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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

2011年レーザー治療器総括その4 ニキビ跡の治療法の進化

おはようございます。

今日10月7日はクリニックFの診療日です。

香港ブログ、博多ブログと続いてしまいましたが、書き始めていた2011年レーザー治療器総括のブログの続きを上げてゆこうと思います。

ちょっと時間が空いてしまいましたのでおさらいしますと、

2011年のレーザー光治療機器の分野では、3つの進化があったと思います。

●フラクショナルCO2レーザー機器の世代交代

●フラクショナルなRF機器や付随した新技術

●赤み(ヘモグロビン)に効果のある機器の世代交代

そして、施術の点では

●ニキビ跡の治療方法がほぼ完成/確立

●眼瞼(まぶた)まわり、特に上まぶたのレーザーによる施術方法の進化

●脂肪溶解のための、レーザー/冷凍凝固/RF施術方法の進化

・・・という点に論点がまとまりますので、その説明をさせていただきますね。

*********************************************、

特にここ数年

「ニキビ跡の治療法は、もはや完成した」

と発言する医師が増えてきました。

CO2フラクショナルレーザー機器や、よりダウンタイムが短く、より進化したフラクショナル機器の「フラクセル3DUAL」や「e-マトリックス」などの機器開発が、この発言の根拠となる機器として挙げられます。

CO2フラクショナルレーザー機器は、2007年以降、今までも数限りなく機種が発売されてきました。

以前のブログでも書いたのですが、萎縮性のニキビ跡の場合、治療をする以前にどのタイプのニキビ跡なのかを診察することが大切です。

ニキビ跡は、形態的に4種類(ヨーロッパでは3種類)に分類するのが一般的です。

それらは

①Rolling ローリング型

②Ice-pick アイスピック型

③Shallow box-car 浅いボックスカー型

④Deep box-car Type 深いボックスカー型

と、呼ばれています。

①ローリング型とは、丘のようにうねって平らな部位が少ないニキビ跡(Rolling scars are gently undulating, appearing like hills and valleys without sharp borders.)のことを指し

②アイスピック型とは、表面が広く深くなるに従って細くなる円錐状のニキビ跡(Ice-pick scars, also known as pitted scars, appear as round, deep depressions culminating in a pinpoint base; in cross-section, they are shaped like a “v”.)

③浅いボックスカー(箱形の車)型(Box-car scars have a flat, “u-shaped” base. Broader than ice-pick scars, they are round, polygonal, or linear at the skin surface)と、

④深いボックスカー型(Shallow box-car scars terminate in the shallow-to mid-dermis, and deep box-car scars penetrate to the reticular dermis.)

ヨーロピアン・アクネ・グループ(The European acne group (ECCA) )では、

◎ローリング型を「W-shaped」

◎アイスピック型を「V-Shaped 」

◎ボックスカー型を「U-shaped」

と分類しています。

クリニックFでも、これらの機器を実際に使用して、ニキビ跡の治療を続けてきました。

2011年現在では、アジア人を対象とした場合、上記のどのタイプのニキビ跡治療でも、

「フラクセル3」

がファーストチョイスになりますね。

強いCO2フラクショナルレーザー機器を最初から使用してしまうと、ダメージが多すぎて、その後の治療に結びつきにくい場合があります。

フラクセル3で数回治療したうえで、残存した深いニキビ跡には、フラクショナルRF機器であるe-matrixやイントラセル、フラクショナルCO2レーザー機器を照射するのがよいと思います。

そしてもう一つの論点は、治療時におけるパワー設定です。

一見すると、パワーが高い方がレーザーの治療効果があるように思われる方が多いと思いますが、フラクショナルレーザー機器の場合は、パワーよりも照射密度のほうが大きな影響を与えるパラメータになります。

一般的なフラクショナル機器の場合、パワーを上げると深い部位までエネルギーが入ることになりますが、その分、レーザー光の周りに熱だまりができますので、火傷を防ぐため、機器によっては密度が自動調整されて照射している場合もあるのです。

たとえば上図の場合、右と比較して左の図は、10倍のパワーで照射された時のモデル図です。

しかしながら、上部の大きさのシミ(時によってニキビ跡)への実際の治療効率は、パワーが低いほうが照射密度が高くなり、治療効果が高かったりするのです。

機械の工学的特性を知った上で、さらにパラメータの設定には診断の経験が必要であり、この診断のフラクショナルレーザーの治療の難しさでもあり、楽しさでもあるのです。


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