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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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ナショナル ジオグラフィック

ところで、ワシントンDCには、世界的に有名な雑誌の編集室があります。

それは「ナショナル ジオグラフィック」。

印象的な黄色が目印の雑誌を御存知の方も多いのではないでしょうか?

ナショナル ジオグラフィック協会は、「地理知識の普及と増進」を目的に、1888年に電話を発明した科学者グラハム・ベルなど有識者33名によって設立された世界有数の非営利団体として知られています。

雑誌「ナショナル ジオグラフィック」はその協会から最初は会員誌として創刊。現在では世界31の言語に訳され、毎月4000万人の読者がいるのだそうです。

一昨年観た映画「ブラッド・ダイヤモンド」で、アフリカの奥地を彷徨う主人公のレオナルド・ディカプリオが職業を聞かれ、

「僕はナショナル ジオグラフィックの記者だ」

と答えるシーンがありました。

知名度は世界レベルなのです。

そして、実は僕が楽しみに定期購読している雑誌の一つでもあります。お気に入りの号は残してあって、クリニックFにおいてあります。

建物の中では、ちょうど写真展をやっていました。

中でも気に入ったのはこの雄ライオンがたてがみを揺らしながら疾走する、大きく引き伸ばされたこの写真。

こんな写真が撮れたら感動しますよね。

お土産も充実していました。


米国レーザー学会(ASLMS)最終日

学会も最終日となり、展示も講演も終わりに近づきました。

来年の第30回、米国レーザー学会の開催場所が発表されました。アリゾナ、フェニックスだそうです。

アリゾナには素晴らしいスパがたくさんあると聞いています。

今年の学会で、僕はこの学会8つ目の演題を出しましたが、また来年も演題を出して、学会に参加できればいいですね。

会場の外に出るともうあたりは暗く、ポトマック川が見えます。

久しぶりにJMECの営業の林さんと写真を撮りました。

巨大なコンベンションセンターの看板の前で写真を撮ったのですが、夜桜がきれいでしたよ。


アーリントン墓地に眠るJFK

ワシントンDCのホワイトハウス対岸、ペンタゴンの北には、アーリントン国立墓地があります。

地下鉄ですぐに行くことができるので、足を延ばしてみることにしました。

ここは、アメリカ建国以来数々の戦争で戦死した兵士やアメリカの国民的英雄が埋葬されている墓地です。

近年では埋葬希望者が多いので、すべての希望者を受け入れられず、アメリカの軍人か、テロなどで亡くなった人に限られているようです。

独特の墓標が並ぶ広い芝生。

墓標には名前と生年が書いてありますが、兵士の墓標には、階級と、どこで戦死したのかその場所が刻まれていました。

僕はこの墓地に眠る、JFKこと、ジョン・F・ケネディの墓所を目指しました。

観光客が歩く方向に向かうと、ちょうど南北戦争で南軍の指揮官だったロバート・リー将軍の邸宅だったアーリントンハウスの下に、人だかりがあるところを見つけました。

ここがケネディ元大統領の墓所だったのです。

この若き大統領が1963年にダラスで凶弾に倒れた時、アメリカ合衆国ではさぞかし動揺があったことでしょう。

ケネディ暗殺犯とされたオズワルドがすぐに暗殺され、ケネディ暗殺の関係書類はアメリカ公文書館の中で75年凍結されました。

関係者がすべて亡くなっている75年間後に公開すると明言したということは、国家的な陰謀の存在を事実上認めているということですよね。

映画「JFK」の中では、米ソの対立から平和路線に舵きりを図った大統領が、軍部と対立したためとされましたが、他にも多くの語れない理由があるのでしょう。

ケネディの墓所から振り返ると、リンカーン記念館や、オベリスクが見える素晴らしい眺望でした。

 


2009年ASLMS・肝斑治療についての発表

2009年ワシントンDCの米国レーザー医学会(ASLMS)での僕の演題の二つめは、ここ数年取り組んでいる肝斑治療の演題でした。

「 Comparison of low fluence Q-switched alexandrite laser versus Q-switched Nd:Yag laser for the melasma treatment of Asian patients」

肝斑治療で使用できる、Qスイッチアレキサンドライトレーザーと、QスイッチNd:ヤグレーザーの比較検討実験です。

20世紀から、色素性の疾患にメラニンに反応するレーザーを使用するのは、常識的な治療でしたが、色素性疾患のうち、肝斑だけは、レーザー治療後に状態を増悪させてしまうことがあり、肝斑にはレーザー治療が適していないと日本語の教科書にも書かれるようになりました。

しかしながら2005年ぐらいから、肝斑治療に低出力レーザーを使うことが、海外のレーザークリニックでは、いわば常識と変わりました。

この肝斑治療については、2005年から僕も演題を発表し続けていますので、海外の学会で名前が売れてきました。

ちょうどこの日も、ニュージャージで開業している台湾系の先生が、僕の発表を見て、ぜひディスカッションしたいと話しかけてきてくれました。

アジア人の患者さんを持つ身として、肝斑治療は切っても切れない関係にあるのですね。

この先生、もともとはレーザー技術者だったらしいのですが、アメリカでMDの資格を取得して開業し、現在に至っているのだそうです。今度NYCに来たら、近くなのでクリニックに遊びに来てほしいと言われましたよ。

ところで、今回の発表の論点は、「肝斑治療に適する低出力レーザーの比較」ですが、今回の比較実験で非常に面白いことが判明したのです。

今回対象とした アレキサンドライト(755nm)の波長と、Nd:YAG(1064nm)の波長を比較すると、波長の短いアレキサンドライトレーザーの方が、メラニンの吸収性が高く、当然、肝斑治療にはより効果があるのではないかと予想されたのですが、実際には、それと正反対の結果が出たのです。

いわゆるレーザートーニングと呼ばれる肝斑治療の際には、もしかしたらメラニンの吸収曲線とは違った理論が働いているのかもしれません。

結果から予想される仮説はいくつか想定されるとおものですが、僕の発表の考察にも入れましたが、納得できる理論だと僕が考えているのは以下の三つです。

アレキサンドライトと、Nd:YAGの波長を比較すると、Nd:YAGの波長の方が深くまで浸透します。

1.肝斑の組織標本を観察すると、かならず炎症性の細胞が見られます。つまり、肝斑は炎症持続性の疾患なのです。→近赤外線の光(レーザーのように単一波長ではなく、ブロードバンド)が皮下の炎症を抑える効果があることは19世紀から報告されていますが、同じく近赤外線に当たるNd:YAGの波長を弱く照射すると、何らかの機序で、炎症を抑える効果があるのかもしれません。

2.肝斑の増悪には、血管より遊離するサイトカインがおそらく関わっており、肝斑が再発するときは、肌の血管に近い部位から再発するが、Nd:YAGの波長は微小血管を収縮させる能力がある。→真皮の血管の破壊か、血管壁の増強が、肝斑の抑制につながる可能性がある。いわゆるプラスミン阻害の止血剤であるトラネキサム酸(トランサミン・トランシーノなど)が、肝斑に効果があるのは、この機序が働いていると考えられます。

また、Qスイッチ波長にした場合、アレキサンドライトレーザーの方が、パルス幅が数倍長い。

3.ハルス幅が短ければ、短いほど、破壊力は高まります。単純に、二つの波長のメラニンの吸収効率以上に、パルス幅の差が影響したのかもしれません。

細胞内や、血管周囲に出ているサイトカインなどの測定が、実際に組織切片で、ミクロで見ることができればすぐに結果がわかるのですが、あまりに小さなサイトカインの微細かつ複雑なカスケードが対象で、マクロの結果で予測する以外はアプローチが難しい。

今回の発表の考察は、こんな形でまとめました。

閑話休題

同じ治療を繰り返しても、治療に反応しやすい、治りやすい肝斑と、治りにくい肝斑というものが存在します。

僕も、実際に患者さんを診察すれば、

「何回ぐらいレーザーを照射すればきれいになりそうですよ。」

と具体的にお話しできるのですが、これはあくまで経験則でしかありません。

僕らが対処しているのは、「医学」なので、もう少し研究が進み根拠ある説明ができるようになればなと思います。

医学の発展に、僕も微力ながら力を尽くせたら良いですね。


脂肪減少についての講演と「ゼルティック」のデビュー

唯一元気があったのは、脂肪減少についての講演でした。

アメリカでは、御存知のように肥満に悩む人の数が桁外れで、メタボリックシンドロームが国民病となっています。手術による脂肪吸引の市場は、日本の数十倍あると言われています。

しかしこれらのレーザー機器は、脂肪を減少させるといっても、実際に手術室で手術のように、レーザー機器を挿入する孔を皮膚にあけなればなりません。

脂肪吸引に代わって、このレーザー機器が日本で一般化するかというと、疑問ですね。

そして、新しい機器として興味深かったのはゼルティック(Zelitiq)。

サーマクールを作った研究グループが、脂肪組織を氷解することで手術をすることなしに、部分的な脂肪を減少させる施術を可能にした機器なのです。

もう昨年のオーランドのASLMSでも事実上のお披露目会である秘密のカクテルパーティーによんでもらったのですが、いよいよ今秋あたりに日本でも販売されそうですよ。

楽しみです。


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