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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:北米 ニューオリンズ編

Aesthetic Buyer’s Guide

エステティック・バイヤーズ・ガイド誌のアジア版編集長となったマーク・テイガー医師との打ち合わせです。

昨年、僕もアジア版のアドバイサリーボードになりました。

世界各国、レーザー関連医師は、このエステティック・バイヤーズ・ガイドを参考に機器を選ぶのが普通なのですが、日本にはメーカー会社を横断してこういった医療機器を評価する冊子が、まだないんですよね。

国内の医師が、レーザー機器を購入したいと考えた場合、友人医師などの細いつてを使って、その輸入代理店を探し、メーカーにたどり着くような状態です。

米国のレーザー医学会ではよく検討話題になるのですが、

結局レーザー会社のセールスマンは、車のセールスマンと違って、実際に他社製品を乗り比べ? をしたことがないので、自社製品の「素晴らしさ」はいくらでも話ができるのですが、他社製品との比較が本当にできているのかは、難しいのです。

エステティック・バイヤーズ・ガイドのアメリカ版は、そうしたメーカー間の機能差などを指摘した隔月誌。ヨーロッパ版は年二回の発行なのですが、メーカー間の機器の比較といった意味では非常に中立した立場に立てますよね。

こういった立場にあたる情報誌が日本でも発売されるといいのに、と思いますよ。

 


フレンチクォーター

ニュオーリンズの街並みです。

フレンチクォーターと呼ばれる地域には、このような19世紀の街並みが並びます。

また、建物のバルコニーは、「アイアンレース(鉄細工)」と呼ばれる独特の細工が施されたものが多いのです。

街を歩いていても、このように綺麗なバルコニーが目に付きます。

フレンチクォーターの中心部にある、ジャクソン広場に向かいます。

途中、馬車の観光なども薦められましたが、この日はニューオリンズでも珍しいぐらい寒く、残念ながら馬車に乗るという気分にはなれませんでした(苦笑)。

それでもジャクソン広場までは歩き写真を撮りましたよ。

ジャクソン広場の由来は、1815年のニューオリンズ戦争の英雄で、第七代大統領のアントリュー・ジャクソンによります。

1856年にこの像が建てられた時には、馬が前脚を上げて立った状態の像としては世界で初めてだったらしく、絶賛されたのだそうですよ。今でもアメリカでもっとも美しい騎馬像だと言われているのだそうです。

ジャクソン広場の横には、アメリカ最古のアパートメントハウスである「ポンタルアパート」があります。

こちらもアイアンレースが美しいですね。

トランペットを吹く人もいました。

街並みがきれいですね。

僕が手に持っているのは学会のコングレスバック。そのまま会場に戻りましたよ。

 


ミシシッピー川沿い、リバーウォーク

引き続きアメリカ・ニューオーリンズ出張記です。

AAD全米皮膚科学会で訪れたニューオーリンズも、滞在最終日。

2時間ばかり時間が空いたので、ニューオリンズの観光に出かけてきました。

「RIVER WALK」という字が見えますか?

学会会場から、ニューオーリンズの中心である、フレンチクォーターに向かうために、ミシシッピー川沿いにある、このマーケットプレイスを抜けていきます。

RIVER WALKは、レベル3まであり、様々なショップやレストランなどが入っている複合施設です。中の階段を上って屋上に出ると、ミシシッピー川が見えるのです。

写真の僕の背中方向、グレーター・ニューオーリンズ橋が架かる、約170キロ先に、ミシシッピー川がメキシコ湾にそそぐ河口があります。

ミシシッピー川といえば、北アメリカ大陸のロッキー山脈とアパラチア山脈の水系すべてが注ぐ北アメリカ最大の川ですよね。

流域面積はアマゾン川に次いで世界第2位。長さでは、ナイル川、アマゾン川、長江に次いで世界第4位と、世界3大河川に上げられるのです。

しかし、ちょっと驚いたことには、この極めて大きな河川のほぼ河口に近い地域であるにもかかわらず、どう見ても川幅が1マイルもありません。地図で確認したところでも、やはり1km弱といったところです。

非常に深く、流れの速い川なのだそうです。このニューオリンズでは、ワシントンDCと、サンフランシスコと順番に三年に一度、全米皮膚科学会(AAD)が開催されてきました。

しかし、2005年9月にこの地を襲ったカトリーヌハリケーンの洪水以来、状況が一変します。

以後、初めてAADが開催されたのが今回でした。

また、ニューオリンズは毎年2月に、「マルディグラ」という祭典が開催され、これはまるでリオのカーニバルの様なにぎわいなのだそうです。

パレードが開催され、そのフロート(山車)に乗った人たちが観客に向かってビーズのネックレスを投げるのが習わしなのだとか。

その名物のビーズのネックレスは街の至る所で売られていましたよ。

その他、元フランス領、ジャズ生誕の地では、独自の文化が花開いている感じでお店を見ていても楽しかったです。

このようなデコレーションも独特な文化ですよね。

 


ダイレーザーの後継機種? パロマ社MaxG

昨夜から続いた雨がまだ残っている中、四谷まで来ました。今日はクリニックFの診察日です。

さて、「国際学会周遊記」では、先週まで開催されていた米国皮膚科学会(AAD)の学会会場展示場に戻ります。

こちらは、パロマ社。

現在の主要機器はStarLUX(スターラックス)500。

この機器をベースにして、さまざまなレーザー/光治療機器のヘッドを装着できるのが特徴です。

実は現在、クリニックFでもデモ器が来ていて使用させていただいています。

テストしているのはこの写真にある、赤系統の治療に強いIPLである「MaxG」。

そしてフラクショナルレーザー機器である「スターラックス1540」と「スターラックス2970」です。

以前であれば赤い色素系の疾患・・・つまり、赤あざや赤ら顔、血管腫などは、585nmの「ダイレーザー」という波長で一度、紫斑(内出血)をつくってから治療していました。

ダイレーザーはメンテナンスコストが高く、そこが臨床医師にとっては厳しいのですが、さらに、この内出血の期間が2週間前後もあり、思ったよりも治療経過が目立つため、赤系の治療を選択しにくい、という現状がありました。しかしながら、このMaxGを使うと、紫斑をつくらずに治療が出来るというのです。

僕の米国皮膚科学会(AAD)への入会に必要だった2通の推薦状のうち1通を書いてくれた、米国皮膚科学会の大御所エミ-ル・タンゲッティ医師や、以前パロマ社の脂肪溶解レーザーの話でボルチモアまでクリニック訪問したロバート・ワイス医師なども、

「このMaxGはダイレーザーに替わる機器として、非常に有効だ」

とコメントしていました。

日本人の場合、赤ら顔や赤いニキビなどに治療効果が望めますので、追ってレポートしますね。

 

もうひとつのトピックとしては、スターラックス1540でも新しいフラクショナルヘッドが出たことです。

クリスタルをこのような形に削って、以前よりも深くエネルギーが照射できるように細工してあるのです。

機能は別として、綺麗な形ですよね。

美しいものには惹かれてしまいます。

 


2011全米皮膚科学会の気になった演題

全米皮膚科学会の演題は、多岐にわたった演題が発表されるので、レーザー治療を行っている医師にとっては診療に直結する最新の発表が多く、非常にためになります。

去年は3つの演題を発表したので、講演を聞く時間があまりなかったのですが、

今回は、莫大な講演の中から興味のあるものをピックアップして、滞在が短くなった分、寸暇を惜しんで(笑)聞いてきました。

アメリカの学会は著作権がうるさいので、講演の中のスライドをここで写真で載せるわけにはいかないのですが、雰囲気が分かるように、演題名と人物の写真だけアップしますね。。

個人的に、一つ興味深かったのは、太陽光のエネルギーのうち、可視光線の肌に対する影響の演題。

太陽光は、紫外線、可視光線、赤外線の光が含まれ、それぞれ7%、40%、53%位のエネルギー配分を持ちます。

太陽光が肌に加齢現象を与えることはよくわかりますが、そのうほとんどの働きは、7%分のエネルギーでしかない紫外線だと言われてきました。

ほぼ可視光線のみのスペクトラが含まれている蛍光灯の光で、肌が加齢をするとは、通常は考えられないですよね。

太陽光線の中でも、肌に悪いのは紫外線だけだと思ってきました。

しかしながら、この発表によると、太陽光に含まれている可視光線を抽出して肌に照射すると、細胞内マトリックスを破壊し、コラーゲンを減少させると共に、IL1b、TNFα、IL6、IL8などの炎症性サイトカインが紫外線と同じように誘導され、新しいコラーゲン発現に関わるmRNAなどが皮下から減少するのです。

80分間太陽光に浴びる状態が続くと、紫外線は20J/cm2のエネルギーしかありませんが、可視光線は750J/cm2と、桁の違ったエネルギーを受けるのです。

当然、メラニンの発生も増加します。

衝撃的なことに、太陽光の可視光線から誘導される色素斑は、紫外線のUVA1から誘導されるものよりもより暗い色で、しかも沈着しやすいというのです。

特に肝斑の様な症例は、紫外線よりも可視光線の影響の方が強いかもしれないと結論していました。これは症例を見ていると思い当るところもありますね。

紫外線をカットするサンスクリーン剤を塗った方がいいとお勧めしてはいますが、外で長時間過ごす場合は、実際には紫外線ばかりではなくて、可視光線もカットする必要があるのですね。

今、クリニックFでは、院内処方のサンスクリーン(日焼け止め)を試作しているのですが、考えなければならない情報ですね。

また、レーザーについての講演も多くありました。

ハーバード大学医学部の光医学研究所、ロックス・アンダソン教授もここ数年の新しいレーザー機器の技術進化について講演をしていました。

講演は大きく分けて3つ。

一つ目は、フラクショナルレーザーを、皮下へのドラッグデリバリーに役立てるという話。昨年からこの種の演題は多いのです。

二つ目は、ウルセラに代表される、高集中型超音波システムによるリフティングについて。

この二つの演題は何度も耳にしているのですが、もうひとつ、三つ目に話した治療法がちょっと画期的でした。

今まで深い色素斑や、入れ墨などを消去する時には、Qスイッチレーザーを何度も照射する必要がありました。多い時には10回以上。

それは、一定以上のパワーで照射すると、照射直後にホワイトニングと呼ばれる皮膚が白く変わる時期があり、それを機転に照射をやめていたからなのです。

ホワイトニングは肌の中でメラニンが破壊された時に起こるショックウェーブの影響で、気泡が入り込んだものです。皮膚の色が白くなってしまうとレーザー光が散乱して、色素に反応しなくなるのですよね。

この反応が、後に反応後色素沈着症を引き起こすので、肝斑の様な炎症性の色素斑にレーザー治療してはいけないと言われていたのです。

実際に肝斑のレーザートーニングは、ホワイトニングをさせない弱いパワーで照射することがポイントになります。

実は、このホワイトニングは、照射すると20分位で消えてきます。

ホワイトニングが消えるまで待ち、その後に連続照射したらどのような結果になるのか?

ということを実験した先生がいたのです。

しかも同一日時照射で4回も。つまり20分間隔で、1時間かけて4回照射したということです。

これはコロンブスの卵の様な発想。

一部を普通の打ち方を、一部を連続照射をした症例写真が出て来ましたが、連続照射した部位は、たった一回の照射で真皮性色素斑が見事に消えているのです。

一目で見て、会場のすべての人が、あっ!と驚く症例写真でした。

パワーの設定なども書き残してきましたので、アジアンスキンに可能かどうか見極めて、パラメーターを決定し、今後、クリニックFの患者さんにもご紹介していこうと思います。

ここ数年のフラクショナルレーザー治療器の開発で、ニキビ痕などの患者さんに対しての治療は完成したというドクターが増えてきていますが、今後は治療時間の短縮なども考えなければなりませんね。

まだまだレーザー治療でやり残した研究は沢山ありますね。

 


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