鉄道出口からヘルシンキ空港に向かう大きなエスカレーターの回廊にあった巨大スクリーン。
観るとトスカの一場面。
https://www.facebook.com/1486146253/videos/pcb.10237661492185031/1394705844998373
北欧は本当にデザインがオシャレですね。
鉄道出口からヘルシンキ空港に向かう大きなエスカレーターの回廊にあった巨大スクリーン。
観るとトスカの一場面。
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北欧は本当にデザインがオシャレですね。
腸の健康を支える“静かな主役”──短鎖脂肪酸と、油の選び方
私たちの腸には、数兆の微生物が暮らしています。
毎日の食事を分解・発酵し、身体に必要な“代謝産物”をせっせとつくってくれているのです。
なかでも注目したいのが、「短鎖脂肪酸(SCFA)」という小さな酸たち。
酪酸、酢酸、プロピオン酸……これらは腸のエネルギー源であり、炎症を鎮め、腸の粘膜を守る“天然の調整役”でもあります。
1. 腸は糖ではなく「酪酸」で動いている
糖質は主に小腸で吸収され、大腸にはほとんど届きません。大腸のエネルギーは、腸内細菌が発酵によってつくり出す酪酸が支えています。
でも現代人の多くは、酪酸がうまくつくれない体質になってきています。
2. 酪酸菌が減ってしまう2つの理由
● 脂質の“質”が悪い
炒め物、揚げ物、ドレッシング、スナック菓子、サプリメント…
こうした加工食品に多く含まれるのが、オメガ6系(リノール酸)中心の植物油脂です。
この油は酸化しやすく、胆汁の分泌を過剰に誘導し、腸内細菌に負担をかけます。
特に酪酸菌は胆汁酸に弱く、生き残るのが難しくなってしまうのです。
● 発酵の材料が足りない
ネバネバ食材、キノコ、海藻などの食物繊維や難消化性デンプンが不足すると、酪酸をつくる“材料”が足りなくなります。
結果として酪酸は減り、腸内がアルカリ性に傾いて、炎症・リーキーガットが起こりやすい状態に…。
3. でも、そのとき酢酸が働いてくれる
酢酸は、酪酸のような“主役”ではないけれど、いざというときに腸のエネルギー源として働いてくれる存在です。
・アセチルCoAへと変換されて、細胞のミトコンドリアでATPをつくる
・粘膜バリアを守り、タイトジャンクションを維持
・体の炎症を鎮めるメッセンジャーにもなる
酢酸は「補助的なエネルギー源」でありながら、腸内の秩序を静かに守る縁の下の力持ちなのです。
4. 油は全部NGじゃない。オメガ3は“腸の味方”
ここで気になるのが、「じゃあ、油は全部だめなの?」という疑問。
答えはNO。
実は、オメガ3(DHA・EPA)は、腸の炎症を抑え、酪酸菌の働きを助けてくれる“良い油”です。
・青魚(サバ・イワシ・サンマ)などを中心に、定期的に取り入れること
・酸化した油を避けること(サプリは要冷蔵)
油は悪ではありません。
「質」と「バランス」がすべてなのです。
腸を元気にする、3つのヒント
オメガ6系の油を控える
→ 揚げ物、加工食品、液体植物油を減らしましょう。
オメガ3を意識してとる
→ 青魚・えごま油・亜麻仁油(新鮮なもの)を週に数回。
腸内細菌のエサを毎日少しずつ
→ 山芋、モロヘイヤ、オクラ、キノコ、海藻などを日常の食卓に。
→ 体質に合えばオリゴ糖(例:ハニーデュー)もおすすめです。
おわりに
腸の中では、酪酸も、酢酸も、毎日懸命に働いてくれています。主役ではなくとも、酢酸は私たちの腸の健康を“そっと支える存在”。
腸活は、特別なサプリや極端な糖質制限ではありません。
毎日の食材選びの中にある、小さな積み重ね。
油を選び、繊維をとり、腸にやさしい習慣を取り戻していくこと。
それが、未来の自分への“静かな投資”になるのです。
帰国はヘルシンキ経由。
夜中の11時15分に到着したのですが、まだ太陽の明かりが見えます。
白夜に近いですね。
https://www.facebook.com/takahiro.fujimoto/videos/1357113028957108
マラガ空港にてキティちゃん。
もはや日本で最も成功した世界レベルのキャラクターですね。
マラガ空港から飛ぶと再びスペインの赤い大地が続きます。
コペンハーゲン大学の教授と空港タクシーにて
学会最終日。
学会の余韻を背負って乗り込んだ空港行きのタクシー。
長い列に並び、ようやく僕の順番が来たので乗り込もうと思ったら、空港に行くなら一緒に乗せて欲しいと同世代ぐらいの女性が乗り込んできた。
チェックアウトを終えて、トランクを持っていたから。
Why not?
タクシーに乗り込んだ時、自己紹介がてら話してみると、デンマークから来ていた代謝研究の教授だった。
名前も名刺も要らない、たった30分の同乗時間。
けれども、こういう時こそ、本音のような言葉がこぼれ落ちる。
「学会って、帰りの方が勉強になりますよね」
そんな僕の言葉に、教授はフロントガラスの向こうを見ながら微笑んだ。
話題は自然と、代謝とは何か、という根源的な問いへと移っていった。
「私たちは、“どう燃やすか”より、“なぜ燃やすか”に興味があるんです」
彼女の声は穏やかだったが、言葉には芯があった。
デンマークでは冬が長く、光の少ない日々が人のリズムに静かに影響を与える。
その中で育まれた彼の視点は、どこか詩的でありながら、科学の言葉を忘れていなかった。
「代謝って、単なるカロリーの計算じゃない。生きていく意味と、たぶん、少しの寂しさが混ざってる」
彼女はそんなふうに言った。
私は思わずタクシーの窓の外を見た。滑走路が見え始めていた。
研究も、人生も、何を選び、何を捨てるかの連続だ。時に“空腹”が教えてくれることの方が多い。
空港に着き、トランクを引き出すとき、教授はこう呟いた。
「また、どこかで。良い旅を!」
名前も肩書きも告げぬまま、彼女は人波に消えていった。
それが学会という旅の、いちばん贅沢な“おまけ”なのかもしれない。