クリニックFで診療していると、「ハイフってどうですか?」とよく聞かれます。
凄くはやっているんでしょうね。
ハイフについての僕の考えを少しまとめてみたいと思います。
HIFU(ハイフ)は、High Intensity Focused Ultrasoundの略で、高密度焦点式超音波というもの。
虫眼鏡をを思い出してもらえれば良いと思うのですが、光を当てると、焦点が集約しますよね。
光の代わりに超音波を利用して、焦点にあたる部位を熱変性させるという理論なのです。
初めて美容機器でこの理論を具現化した企業は、ウルセラという機器を作った米国メーカー。
現在はメルツという製薬企業に買収されていますが、他社の追従機器は特許の回避などがなされておらず、米国のFDA(日本の厚生労働局にあたる)で認可されているのはいまだにウルセラのみなので、米国系の学会に行くと、展示にはウルセラしか並んでいません。
そんなわけで、クリニックFでも長くウルセラを使用してきました。
この機器がリフティングに効くのか?という問いに対する答えですが、僕は、立方体を思い浮かべてもらえればいいと思うのですが、熱変性を起こすのは体積的にほんの一点のみなので、皮膚を持ち上げて、ホッチキスを止めるイメージだと説明しています。
短期間では効果はありますが、通常の生活を送っていると、じきに効果はなくなってしまうものと考えています。
現在肌の治療はレーザーや光などを基本とした機器から、ラジオ波、マイクロ波、クライオ、常温プラズマ、磁場(HIFEM)などなど、他のエネルギーを利用統合した、Energy based Medical Device(エネルギーベースの医療機器)が主流となりつつあります。
エネルギーを皮下に加えることで、細胞の活性化を促し、タンパク合成のための遺伝子を紐解くトリガーとするわけです。
こうした肌に対する機器の場合、単位面積当たりに、どの波長を使って、何ジュールのエネルギーを照射したか積分することでおおよその照射エネルギーを計算することができます。
リフティングなどにこの理論の応用が必要な場合は、単位体積当たり何ジュールのエネルギーを照射したかに考えを変えなければならないのですが、対体積当たりで考えると、HIFUによって皮下に加えられるエネルギーはまさに点状で、非常に少ない。
ハイフの若返り効果は、あくまでも対処療法で短期に結果を求める人用。
一方で肌全体の若返りとして使ってゆくのは、他のエネルギーの方が良いのではないかというのが、僕の現在の考えですね。
こちらは僕が最も早くHIFUの言葉を知った論文。
2001年のものでした。