2016年の5月に書いた、懐かしいけど今でも役立つ記事。
紫外線防止のガラスでは、日焼けに関わる紫外線はカットできないと言う話です。
「紫外線と可視光線の境」
https://takahirofujimoto.com/blog/blog/lasertreatment/post_13000/
2016年の5月に書いた、懐かしいけど今でも役立つ記事。
紫外線防止のガラスでは、日焼けに関わる紫外線はカットできないと言う話です。
「紫外線と可視光線の境」
https://takahirofujimoto.com/blog/blog/lasertreatment/post_13000/
皮膚の色を決定している要素は、茶色いメラニンと赤いヘモグロビンです。
透明感の高い肌を得るためには、赤と茶色の要素を少しでも減らせばよいわけです。
次回の学会では医学系では珍しいLBOを使った症例を発表しますので知識の整理です。
ちょっと工学レーザーの話も入れますね。
赤みがある皮膚疾患の治療には、血管性レーザーが一般的に使用されます。
このタイプのレーザーは、血管内のヘモグロビンに反応して血管を破壊することで、血管拡張や血管網の病気を治療することができます。
代表的な血管性レーザー機器としては、以下のものがあります。
〇パルスダイレーザー(PDL):(595nm・585nm)主に顔の表面にある赤みを治療するために使用されます。
表皮を保護しながら血管内に光を照射し、血管内のヘモグロビンを破壊することで赤みを軽減します。
表皮を保護しながら血管内に光を照射し、血管内のヘモグロビンを破壊することで赤みを軽減します。
〇Nd:YAGレーザー:(1064nm)深い位置にある血管を治療するために使用されます。
表面の皮膚を通過して深い位置にある血管に光を照射し、血管を破壊することができます。
このうち、1064nmのNd:YAGレーザーの半分の波長532nmを作りだすことで、より浅い部位にあるヘモグロビンを破壊することができるのですが、それには非線形結晶を使います。
レーザー光の波長を変換するために使用される結晶です。
代表的なものは、KTP、KDP、DKDP、ADP、β-BBO、CBO、YCOB、GdCOB、GdYCOB、LiNO3、AgGaSe、KTA、CLBO、LBO、LB4、KN、AgGaS等いろいろな種類が多いのですが、
532nmを作る際には以下の三種類の結晶が使われることが多いです。
KTP結晶(ポタッシウム・チタン・リン酸塩 Potassium Titanyl Phosphate)
KTP結晶は、非線形光学結晶の中でも最も一般的に使用されているものの一つです。
Nd:YAGレーザーからの1064nmの光が入射すると、結晶内の非線形光学効果によって2倍の周波数(532nm)に変換されます。
KTP結晶は高い変換効率を持ち、安定性も高いため、広く使用されています。
BBO結晶(β-バリウムボロ酸 β-Barium Borate)
BBO結晶は、KTP結晶と同様に非線形光学結晶の一つです。
Nd:YAGレーザーからの1064nmの光が入射すると、結晶内の非線形光学効果によって2倍の周波数(532nm)に変換されます。
KTP結晶に比べて変換効率は低いですが、より広い波長範囲で使用できることが特徴です。
LBO結晶(リチウム三線酸ボロ酸エチル Lithium Triborate Ethyl)
LBO結晶は、KTP結晶やBBO結晶と同様に非線形光学結晶の一つです。
Nd:YAGレーザーからの1064nmの光が入射すると、結晶内の非線形光学効果によって2倍の周波数(532nm)に変換されます。
KTP結晶に比べて変換効率は高く、さらに高出力にも耐えることができます。
これらの非線形結晶を使用した第二高調波発生器は、Nd:YAGレーザーのような近赤外線領域で効率的に動作することができ、レーザー加工、医療用途、通信、環境モニタリングなど様々な分野で使用されています。
人工的に作られた光であるレーザーは、人類で最も偉大な発明の一つと言われるようになりました。
機器が完成したのは1960年。
僅か63年の歴史しかありません。
幸か不幸か、スターウォーズのレーザー砲や、ライトセーバーは未完成ですけれどね。(笑)
画像はwikiよりお借りしました。
明日出発の米国レーザー医学会に向けて、満員のクリニックF外来奮闘中。
今回の発表は①三菱商事の子会社で新たに開発された細胞成長因子を持った化粧品原材料AOHを用いている共同研究です。
高侵襲性のCO2フラクショナル照射後のダウンタイムを短くするために、照射後に、
①生物学的活性をもった低出力レーザーを照射する。
②AOHを塗布する。
③強力なラジカルスキャベンジャー(抗酸化物質)であるフラーレンを塗布する。
という比較検証実験。
レーザー照射の後に、別の波長のレーザーを使って炎症を止めるという発想は面白くないですか?集中して思考をまとめているのが科学者としては一番楽しいです。
今月号の欧州皮膚科学会専門誌の巻頭論文を読んでいたら、15世紀のトルコの医師が、尋常性白斑の治療に使っていた手法が書かれていました。
まあ簡単にいうと焼きゴテなんですが、なんだか絵が印象的です。笑。
白斑症ですが、色の白いを求める日本人はあまり気にしない人もいますが、実は結構多くの人が持っています。
シミが気になると来院された方を診察してみると、実際には発症している白斑との境界の正常の皮膚が、シミっぽく見えているというケースも多々あります。
もしも気になる方は白黒反対に観察してみてくださいね。
最近ですが、コロナワクチンを打った人に、白斑症が多発する症例が散見されます。
これは免疫細胞がなんらかの影響で交差して、メラノサイトを破壊してしまうようなのです。
気になる方は専門医にご相談くださいね。
僕の医学の専門はレーザー光治療ですが、光を使って肌の細胞を若返らせることを目的としています。
強力な光が生体に対してなぜ影響を与えることができるのか?実は謎でした。
光が生体に影響を与えるとしたら、葉緑体を思い浮かべる人が多いですが、もちろん植物にある葉緑体は、動物には存在しません。
実際にこの答えを予想したのは、1989年。当時のソ連邦崩壊のさなかのモスクワの学者KARUでした。
可視光から近赤外光は、光受容体であるミトコンドリア内膜上に存在するチトクロームCオキシダーゼに作用することを発表したのです。光刺激により、電子伝達系を介したミトコンドリア内膜でのATP合成が促進されることが若返りのトリガーになります。
ミトコンドリアはもともとは酸素を利用することのできる別の生物で、それが酸素を利用できない真核生物の細胞の中に取り込まれたので、現在の酸素によりエネルギーを作る生物が生まれました。このため、独立した遺伝子をもっていることが知られています。
細胞核の中のDNAにはミトコンドリアの遺伝子は含まれておらず、父親系の遺伝子が含まれない。つまり、ミトコンドリアに依存する運動能力などは、母系遺伝になり、基本的に世の男性は、自分のミトコンドリアの遺伝子を後世に残すことができないのです。
ミトコンドリアDNAは必ず母親から子に受け継がれ、父親から受け継がれることはない。またミトコンドリアDNAは男女の交合による組換えを経ることがないため、個々人のミトコンドリアDNAの違いは突然変異のみになるのです。興味深いですよね。
写真はKURUの論文の表紙です。