TakahiroFujimoto.com

HOME MAIL
HOME PROFILE BOOKS MUSIC PAPERS CONFERENCES BLOG MAIL CLOSE

BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:Thermageサーマクール

【新国際学会周遊記──たるみ治療の雄サーマクール後継機をめぐる賛否と僕の立場】

新国際学会周遊記──たるみ治療の雄サーマクール後継機をめぐる賛否と僕の立場

国際学会の会場では、休憩時間のコーヒーブレイクにこそ白熱した議論が生まれます。大ホールでの発表以上に、隣に座った同業の先生との立ち話が、その日の学会のハイライトになることすらあります。今回のテーマは、サーマクールの後継機たち。

サーマクールのデビューは鮮烈でした。

2002年にはラジオ波(Radio freaquency)という電流を使用した治療法がASLMS(米国レーザー学会アトランタAtlanta)で発表されました。光やレーザーを利用するのではなく、電流を使用する治療を提示したのです。この治療はたるみに代表される「形態的老化」に効果を発揮します。この写真は初代のサーマクールの際に僕が使用したプレゼンテーションです。左側の写真は試作機です。

美容医療の世界は、オリジナル機器が登場した後、必ずジェネリック的な追随品が現れる。今回はオリジナルの特許技術が20年で切れた、サーマクールのその後の話です。

サーマクール後継とジェネリック群

2019年 サーマジェン(ThermaGen)
韓国製。周波数3.6MHz。サーマクールの原理を周波数を買えただけで、ほぼそのまま踏襲した最初の“パクリ機”。

2022年 ボルニューマ(Volnewma)
韓国製。周波数6.78MHz。サーマジェンより高い周波数を採用し「痛みの軽減」を謳う。

2023年 オリジオ(Origio)
韓国製。周波数6.78MHz。同じくジェネリック系の一つで、広告上は「快適性の改善」を強調。

2023年 デンシティ(Density)
韓国製。周波数6.78MHz。オリジオと同時期に登場し、差別化は限定的。

2024年 ザーフ(Zaf)
韓国製。周波数6.78MHz。最新のジェネリック群に加わったが、原理的には同列。

つまり系譜としては、最初に周波数3.6MHzのサーマジェンが登場し、特許が切れたその後は、すべてオリジナルの6.78MHzに統一されているという構図です。

「ジェネリック機をどう見るか」

一見すると改良版のように見えますが、結局のところ原理はサーマクールと大差なく、オリジナルに比べて研究開発の裏付けが弱いのは事実です。学会でも「痛みの少なさをアピールするが、本当に効果が持続するのか?」という疑問が常に出ています。

賛成派──“ジェネリックも進化する”

「サーマジェン、ボルニューマ、デンシティ、オリジオ、ザーフ。これらはサーマクールの特許が切れてから生まれたジェネリック機だが、単なるコピーにとどまらない。冷却技術や照射アルゴリズムの工夫で痛みを減らし、波長の組み合わせで治療範囲を広げている。臨床的にはむしろサーマクールを上回る快適さを感じる患者も多いんだ。」

ある韓国の若手医師はそう熱弁を振るっていました。確かに学会誌の中にも、韓国製RF機器とオリジナル・サーマクールの比較で、患者満足度に差がないとする報告もあります(J Cosmet Laser Ther 2021;23(7):375-381)。

反対派──“ジェネリックは所詮コピー”

一方で、別の先生は眉をひそめながらこう言います。

とはいえ、根本的な原理はすべてサーマクールと同じ。むしろ設計の甘さが副作用リスクを増やしている可能性すらある。価格競争に巻き込まれて質が落ちるのがジェネリックの常だよ。

僕自身の立場──“ジェネリックは嫌い”

正直に言えば、僕は工学博士としてのバックグラウンドもありますし、機器開発にかかわったこともあり、機器を一から作り上げることの大変さも知っています。基本的にジェネリックが好きではありません。

医薬品でも医療機器でも、オリジナルを作ったメーカーの知恵とリスク、そして莫大な研究開発費があるからこそ、一つの製品は世に出ます。その苦労を横目に、後から似たものを作り「より安く、より痛みが少なく」と謳うのは、どうにも僕の美学には合わないのです。

結局、サーマクールの特許が切れた後に続いた韓国製ジェネリック機は、2019年から2024年の間に一気に揃い踏みしました。しかしそれで本当に“革新”といえるのか──そこに僕は強い疑問を抱いています。

もちろん、患者にとって選択肢が増えるのは良いことです。しかし僕は、自分のクリニックでは「本家」にこだわりたい。

新しいものを取り入れるなら、例えば、エムフェイスや、ソフウェーブのように“まったく異なるアプローチ”で次の地平を切り拓いた機械であってほしいと思っています。

ただしここでも冷静さは必要です。短期的な満足度は高くとも、長期のデータが揃うのはこれから。期待値と科学的裏付けの間で、常にバランスを取らなければならないのが僕らの仕事です。

結び──進化の中での選択

学会場の空気は、「希望」と「懐疑」の二つの波で揺れ動いていました。ジェネリックに未来を見出す人もいれば、オリジナルの威厳を重んじる人もいる。そのどちらも間違いではありません。

僕が選びたいのはオリジナルと、本当に革新性を持った機器だけです。模倣ではなく、創造。コピーではなく、新しい物語。

医療は常に「新しさ」と「快適性」と「科学的根拠」の間で揺れ動きます。そのバランスを取るのは施術者の哲学であり、美学です。僕は、ただ効果があるというだけではなく、患者が笑顔で「また受けたい」と言える治療を選びたい。

美容医療の進化を旅するなら、その方がずっと心が踊るのです。

 


カテゴリー