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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

日本形成外科学会2013年 新規ビタミンC GO-VCの招待講演 肝斑へのレーザートーニング談義

おはようございます。

 

昨日は晴れましたね。

京王プラザホテルからの景色もこの通り。東京の天気は雲一つない快晴でした。

朝から日本形成外科学会の、眼瞼挙上のセッションを拝聴。

昼には、株式会社ITO社のランチョンセミナーに招待講演者として呼んでいただきました。

今年の形成外科学会はランチョンセミナーに整理券を発行して、定員性のスタイル。

ドキドキしながら見ていたのですが、4日の昼に並列して6室あったランチョンセミナーのうち、僕たちのセミナーの整理券がいち早く終了となりました。

もちろん、講演会場の大きさや、用意されたお弁当の数の関係もあったのだとは思いますが、ちょっと嬉しかったです。

今回の講演テーマは、新規ビタミンC誘導体GO-VCの基礎と臨床について。

この通り、会場に立ち見も出る満席の状態で講演が始まりました。

○座長の慶應義塾大学形成外科教授の貴志和生教授

○クリニックモリの森文子先生

とお話しされ、僕は二人目の演者でした。

今回お話しさせていただいた新たなビタミンCは、2013年にデビューしたGO-VCという名前です。

過去、外用剤の歴史は、より安定した、浸透率の高いビタミンCの開発の歴史と言っても過言ではありません。

なぜならば、ビタミンCの肌に対する薬効は

①正常なセラミドの増加

②一重項酸素除去

③ヒドロキシラジカル除去

④皮脂分泌抑制

⑤皮脂酸化抑制

⑥角化細胞分化の正常化

⑦コラーゲン産生促進

⑧紫外線防護作用

⑨メラニン生成抑制作用

⑩酸化型メラニンの還元作用

⑪基底膜の活性化

⑫NOラジカルの消去

⑬細胞外マトリクス産生促進作用に伴いう創傷治癒促進

⑭フリーラジカル除去に伴う炎症の鎮静作用

と、ほぼ肌に必要なすべての要素を持つからです。

純粋なビタミンCをグリコシドで安定化させたのはアスコルビン酸グルコシド。しかし、人間の肌にはアスコルビン酸(ビタミンC)とグルコシドを切り離すグリコシダーゼがありませんので活性化することは出来ませんでした。

1990年に完成した、リン酸型ビタミンC(APS)は純粋なビタミンCよりは安定した物質で、ニキビには一定の効果を示しましたが、ナトリウム塩を含むために肌が乾燥し、化粧品としては質感の悪いものでした。

2000年になると、リン酸型ビタミンCにパルミチン酸をつけた両親媒性
(水溶性+脂溶性)の非常に効果的なAPPSが完成しましたが、残念ながら安定度は低かったのです。

2005年にはAPSよりも効果の高い、VCP-IPが完成しましたが、やはりナトリウム塩を含みましたので質感の悪いものでした。

そしてこれらのビタミンCの弱点は、水溶性高分子(ジェル)に溶かすことが出来ないこと。

上記のようにビタミンCをジェルに配合してしまうと、粘性が落ちたり、水になったり、白濁してしまったりとジェルの質が低下してしまうのです。

そこで開発されたのがGO-VC

オクタノールとグリセリンによって安定化したビタミンCです。

グリセリンの保湿効果に加え、オクタノールの抗菌活性も期待される

線維芽細胞賦活作用を持つ

アルブチンよりも強いメラニン産生抑制効果を持つ

ヒト皮膚における色素沈着抑制効果 (in vivo)を持つ

赤味、毛穴、色素沈着、眼下のシワに対する改善効果がある

などの特徴を併せ持つ新規ビタミンCです。

クリニックFでのクリニカルテストの講演をさせて頂きましたが、非常に効果的ですね。

今後の展開が楽しみです。

*********************

講演の後は、レーザーセッションに顔を出しました。

肝斑のレーザートーニング治療に関する葛西健一郎先生と山下理絵先生のディスカッション。

僕自身はレーザートーニング賛成の意見なのですが、「他院でレーザートーニングを数回施術されて悪化した症例が何名か来院されているので、注意を喚起し、施術も慎重にすべきである。」という葛西先生のご指摘。

その他院からの紹介状を持って患者さん来院された訳ではないので、

果たして適切なパラメーターで照射されたのか?

本当にメドライトC6によるレーザートーニングを施術されたのか?

悪化したのはレーザートーニングが直接の原因なのか?

他の施術を併用されたのではないか?

この辺りをきちんと判断しなければなりませんが、賛成派と反対派の意見が何度も出ることによって治療方法は進化するものです。

学会中のご指摘にもありましたが、まずはレーザートーニングという施術の定義をきちんとした上でのディスカッションが必要だと思います。

現在ではレーザートーニングは、

「1064nmもしくは755nmの波長のQスイッチレーザーを用いて、ホワイトニングができない程度の弱い出力で、10Hz前後で病変部位に数百ショット照射し、紅斑が出るかどうかをエンドポイントに照射をやめる」

という曖昧なプロトコールとなっており、照射に使用する機種どころか明確な波長もパルス幅も照射数も定義が確立されておらず、医師の経験によってしか治療されていないのですから。

何れにしても、こうしたセッションが成立するという事は、レーザートーニングは注目されるべき施術方法なのでしょう。

大変興味深かったです。

実際にレーザートーニング治療を続けて行く上では、常に医師が照射頻度やパワー選択をしなければなりませんし、色素脱失などの副作用の発生を見落とさないなど、注意深い診察が必要となります。

また、そもそもすべての患者さんに対して第一選択肢として適応があるものではありません。

レーザー治療は経験ある医師に診察をしてもらった方が良いということですよね。

 


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