本を読むのが好きです。
小さなころから、小説、歴史書、図鑑・・・などなど、とにかく本が大好きで、いつも本ばかり読んでいるような子供でした。
元々活字が好きなのだと思います。
今も、本でも雑誌でもインターネットでも、なんでもいいので常に活字が目の前にあると落ち着くんですよね。
これって「活字中毒」?にかかっているのでしょうか(笑)。
でも、やっぱり本はその中でも別格。
インターネットや雑誌では味わえない、高揚やカタルシス。
何度も読み返すことで出来る、黄ばみや汚れと一緒に思い出や感情が呼び起こされたりするのも、本ならではですし、
「行間を読む」
というのも、本の「行間」と、インターネット上の「行間」では、ちょっと意味が違うように思うのは僕だけでしょうか。
また、新書を購入したときの、あの
「早くこの本を読みたい!」
と、うずうずするかんじや、指が切れそうになるパリパリの紙の質感、匂い・・・など、これはたぶん日本という「紙の国」で発行される書籍ならではの感慨深さがあるように思うのです。
本が売れない、と言われて久しいですが、僕は本を買うことをやめないと思いますね。
本を一冊購入し、それを読むこと、自分のものにすることによって得られるものを考えたら、本を買うということは(それが新書ではなく古本だとしても)素晴らしいエンタテイメントだと思うからです。
今日は、最近読んで
「すごい!」
と思った、医療の分野に関する本を一冊ご紹介しましょう。
医療分野の新書は、アマゾンでまとめて購入して、目を通すようにしています。
ベストセラーに近いのに読むに足りない内容の本から、これはぜひお勧めしたいという本までいろいろあります。
最近読んだ本で、これはすごいと思ったのが、写真で手に持っている「代替医療のトリック」(新潮社版)。
現在、本流の西洋医学ではない、代替(統合)医療に関わる金額は、全世界で6兆円に達すると言われています。
ホメオパシー、鍼灸、カイロプラクティック、ハーブ療法、アロマセラピー、アーユルヴェーダ、キレーションセラピー、大腸洗浄、酸素療法、伝統中国医学、デトックス・・・。
これら代替医療に対する最新の知見が述べられているのですが、ジャーナリストらしい多くの取材と文献を根拠とし、さらに理系の論文を組み立てる様な、緻密な論理構成。
僕自身は
高等学校の理数クラス→医学部→医師
・・・なんて環境にいたので、周りは理系ばかりなのですが、実は理系の人間で、人を惹き込めるような文章を書ける人間は意外と少ないと思うんですよね。
この本の著者は、サイモン・シン(Simon Singh)とエツァールト・エルンスト(Edzard Ernst)。
サイモン・シンは、インド系イギリス人、ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得したのち、英国BBCテレビのプロデューサーをしている人物です。
1967年生まれなので、実は僕と歳はあまり変わらないのですが、一般向けの科学書の作家としての評価はトップクラスで、新書が出ると必ずチェックしてしまう作家の一人です。
以前も取材をもとに書下した「フェルマーの最終定理」も高い評価を受けましたよね。
僕もノンフィクションとしてではなく、単なる読み物として読んでいても鳥肌が立ちましたよ。
ほかにも、「暗号解読」、「宇宙創成」のベストセラーで知られています。
エツァールト・エルンストは、1948年ドイツ・ヴィースバーデンで生まれた、代替医療分野における世界初の大学教授。1993年に、英国エクセター大学に代替医療学部を創設しています。
また、こうした文章を翻訳するときに、理系の翻訳家がいるととてもよいと思うのですが、「フェルマーの最終定理」も、「代替医療のトリック」も青木薫さんという、京都大学理学部を卒業され、その後も京大大学院で理学博士を取得された方が翻訳しています。
理系の人の文章構成や思考展開は、同じ専門の理系の人が訳した方が単語の訳し方や論理展開に使用する接続詞のような言葉一つとっても、とてもいいと思うんですよね。
翻訳の本ですと、2500円から5000円ぐらいのちょっと高めで、発行部数があまり多くはない本に、1年に一冊出会うというお宝が眠っている印象がありますが、コストを考えると妥当な価格だと思いますよ。