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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

乳児脂漏性皮膚炎

今日は、赤ちゃんの発疹についてご質問を頂きました。レーザーで治療をできるわけではないのでクリニックFで出来ることはあまりないのですが、状態をお聞きすると胸が痛みます。

生後まだ間もない赤ちゃんが、顔にも身体にも発疹が出て、掻きむしってしまうのだそうです。お母さんの方は赤ちゃんがこれ以上掻かないように手を縛ったりしているそうです。掻く方も辛い。縛る方はもっと辛い。

顔は真っ赤に腫れてしまって元の顔がわからないくらい、いつも膿のようなものがでている。病院に行ってもまだ小さく検査も出来ないので、ステロイドの塗り薬を週に3回ほどつけている。塗った後はすこし落ち着くが、しばらくするとまた腫れてしまう。顔だけでなく身体も炎症が起きていて赤ちゃんはずっと泣いている。赤ちゃんはもちろん、お母さんもあまり眠れておらず、心身ともにぐったりとしてしまっている・・・ということなのです。

生後まだ間もない赤ちゃんが、痒くて痛くて毎日ずっと泣いている・・・というのは、考えただけでかわいそうですね。

この状態は、専門用語を使うと「乳児湿疹」と部位によっては「乳児脂漏性湿疹」であるということが言えます。

乳児脂漏性湿疹は、首から上の頭、頬や額など汗の出やすい場所にできるとされます。頭に丸いうろこのようなものができる赤ちゃんもい ますし、頭やおでこのあたりにフケのようなカサカサしたものができる赤ちゃんもいます。

いずれも「乳児脂漏性湿疹」の症状のひとつです。

赤ちゃんは、お腹の中にいたときに女性ホルモンの影響を受けています。そのため新生児期から3カ月くらいまでは皮脂の分泌が非常に活発で、皮脂の“脂が漏れて”湿疹になってしまうのです。

これは全く正常の反応ですが、ニキビと同じようにそれが出来やすい子とそうでない子がいるのです。

「乳児脂漏性湿疹」は、どんなに長くかかっても1年くらいで治るはずです。本人の皮膚のバリア、つまり抵抗力がしっかりできてくると症状が良くなってくるのです。それまではばい菌が侵入するのを防ぐため、お風呂に入れて肌を清潔に保ってあげることが一番で、症状がひどい場合は、赤ちゃんの頭や顔を洗ってあげる回数を増やすのも良いでしょう。そして洗ってあげた後の保湿をきちんとすること。

また、温度や湿度の調整も重要です。寒くて湿度が下がっても乾燥による痒みが出ますし、逆に温かすぎても体温が上がりすぎて痒くなります。温度は高くしすぎず、でも湿度は一定を保つ、こうした工夫をする必要があります。また、アトピー性皮膚炎が混在していたり、今はそうではなくても後々移行する可能性もありますから、注意が必要です。

普通の病院では非ステロイド系のアンダーム軟膏や、弱いステロイドが処方されることが一般的です。ただ発疹が出ている部位と発疹は出ていないが乾燥している部位を見極めることはとても重要で、発疹が出ている部位には処方された軟膏、発疹が出ずに乾燥しているだけの部位には、アキエスジェルのような保湿ジェルや保湿クリームを塗る・・・という風に塗り分けることが理想的です。特にステロイドを塗る場合には、発疹が出てる場所のみにすること。そして少量を擦り込むのではなく、ぽんぽんと置くように塗るのが効果的です。すこし厚めに置くとよいでしょう。

聞けば同じような症状が出ているお子さんは多いようですね。今は季節的にも厳しく、一番つらいときだと思いますが、早く良くなることを心より願っています。


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