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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

エリオット・カーター100歳誕生日コンサート

2日目の夜は、地下鉄を57St.7 Ave.で降りて、カーネギーホールに行きました。

写真は地下鉄の出口です。ここからもう気分が盛り上がりますね。

この日はボストン交響楽団のチケットが取れたのです。

題目は

ベートーベンの「ピアノ協奏曲第三番」

エリオットカーターの「ピアノとオーケストラのためのインターベンション」

ストラビンスキーの「春の祭典」

でした。

この日の主役はなんと言ってもエリオット・カーターでした。2度のピューリッツァー賞を受賞したNY生まれのこの作曲家は、この日2008年12月11日に、なんと100歳を迎えたのです。

彼はカラヤンと同じ1908年生まれですが、今でも世界を飛び回る、活発な現役活動を続けています。

チケットの予約をしたときには、あまり深く考えず、3夜分3つの公演チケットを手配したのです。ところが、他の2日は1階中央の良い席がとれたのに、なぜかこの日のチケットだけは、どこをどう探しても予約で一杯。やっと取れたのが、ホール4階 舞台袖にある席でした。

「この日だけ、何があるんだろう?」と不思議でした。

当日は冷たい冬の雨の中、それでも観客で一杯。5階席まで満員で、立ち見もいるような状態です。

間もなくその理由がわかりました。すべてはこのエリオット・カーターのためだったのです。ニューヨークが誇るこの偉大なる作曲家の、記念すべき100回目の誕生日を祝いたいと、観客だけでなくスタッフも皆駆けつけた、というわけです。

幕間にはバースデー・ケーキまで飛びだして、指揮者のジェームズ・レヴァインと、ピアニストとしてこの日の演奏に参加していたダニエル・バレンボイムという二人の巨匠が、観客席からエリオットを舞台に上げ、大きな拍手とうねりのような歓声の中、観客と共に「ハッピーバースデー」を歌ったのでした。

本当に見事な、そして感動的な演出でした。「エリオット・コール」もすごかったですし、題目の演奏も素晴らしかったです。

偶然とは言え、この日この場でこの感動を味わうことができたことを、感謝せずにはいられませんでした。

閑話休題。

僕はクラシックを聴き始めたばかりのまだ中学生の時、お小遣いを貯めるたびに、クラッシックのレコード(LP)を買うのが趣味でした。限られたお小遣いの中から、毎月好きな曲を行きつけだった中古レコード屋さんで買うのです。

ベートーヴェンとか、ドボルザークとか、チャイコフスキーとか。いわゆるスタンダードな曲のレコードがコレクションに揃った頃の話…。

ある音楽雑誌で、

「自分はそれまでロックしか聴いたことがなかったのだけれど、ストラビンスキーの“春の祭典”をコンサートで聴いたところ、本当に感動した。素晴らしい名曲だった。」

という読者の感想文を読んだことがありました。一体どんな曲なのか知りたくて、偶然見つけた「春の祭典」のLPを買ったのです。

当時、レコードは高価ですから、中学生にとっては一枚買うのも「清水の舞台」もの。欲しかった他の曲のLPと散々悩んだ挙句に「春の祭典」を手にしたのを思い出します。

確かアンタル・ドラティ指揮のデトロイト交響楽団のもの。今振り返っても名盤の誉れ高い録音でした。

ところが、「春の祭典」は、当時の僕にとってあまりにハードルが高かった(笑)。

不協和音が続く、現代音楽のような展開に、この曲のどこがいいのだろうか??? と悩みました。

でも、せっかく買ったのにお蔵入りさせてしまうのは、あまりにもったいない。曲を記憶するほど何度も聴き込むと、不思議なことに、その素晴らしさが理解できるようになってくるのです。

ストラビンスキーを代表するバレエ音楽「春の祭典」は、今ではお気に入りの曲の一つになりました。まだこの曲のバレエは観たことがないのですが、きっと素晴らしいのでしょうね。

高度なテクニックを伴う曲なので演奏が特に難しいと思うのですが、さすがボストン交響楽団。この日は難曲を表現豊かに聴かせてくれました。


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