たとえば、20代から30代になって、アダルトニキビに悩んでいる人がいるとします。女性のアダルトニキビは通常は仕事や試験などのストレスなどで発症しやすいのですが、実は体内に婦人科系の病気を持っている場合もあるのです。こういった病気の診断をせずに、美肌の治療をするというのは本末転倒です。
また、20代の患者さんで、体脂肪率が17%の人がいるとします。こういった人でもダイエットを希望して来院することがあるのですが、このような方にむやみにダイエットを薦めることは出来ません。体脂肪はコレステロール骨格を持ちます。コレステロール骨格は大量にあると害を及ぼしますが、実は、女性ホルモンの原料になりますので、少なすぎると女性らしさが失われてしまうのです。妊娠しにくくなったり、肌が荒れてしまったりします。
無理にダイエットをしてしまったがために、体内に必要な栄養素がとれずに、かえって老いを進めてしまった人もいるのです。
僕は良く講演でこんな話をします。普通の医者は、-1の病気を0にすることが仕事です。でも美容皮膚科の医者は2や3のものを、4や5にするのが仕事です。そして僕自身はそれを4や5と言わず、9や10にしたい。そのために海外の学会に参加して世界トップレベルの医師たちと会い、世界で一番新しい情報や知識を仕入れ、技術を磨く努力をしているつもりです。
健康でない人の美は刹那的な美です。永続する美は健康の上にしか成り立たないのです。