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COLUMN

コラム「音楽は名医」
11. 医療現場でも活用される音楽の力

11. 医療現場でも活用される音楽の力

音楽の効果は医療の現場でも注目されており、多くの研究が行われています。たとえば、診察を待つ時間というのは、体調の悪さによる辛さ、病状や診察への不安がつのるものです。それを和らげるものとして、音楽を活用できるという研究発表があります。

実際私のクリニックでも音楽を日々の診療に役立てています。レーザーの治療を行うクリニックですので、治療に伴うレーザー照射時の痛みを軽減することが主な目的です。

クリニックにはオペラ歌手やプロのピアニスト、ピアノやヴァイオリン、チェロなどを教えておられる方、演奏家ではないけれどレコード会社や音楽関係に仕事で携わっておられる方・・・といった方も多数お越しくださっていますが、こういった方にも概ね御好評いただいています。

一方、ここまでお話ししてきた通り、クラシックには聴くほどに耳と意識が捕らわれてしまうという側面もありますので、スタッフルームでは音量を極力抑えています。

そうしないと、事務作業の内容によっては、はかどらなくなってしまうものもあるからです。そのため、時々はスタッフからの希望もあり、気分転換も兼ねてボサノヴァやジャズ、ポップスなども盛り込んでいます。

こうした意味でも音楽の効能効果は実に奥深く、まだまだ解明されてない点も多く、研究材料としてとても面白いものであると思います。

◆無人島に一枚だけ持っていくなら「チャイコフスキー&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲」

もう何枚所有しているのか私自身わからなくなってしまっているCDの中で、「この中で一番好きなCDはどれですか?」と聞かれることが少なくありません。

そんな時すこし悩んだのち必ず名前を出すのが、カラヤン指揮 ウィーン交響楽団 スヴァトラフ・リヒテルによる「チャイコフスキー&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲」です。

無人島にもし一枚だけCDを持っていけるとしたら間違いなくこの名盤を私は持っていきます。リヒテルとカラヤン、ピアノと指揮で「協奏曲」ならぬ「競争曲」を演奏しているような一枚です。お聴きになったことのない方はぜひ一度聴いてみてください。

もう一枚、これはBGMで流すと盛り上がるのが、ジェイムズ・レヴァイン指揮、シカゴ交響楽団によるグスターヴ・ホルストの組曲「惑星」

監修したCDシリーズにはクラシック初心者の方にも親しんでいただけるよう日本でメジャーな楽曲である「木星―快楽をもたらすもの」を収録しましたが、実際クラシックファンが唸るのは「火星―戦争をもたらすもの」ではないかと思います。

私の大好きなNY METメトロポリタンオペラの歴史を変えた天才指揮者・レヴァインの解釈は非常に映像的で独特なものですが、これに「世界一のブラスセクション」を率いるシカゴ交響楽団が余りあるエネルギーと技術で応え、パーカッションと弦もダイナミズムと繊細さのバランスを際どいレベルで保ちながら、壮大な宇宙を描き出します。曲に集中した瞬間からすっと現世を離れるような感覚を味わえる稀有な楽曲です。

音楽の恩恵は、いろいろな場面での活用が期待できるものです。今後、研究が進むほどに私達の生活がより良いものに変わっていくことは間違いないでしょう。