナーミーティングに参加しました。

シネロン社といえば、昔はオーロラやポラリス、現在はトリニティ(eMAX)を代表する、ノーダウンタイムで肌をメンテナンスする機器を開発するイスラエルの会社です。

従来の光治療機器に、RF治療を加えたコンビネーション治療で、肌の色の濃い、特にアジア人に対する肌治療を可能にした「elosシステム」を開発したことで知られ、老舗レーザー会社であるキャンデラ社を買収するほど大きくなった会社です。

きれいな肌とは、白い肌と勘違いする人が多いと思いますが、透明感が高い肌のことを言うのではないかと思います。

「肌を白くする」という作業は、多くの化粧品を用いてメイクアップすることで、手に入れることができると思いますが、

「肌の透明感を上げる」作業は、専門のレーザー/光治療器で、表皮の微細なメラニンを破壊する作業をしなければ、できません。

この10年間のレーザー光医療の進化は、「肌全体の透明感を上げることができる機器」が開発されたということに尽きるのかもしれません。

今年のシネロン社は、このように円卓を囲んで新機種の発表会を行いました。

今年は以前のブログでもご報告した、針を媒介してRFを照射するフラクショナルRF機器である、ePrimeでしたね。

リフティングとボリューマイズに対して非常に効果的な機械だということはよくわかっているのですが、肌に針を刺す施術となると、「肌のメンテナンス」をするためにいらしていただいているクリニックFの患者さんに受け入れられるかどうか??

現在クリニックFでは、痛くない第三世代のサーマクール。

「サーマクールCPT」の評判が非常に良く、ePrimeクリニックFでの導入を迷うところです。

前日の夜にホテルで今回の学会で取得した情報と資料をまとめ、いよいよ帰国です。

まだ早朝でしたが、綺麗な朝焼けが見えましたよ。

ダラスからは、成田直行便に乗りました。

飛行機からは黄色い菜の花が一面に広がっているのが見えました。

滑走路を走っていて気付いたのですが、ダラス国際空港は全米きっての「ハブ空港」と呼ぶにふさわしい、とても綺麗なシンメトリックかつ、機能的な形をしていますよね。

僕も自家用飛行機ライセンスホルダーで、セスナの操縦をすることがあるのですが、家でグーグルマップを確認して、改めて完成度と機能性の高さに感激しました。

政治的に地元に新幹線を誘致し、国内の新幹線網を広げるのも考え方の一つかもしれませんが、経済的には発達した二つの経済圏を結ぶために交通機関などのインフラを整えるというのが最もメリットがあり、かつ正論だと思います。

発達した経済圏とは、現在では諸外国の都市であり、それを結ぶインフラは空路です。

こうした機能性の高い空港が日本に建設され、首都圏とリニアモーターカーで繋ぐような都市計画ができれば、日本に復興に大きく寄与するのではないかとふと、思いましたよ。

長くなりましたが、月初に訪れたテキサス州グレープヴァインで開催された2011年米国レーザー医学会(ASLMS)の新国際学会周遊記でのご報告を終わります。

この学会の発表で、僕のレーザー機器関連の海外発表・招待講演は64回になりました。

いつか100回まで行けるのでしょうか(笑)?

 


放射性ヨウ素の除去

地震も続き、原発・プルトニウムの問題も依然緊張が続いています。患者さんからは飲料水や農作物、海鮮物などについての質問も受ける機会がしばしばあります。

クリニックFで採用している日本トリムの整水器で、ヨウ素の除去効果を示すデータが得られたことが4月2日の読売新聞に掲載され、それについての御質問なども頂きました。

こちらが実際の記事になります。

担当の方による、この記事にはないもう少し細かい情報をここでご紹介しておきます。

「放射性物質については、厚生労働省が3/19日に水道局宛に出した文書内で、活性炭にヨウ素131を除去できる可能性があるとする指摘があった。しかしながら、素材メーカーも含め民間でこれに対するデータを持っている所は無かった。

厚労労働省見解の追試として、日本トリム社では取り急ぎ福島県いわき市内のユーザー宅2軒にご協力いただき、水道水と整水器通水後の水を採水し、分析を日本食品分析センターに依頼した結果。」

ということのようです。

もちろん放射性物質は浄水に関して想定外のものであり、自然界に微量にしか存在しないセシウム、ストロンチウム、プルトニウムなどは取り扱いも出来ない為、試験自体することが困難ですが、理論的には活性炭を使用して微量元素を吸着させるだけでも、飲料水の安全度は増しそうですね。

東京都や千葉県の水道水や、一部の農作物、魚介類に放射性ヨウ素131が含まれていたという情報が出てから一月あまりが経ちました。

ここで改めてヨウ素(ヨードとも言う)とはなんであるか復習しておきましょう。

ヨウ素とは、原子番号53番。ハロゲン元素のひとつです。

これは以前のブログでもふれた、「世界で一番美しい元素図鑑」のヨウ素の画像です。クリニックFにも英語版と日本語版の二冊が備品として置いてあります。

ヨウ素自体には同位体が37種類あることが知られていて、ヨウ素127のみが安定型です。

甲状腺ホルモンの構成成分として、人間にとって必要な微量元素であり、体内には約25mgが存在します。食物としては海藻類に多く含まれていることは、このひと月でよく理解された方も多いかと思います。

甲状腺は、ヨウ素が体内に入ると、甲状腺ホルモンを作るために、必要な量を取り込み蓄積する作業をします。

通常のヨードが甲状腺に取り込まれた場合、30日程度で半分の量が体外排出され、甲状腺に取り込まれないヨウ素はその日のうちにほとんどが出て行きます。

放射性ヨウ素とは、放射線を放射するヨウ素で、数種類あります。特にヨウ素131(半減期約8日)、ヨウ素133(半減期約21時間)は、ウランの核分裂によって生成される放射性ヨウ素です。

半減期が長いヨウ素131のほうが放射線を放出する時間が長いといえます。

セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど他の放射性元素の体内動態を考えると、基本的には体内代謝経路に関わりません。一旦筋肉のような血流の多い組織に移行することはあれ、ほとんどが尿から排泄されます。

これに対してヨウ素は、沸点も低く、気化して大気中に広範囲に拡散しやすい上に、呼吸や飲食により体内に吸収されやすいという性質があります。

原子力施設の事故で放出されたヨウ素131が体内に吸収されると、甲状腺で甲状腺ホルモンに合成・蓄積され、その後長期間にわたって体内被曝をしますので注意が必要です。

チェルノブイリ原子力発電所の事故では、癌患者が増えるだろうと予測されていたのですが、結果的には事故の5年以上後に統計学的に優位に増えたのは、特に幼児だった子供たちの甲状腺癌の発症率だけでした。

甲状腺癌の予防のためにヨウ素剤を飲むのは、吸収された放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積される前に、正常なヨウ素で甲状腺のヨウ素必要量を飽和させるという意図があるのです。

行政は原発の事故より近い地域より、一刻も早く、特に小児を優先してヨウ素を予防的に飲ませるといった、二次的被害を防ぐ対策を直ちに練るべきだと思います。

一方で、医学的にはこうした放射性ヨウ素を短期間に使用することで、甲状腺癌治療や甲状腺機能亢進症の治療が行われています。同位元素のヨウ素123やヨウ素131は単一光子放射断層撮影(SPECT)に、ヨウ素124はポジトロン断層法(PET)に用いられています。

このような治療目的の場合、なるべく甲状腺に放射性ヨウ素を集めたいので、治療前の患者さんには、昆布や海苔などのヨウ素の摂取を控えてもらいます。

放射性ヨウ素の経口摂取を防ぐには、花粉症と同様な対策が必要となります。特に手洗いとマスクは大切です。

 


GW期間中の診療について

おはようございます。

海外在住の患者さんから、この週末は御連絡が相次ぎました。

震災後、日本の様子を見られていたようですが、そろそろ一度帰国しよう、という方が多いようです。

クリニックFには、日本在住の外国籍の方や、ご主人様や奥様が外国人の方、外資系企業にお勤めの方も多くおられますが、こうした方々は大抵3月に一度、国外または関西の方に出られてしまっています。また、たとえ日本に留まる方がいらしても、お子さんの面倒を見られている外国人のベビーシッターさんやインターナショナルスクール閉鎖他の影響で、御自宅を出ることがほとんど叶わない、というお電話も頂きました。

数週間前は、アメリカンクラブや外国人記者クラブもがらがらだと、知人や患者さんから話を聞いていました。

しかし、そういった流れもここに来て変わってきたようで、東京に戻ってこられる方から御予約のお電話をいくつも頂いています。カナダやアメリカ、ロシア、フランス、イギリス、オランダ、オーストラリア、中東・・・といった地域からの方々。

香港やシンガポール、上海などに一度出られている方々は、まだ若干様子を見よう、という感じなのか、こちらについては御帰国の予定がまだ未定との御連絡が多いようですね。

ゴールデンウィーク期間中の診察についてお問い合わせを同時に頂きましたので、こちらに書いておこうと思います。

4月28日は木曜日ですが、連休前ということで診療をさせていただきます。29日はお休み。30日は通常診療です。

このあと、5月1日から僕はアメリカ・ボルティモアの工学系レーザー学会の CLEO, the Conference on Lasers and Electro-Opticsでの発表のため出張に出てしまいます。帰国は8日の予定です。

また御迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。


ASLMS米国レーザー医学会 2011⑦ 開催の地、テキサス州とは?

今回のASLMS米国レーザー医学会が開催されたテキサス州は、アメリカ合衆国本土の南部にあります。

人口はカルフォルニア州に次いで、面積はアラスカ州に次いで、全米二番目の州になります。

テキサス州の主な都市は、ヒューストン(全米四位)、サンアントニオ(全米七位)、ダラス、フォートワースなどといった都市。

テキサス出身者は初対面の際、必ず3分以内に「俺はテキサス出身だ。」と名乗るし、逆に名乗らないのはもぐりだ(笑)と、友人のテキサス州出身のアメリカ人に聞いたことがあります。

これだけ愛州心が強いのも、理由があるようです。

実は、メキシコと国境を境にする現テキサスの地域は、過去6つもの国が支配しているのです。僅か200年のアメリカ新大陸の歴史では、極めて珍しいことです。

コロンブスの新大陸発見の後、最初にこの地をスペインが領有権を主張。次に先月全米皮膚科学会でも訪れたニューオリンズとともにフランスがこの地を植民地としました。さらにメキシコが領有した時期を経て、1836年にアメリカ合衆国に併合されるまで10年間は、なんとテキサス共和国として独立国家となります。

この画像上で、黄色の国土ですが、面積としてはフランスとイタリアを合わせた位の大きさですよね。

現在でも存続していたら、メキシコ以上のGDPを生産していたかもしれません。

その後、南北戦争ではアメリカ連合国に加盟しましたので、結局この地はスペイン、フランス、メキシコ、テキサス共和国、アメリカ合衆国、アメリカ連合国と6か国に所属したことになるのです。

また、テキサス州は牛の放牧のイメージからカウボーイを連想しますよね。

学会会場のホテルにもテキサス風の洋品店がありました。

確かに1800年代にはいわゆる牛の放牧をするカウボーイ達の州ではありましたが、1900年代に良質な石油油田が発見され、テキサス州の経済状況が一変します。

現在ニューヨークマーカンタイル取引所で取引されているWTI原油価格というものがありますが、WTIは、ウエスト・テキサス・インターミディエートの略。

つまり日経新聞に掲載される原油価格とは、テキサス州で取れる良質な原油の先物取引価格なのです。

また、テキサス州はNFLのダラス・カウボーイズ(Dallas Cowboys)の本拠地でもありますよね。

僕は2006年に友人の米軍パイロットが勤務する厚木基地を訪れたことがあるのですが、この時に以前アメリカで買ったダラスカーボーイズのプレミアム・スタジアムジャンパーを着ていったのですが、米軍の兵士に評判の良かったこと、良かったこと。

基地の至る所で「そのジャンパーは最高にクールだ!」と話しかけられました(笑)。

NFLの中でも全米トップチームのダラスカーボーイズは、30年前の日本の読売巨人軍の様な存在なのでしょう。ダラスカーボーイズを擁するテキサス州では当然のことながら、街中がファンのようで、いたるところにスーパーボールのチームの展示がありました。

現在のダラスカーボーイズのシンボルとも言える五角スターのマーク。

これはテキサス共和国の国章に起源があるのです。

例えばこちら、駐車場の車のテキサス州の自動車プレート。

米国は州独自のプレートをつくりますが、テキサス州の場合、左上に、五角スターのマークが入っています。

今回の学会開催中のサイトン社のディナーパーティーポスターでもこのスターを見つけました。

そして、何より今回の学会会場の建物の屋根に。。。。

この通り、大きな五角スターを見つけました。

テキサスを愛する気持ちが伝わりますよね。

 


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