モニターに写っているのは、ハーバード大学のロックス・アンダソンです。
ロックスは、1983年にセレクティブ・フォト・サーモライシス(選択的熱融解理論)という、レーザー医療の発祥の根拠となる理論についての論文を「サイエンス」という由緒ある科学雑誌に投稿し、その功績で30代の半ばでハーバード大学の教授になったレーザー医学会きっての秀才です。
教授になった年齢が若かったため、いまだにハーバードのレーザー研究所であるウェルマンラボのトップにいて、常にレーザー医学会を牽引する人物の一人です。
フルモト氏の追悼講演の後にロックス・アンダソンが、レーザー機器の開発に関わる話を4つしましたが、どれも説得力があり、さすがレーザー界の大御所ともいえる講演でした。
中でも
“Going all the way to Impact”
の演題は非常に面白く、
「解決すべき価値のある問題」
が、医学の進歩にはもっとも必要なことで、失敗をして問題が発生したときに、その問題が解決の価値があるかどうかを見極める必要がある。この解決すべき問題の解決策を考えることで常に医学が進歩する。
さらにこの問題を解くためには理論から攻める学問的なアプローチと、実証から攻める産業的なアプローチの二通りがあり、どちらの方法も試しうるが、医学的なアプローチはむしろ産業的なアプローチに近い。
というような話でした。
あまりに理路整然とした内容に、講演が終わると会場の誰もが徐々に立ち上がり、拍手をしました。
さながら映画の1シーンの様でしたよ。