さて2004年に参加を始めてから21年目。
2024年の米国レーザー医学会の総括ですが、まず今年は規模がかなり小さかったです。
コロナの影響から抜けきれていないアメリカ経済を表しているのでしょうか?
ボルチモアという場所での開催だからか?
それと寄附金も集まらなかったのでしょう。
参加費がここ数年上がる一方です。
近年IMCASなどの商業系の学会が多い中、ASLMSはレーザーやエネルギーデバイスを医学的、科学的に評価する学術学会としては希少なものだと思います。
ベーシックサイエンスの分野では、いよいよ可視光線領域のフェムト秒レーザーの発表もあり、レーザー工学の博士としては興味ありました。
発表演題に関しては、昔ながらの写真によるダブルスピリットの症例比較演題が多く、これは何年も前から波長やエネルギーベースを変えて多くの発表がなされてきました。
効果のほどは別として、この20年間のトレンドは、
レーザー→ IPL→ RF → フラクショナル→ クライオ→ HIFU → ピコ→ HIFEM → SUPERB(Synchronous Parallel Ultrasound Beam Technology)
が流れですね。
機器メーカーをいくつか渡り歩く技術者や経営者、マーケティングスタッフも多く、機器が売れるとすぐ企業を売却する経営者が多いのは米国っぽいです。
学会のセッション自体はカテゴリーに目新しいものはあまり無く、10年前と同じセッションを機器を替えてやっている感じでした。
レーザー分野ではコーニングなどの特殊なフラクショナルレーザー技術を作った機器メーカーや、1726nmの皮脂腺をターゲットにした機器なども販売されて、ニキビ治療のゲームチェンジャーの本命が登場した感じです。
ただ、例えば30万ドルの機器を買うとなると、輸入税入れて日本円で5000万円近くの出費。
最新機器を購入してきたいとは思いますが、日本に導入するのは円安過ぎて、医師もそうですが、輸入業社さんも流石に躊躇してますね。
良い面としては、発表者は昔は医師ばかりでしたが、最近はBAやBSなどの学士の学位を持った学生やナース達の発表も受け入れており、裾野の広がりを感じました。
レーザー技術には時間的コヒレントと空間的コヒレントがあるのですが、今は後者の技術が主に使われていると言えます。
が、前にも僕のブログでも触れてきたように、前者の技術を使うとより細かいレーザー診断技術ができるはずです。
今後はVRやXR そしてAIの専門家がこの分野に集まってパラダイムシフトが起こることを期待したいですね。
2025年は何度も開催されているオーランドでの開催。
ディズニーパワーで多くのドクターが集まるといいですね。