ボトックスの話を書きましたが、ボトックスで足のふくらはぎを痩せさせることができるのを知っていましたか?
ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)はフグ毒であるテトロドトキシンと並ぶ、史上最強の神経毒素の一つで、生物兵器として使用研究されたことがあるものです。
ボトックスはボツリヌス菌由来の神経毒素複合体剤(A型~G型まであります)の内、A型という毒素だけを精製して取り出した製剤です。
写真はWikiからお借りしたボツリヌス毒素の構造の写真です。
ボツリヌスA型毒素は、筋肉内に注射されるとコリン作動性の運動神経終末に結合します。
すると、神経終末からアセチルコリンという物質が放出されなくなり、その神経支配部位の筋肉が収縮できなくなるのです。
期間は濃度にもよりますが、2~6ヶ月間と言われています。
このボツリヌス毒素の性質を利用して、1977年に米国のScott医師が斜視に対して臨床応用してからというもの、眼瞼痙攣、片側性顔面けいれん、痙性斜頚などの治療に加え、多汗症の治療にも用いられるようになりました。
2002年4月には、ボトックスは、米国のFDAでシワ治療薬として正式に認可をされました。
現在美容目的でボトックスが使用される効能は、
1. 顔のしわ取り
2. 筋肉の発達による下顎の「エラ張り」 が注入によってすっきり細くなり、小顔効果があります。
3. 筋肉の発達により太くなってしまった、「ふくらはぎ」 が注入によってすっきり細くなります。
4. わきが、多汗症 は、汗の分泌にかかわる神経の伝達を抑えるため、汗とにおいを抑えます。
5. 「ガミースマイル(歯茎が見える)」笑い顔の改善。
などがあげられます。
さて、クリニックFで、圧倒的にニーズがあるのが、「顔のエラ痩せ」です。
エラをほっそりとさせるだけで、顔の面積が狭く見えることから「小顔」に効果があると、20代~30代の女性にとても人気がありますね。一度注入すると必ずリピーターになる、人気の施術です。
また、顔のエラが張っている人は、知らずのうちに、夜に歯ぎしりをしている場合が多いのです。
こんな人は、40歳を超えたあたりで奥歯が割れてしまったり、インプラントにしなければならない人が多いと聞いています。ボトックスを注入することで噛む力が弱まる為、歯ぎしりも軽減され、頭痛も減ります。歯にも負担が少なくなるのです。
エラ痩せのための効果は一回注射(52.500円)するだけでもありますが、長続きさせたいときは、一ヶ月毎に3ヶ月間、合計3回ぐらい打つと効果も数年単位で持続します。
良薬口に苦し。効果のある薬は、それなりに強い副作用もあります。シワをとろうと、注射の部位を間違えると、表情が変わってしまったりしますので、僕はきわめて控えめに打つようにしています。
先日、海外でボトックスの死亡事故などの報告もありましたが、報告書を読むと、使用量が半端な量ではありません。通常美容目的で使用する量であれば、使用法さえ間違えなければきわめて安全な薬と言えるとおもいます。