トランシーノの主成分はトラネキサム酸である、そしてトラネキサム酸はもともと「止血剤」である、ということを前のブログで書きました。
シミの一種=肝斑の治療にどうして止血剤を使うのでしょう? 不思議ですよね。
これは出血→止血のメカニズムを考えていくと良く理解できます。
出血すると血液凝固を促すために「血栓」ができますが、トラネキサム酸にはその血栓を溶かしてしまう作用で知られる「プラスミン」を阻止して止血を助けるという働きがありました。
実はこのプラスミンはメラノサイト刺激因子の一つなのです。思えば、何度もひっかいて出血してしまった部位は、なんとなく色が付いてきますよね。
この「なんとなく色がついて色素が皮膚に残ってしまった状態を「反応性色素沈着症」と言います。
トラネキサム酸は、
1.メラノサイト刺激因子のひとつであるプラスミンを阻害する作用
2.メラノサイトの樹枝状突起形成を促進させるプロスタグランディンE2の作用を阻害するという作用
という作用があります。
つまり、トラネキサム酸を使用すると、メラニンができにくくなるというわけです。別の言い方をすると、トラネキサム酸は決して「肌を白くする作用」があるわけではない。「肌の漂白剤」ではない、ということが言えます。
ここをまずきちんと理解することが非常に重要です。