本シーズンのMETライブビューイングが始まりました。
寸暇を惜しんで、本年の第一回トゥーランドットを観てきました。
まさに、初回を飾るに素晴らしい作品ですね。
オペラは演出によって大きく変わりますし、そこが趣味人の楽しみでもあるのですが、ニューヨークメトロポリタンオペラのトゥーランドットの演出は、今年の6月に96歳で亡くなった演出家のフランコ・ゼフィレッリの豪華絢爛のものです。
ゼフィレッリはイタリア・フィレンツェ出身の映画監督、脚本家、オペラ演出家、政治家でもありましたが、まさに多才で天才的な人でした。
若き頃はマリアカラスなどの演出も行ったいわばオペラ界の生き証人でしたね。
18年よりジェームズレヴァインよりMET の音楽監督を引き継いだ、ヤニック・ネゼ=セガンもそうでしたが、この人もゲイを公言していたのです。
細部までの気づきとこだわりが凄すぎます。
プッチーニの遺作となった、オペラトゥーランドット。
内容はこのブログでも何度もふれていますが、中国皇帝の娘である氷の心を持ったトゥーランドット姫が、王家の血筋をもつ求愛者に三つの謎を出し、答えられなければ首を落とす。
というもの。
過去12名の王子が命を落としているのですが、姫に一目惚れした王家の血を引く主人公カラフが、国敗れて命からがらで逃げ出してきた国王であった父親や召使であったリューの反対を押し切り、挑戦することにします。
カラフは三つの謎を見事に解きますが、わがままなトゥーランドットは、「お父様、この異国の男と結婚したくない。」と言い出します。
困ったカラフは、氷の姫の心を愛で溶かしたい、それが手に入らなければ、自分が結婚するつもりがないと「夜明けまでに私の本名がわかったら、命を差し出す」というのです。
幕が変わり、ここで歌われるのが、カラフの有名なアリア「誰も寝てはならぬ」なのです。
パバロッティの歌ったものが本当に素晴らしかったですよね。
トゥーランドットの命で、召使のリューがカラフの名前を割らせるために拷問にかけられますが、リューは口を結び、自らの命を絶ってカラフに捧げます。
実はプッチーニが作曲したのはこのシーンまでで、あとは弟子たちが作り上げているのです。
この様子を見た氷の心を持ったトゥーランドットは「無償の愛」の存在に気づき、心を動かします。
夜明け前に、カラフは、もう私の想いは伝わった。
もう死んでも良い。
私の名前はカラフだと伝えるのですが、姫は夜が明けた後、北京の民を集め、「この男の名前がわかった。それは愛である。」と告げるのです。
この演出は、2015ー16年METライブビューイングでも放映されましたし、自身でも何度も観ているのですが、舞台装置が本当に素晴らしいのです。
何度観てもいい。
昨日も幸せな気持ちになりましたよ。
本当に舞台芸術、performance artsは人類の宝だなあと思います。
METライブビューイングは映画館で手軽に観られるオペラで1週間単位で毎シーズン10作品の放映が観られます。
何よりもビールを片手に持って診療後に観られる手軽さと、他の媒体よりも画像が大きいのもあって、略のない翻訳が素晴らしいです。
ぜひお勧めします。
今年の僕の注目は、フィリップ・グラス《アクナーテン》上映期間:2020年2月21日(金)~2月27日(木) ですね。
3月2日の僕のコンサート直前ですが、この作品は、時間を見つけて必ず観に行きたいなあ。
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藤本ミュージックアカデミー主催
「音楽は名医」 第一回 セルゲイ・ラフマニノフ編
脳の活性・ホルモンの分泌に有効なこと、それは音楽をライブで聴くこと
企画・指揮 藤本幸弘(医師・医学博士)
第一幕
スペシャルトークショウ
「クラシック音楽をライブで聴くことにより脳に何が起きるのか」
(医学博士:藤本幸弘 トークゲスト:元宝塚歌劇団宙組トップスター 和央ようか)
第二幕
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番 作品18 ハ短調
指揮:藤本幸弘
ピアノ:国内外で活躍中の男性ピアニスト(当日発表)
東京オーケストラMIRAI(創立5年目の新進気鋭の新しいプロオーケストラ)
https://eplus.jp/sf/detail/2986790001-P0030001P021001