近くの村=アヴランシュの司教であった聖オベールが、夢の中で聞いたミカエルのお告げに従って、この地に礼拝堂を建てたのは、708年10月のこと。
何と偶然にも今年はモンサンミッシェル1300周年の記念すべき年だったのです。
岩場の中の限られた土地に8世紀に建てられた小さな修道院は、15世紀までの間にヨーロッパに訪れたいくつもの建築様式によって変化を加えられながら増築されました。
10世紀にはベネディクト会修道院。
11世紀にはロマネスク様式。
そして12世紀にはゴシック形式へ移り変わります。
この島は、ノルマンディー地方とブルターニュ地方の境界にあたります。
14世紀の百年戦争時にはイギリスから本土を守る要塞の役割を果たしました。
この際にモンサンミッシェルを守る110人の騎士が、潮の力を利用して二万人の英国兵の攻撃を押しのけるという偉業を果たしたため、今でもモンサンミッシェルはフランスの愛国心の象徴となっています。
また、16世紀に起こったカトリック教会とプロテスタント教会の争いである宗教戦争においては、カトリックの要塞であるモンサンミッシェルはプロテスタント教徒の攻撃の対象になりました。
1789年のフランス革命では、体制の変化によって社会からはじき出された作家や聖職者がこの島に送り込まれました。ナポレオン1世の時代には、牢獄島としても15000人もの囚人が収容されたのです。
暗い歴史を経たのち、1874年になって初めてモンサンミッシェルは政府の歴史記念物に指定され、西洋の歴史の遺産としての栄光を取り戻すことになりました。
今ではフランスでも観光地の人気ランキング第2位になっているそうです。
では、一位はどこでしょう??? 考えてみてください。
答えはこのブログの最後に書きますね。
礼拝堂は質素なロマネスク風の造りですね。
そして、ラ・メルヴェイユ(驚異の建築)と呼ばれるゴシック建築の回廊は素晴らしかったですよ。
回廊の天井には葡萄を食べるドラゴンの彫刻がありました。
竜は東洋では善の象徴ですが、西洋でのドラゴンは悪の象徴になります。
葡萄はキリストを暗喩しているのでしょうか…。
窓の外を見ると、かなりの高さですね。足がすくみます。
そして大天使ミカエルの像を載せた尖塔。
ある意味、天にもっとも近い場所なのかもしれませんね。
このツアーは朝7時にパリを出てから14時間もかかりましたが、無理してでも行く価値は十分ありました。
一泊できれば夜のモンサンミッシェルの景色を楽しめたかもしれません。
夜景も心に残るほど素敵らしいそうです。
ところで、この地が「一番人気の観光地」の称号を譲り渡した場所は…。
ディズニーランドだそうです。
まあ、仕方がないのでしょうか・・・納得ですね(笑)。