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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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クリニックF 本日から診療再開です

おはようございます。

昨日無事パリより帰国しました。

年末から年始にかけて、アラブ首長国連邦(ドバイ)、ケニア(ナイロビ、マサイマラ)、ドイツ(フランクフルト、ケルン)、フランス(パリ)、オーストリア(ウィーン)、イギリス(ロンドン)と、多くの国を出張&旅してきましたが、本日から今年のクリニックFの診療を始めます。

次の海外出張は、2月中旬にインドで開催される皮膚科学会での招待講演。それまで海外出張はありません。

今回の出張中は、トランクに詰め込めるだけ本を詰めて行きました。音楽の本、絵画の本、宗教の本、歴史の本、経営学の本、医学の本、合わせて20冊以上の本を読みました。

これだけ本を読める、まとまった時間を取れるというのは数年ぶりのことだったかもしれません。貴重な体験でした。

とはいえあまりに重くて、読み終わった本を捨ててこようかとちらっと思ったのですが、結局一冊も捨てられず...。

iPadに本を入れて持ち運ぶのも、まだ慣れていないのです。

書かなければならないブログもたまってしまいました。

これだけの国に行くと書き上げる順番もおかしくなりますので、書き上がり次第、過去の日付に差し込んでゆこうと思います。

それでは今日からまたお願いいたします。


■ヨーロッパ4ヶ国巡り 2012年1月③ロンドン ロイヤルオペラハウス 楽劇 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

新年からフランクフルト(ドイツ)、パリ(フランス)、ウィーン(オーストリア)、ロンドン(イギリス)と続いたヨーロッパの出張。

昨日土曜日にこちらの企業と打ち合わせをした後、自由時間となりました。

いよいよ明日、ユーロスターでパリに移動し、帰国予定です。

つまり、今日が新年ヨーロッパ最後の夜です。

ロイヤルオペラハウスで、ワグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のチケットをとっていたので、観てきました。

昼の3時に開演です。

こちらマイスタージンガーの序曲ですが、カラヤンの1957年の演奏をユーチューブで見つけました。

カラヤンの指揮については賛否両論ありますが、ワグナーに関しては良い演奏が多いと思います。

この楽劇のすべてを集約したとも言えるほど完成度の高い序曲。

名演ですので宜しかったらお聴きください。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、1945年に構想されて完成まで約20年という歳月を経て1868年6月21日、ハンス・フォン・ビューロー指揮、ミュンヘン宮廷歌劇場で初演されました。

実はこの作品が作られ、初演された背景はちょっと複雑です。

ピアニストのフランツ・リストの娘で、初演指揮者のハンス・フォン・ビューローの元妻であり、後にワグナーの妻となったコジマとの関係が深い作品なのです。

既にビューローとの間に子供が二人いたコジマとワグナーの不倫関係が進行し、周知になったため、1865年に、ワグナーはルートヴィヒ2世からミュンヘンを退去するように命じられました。

ワグナーは、コジマとの同棲生活をヨーロッパの田舎で始めたことで、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」に取り組む環境が整ったともいえるのです。

さらにコジマはこの作品についてワグナーとかなりの議論を交わして、完成に貢献したのだそうです。

この期間にコジマが産んだ二人目の女の子はエーファ(劇中の主人公)と名付けられました。

つまりハンス・フォン・ビューローは、元妻とその現在の夫との合作ともいえる作品を、指揮しなければならなかったということなのです。ビューローは、ワグナーを尊敬しており、大きな問題とはならなかったともいわれていますが、これには諸説あるようです。

僕はコジマ•ワグナーの物語を高校生のときに読み、方やリストの娘。方や神のように素晴らしい音楽を書く人達なのにと、複雑な思いをしたのを思い出します。今なら人間の矛盾性みたいなものを理解出来ますが、高校生のときの僕は、それがわからない実直な若者だったのです(笑)。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、あの「タンホイザー」と対をなすと言われている楽劇で、歌合戦という舞台設定も似ていますが、ワグナー唯一の喜劇としても知られています。

この楽劇は、この国際学会周遊記初めての登場ですので、あらすじを話しますね。

ヴァルター・フォン・シュトルツィンという異国の騎士が、ファイト・ポーグナー(金細工師、マイスタージンガー)の娘エーファに恋をします。

マイスターとは、中世のドイツの手工業ギルドが与えていた称号の一つ。

ポーグナーは、娘は独身のマイスタージンガー(英語だとmaster singer)に歌を競わせ、優勝者に娘を嫁にだすと公言します。

エーファに好意を抱いていた多くの独身のマイスタージンガー達が立候補しますが、ポーグナーは、ヴァルターこそ娘の夫にふさわしいと考えます。

しかしながら、異国の騎士ヴァルターはマイスタージンガーではない。

そこで、まずヴァルターをマイスタージンガーにするための工作をするのです。

この試験はかなり難しく、詩と歌の基礎知識に関する口頭試問など減点法ののち、さらに持ち点7での歌唱試験があり、ヴァルターは満たしていない点ばかりだったですが、ポーグナーはそれにも関わらず、強引にヴァルターをマイスタージンガーに推挙します。

もっとも、ヴァルターは歌試験の当日ミスを繰り返し、他のマイスタージンガー達の信認を得られず、マイスタージンガーになることが出来ませんでした。

ヴァルターもポーグナーも失意のまま幕が落ちます。

エーファはハンス・ザックス (靴屋、マイスタージンガー)に、ヴァルターが試験に落ちたことを相談します。実は昔に妻を亡くしたザックスは、エーファに恋心をいだいていたのです。

しかし、エーファの心を知ったザックスは、きっぱりと諦め、ヴァルターをマイスタージンガーになるように助ける事にします。

同じ頃、エーファに好意をよせていた同じくマイスタージンガーのべックメッサー(書記)の歌についてザックスが相談されます。ベックメッサーの歌を聴き、歌の規律から離れている場所を靴を鳴らして伝えたのですが、あまりにずれたベックメッサーの歌を聴き、この状態では打つ手はないと伝えます。

ちょうどその時、机の上にヴォルターが書いた歌詞を見つけたベックメッサーは、その歌詞がザックスが求婚のために書いたものと信じて持ち帰ります。ザックスはその様子を知りつつも、ある考えがあるらしく、そのまま持ち帰らせます。

第三幕で、マイスターたちが出そろろったところでザックスが前に進み出て、騎士ヴァルターを求婚者として歌合戦に参加させるよう願い出ます。

許可されると歌合戦が始まります。

まず、ベックメッサーが、盗んだ歌詞で求婚の歌を歌うのですが、歌詞の意図を理解していないため大失敗します。

彼は詞を書いた(と思っている)ザックスに責任を擦りつけようとしますが、ザックスはヴァルターが詞の本当の作者であることを明かします。

そんな中、ヴァルターは歌い始めますが、ヴァルターの歌は素晴らしく、マイスター達や聴衆が感動し、結果エーファとの結婚が認められます。

ヴァルターはマイスターの称号を一旦固辞しますが、周囲の説得により、マイスターの称号を手に入れるところで幕は落ちます。

今日のロイヤルオペラハウスの公演ですが、今日がシーズン(2011/12年)の千秋楽だったようで完成度も高く、聴いていいて何度も鳥肌が立ちました。本当に素晴らしかったです。

オペラは聴覚ばかりではなく、視覚も楽しませてくれます。英語の字幕が出ますのでドイツ語やイタリア語などの言語の勉強にもとてもいいし、大脳をすべて使って楽しんでいる感じがします。

オペラを観て宿まで歩いて帰る途中に、突然新しいアイディアが浮かんできたりするので、本当に脳が活性化しているんでしょうね。

こういった芸術の美しさに触れるときが、僕にとっての至福の時間ですね。

しかしながら、ワグナーなので長い。昼の3時に始まって、二回の休憩をはさみ、終わったのが夜の9時前でした。

舞台をされている演奏家の皆さんの方がお疲れだと思いますが、観劇6時間。

観ていたこちらも大変でした(笑)。

いよいよ日本時間の明日、帰国となります。

関係者の方々にはご迷惑をおかけしました。

本年のクリニックFは、11日より診療を開始いたします。

 


カツレツ料理

ラデツキー行進曲で有名なラデツキー将軍がミラノからウィーンに持ってきたカツレツ料理。

ヴィーナーシュニッツェルをお昼に頂きました。


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