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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

開業17年目

本日よりクリニックFは開業17年目を迎えることになります。

クリニックFは自身が立ち上げに関わった5つ目のクリニックでしたので、最初の美容レーザークリニックを開業してから24年目という事になりますね。

関係者の皆様に感謝しかありません。

ありがとうございます。

思えば僕がレーザーに初めて触れたのは、研修医の時の1995年頃の話でした。

阪神大震災と東京サリン事件が起きたあの年です。

それまでCDかレーザーポインターぐらいしかレーザーの応用を知らなかったのですが、痛みを取るためのレーザー機器が米国で開発されてきたころで、切開以外のレーザーの医療応用に対して未来を感じた記憶があります。

開業以来、常に進化し続けるレーザー診療を、キャッチアップして集中特化し、さらには自分も機器や治療に貢献しようと診療後に大学院に通い、工学博士や薬学博士をとったり、国際学会への発表と英文論文での発信を毎年怠らず、世界のレーザー医療が進化するために努力はしてきたつもりです。

日本のドラマは医学論文や研究発表をちょっと低く見るところがあるのかもしれませんが、あれは山崎豊子の「白い巨塔」の影響なんでしょうかね。

もちろん論文ばかりを書いていてはいけないと思いますが、まだまだ発展途上過程にある医学の場合は、診療と研究論文発表は両輪です。

レーザー治療は、レーザー工学の知識を持った米国の医師たちが中心になって進歩してきました。

実際に照射のパラメーターとしてフルレンス(一定面積当たりのジュール数)、波長、照射時間、皮膚表皮温度、レーザー照射径、フラクショナルレーザーの場合は照射密度など、多くの数値化できる指標を用意してきました。

しかしながら、僕が興味があるのは、レーザーを肌に照射したのちに、皮下でどのようなサイトカインやペプチドが生まれ、実際にどのように遺伝子を動かしてゆくのかです。

肌にいくつかのレーザーを照射してゆくと、肌の透明感が増し、ハリが出てくる。

この機序をきちんと明らかにしてゆきたいのです。

工学部の時には、レーザー照射後に皮下で発生するラジカルを比較検討して、検証しましたし、薬学部の時には分子量500ダルトン以上の物質を皮下に進達させるレーザードラッグデリバリーを研究しました。

現在は阪大などとの共同研究で、トランスクリプトーム解析を行い、レーザー照射後にシングルセルにリアルタイムに発生するmRNAを捕まえ、実際にどのようなカスケードが起こっているのかを研究しています。

どんな治療にも、エビデンスが必要です。

特に新しいアンチエイジングのような分野では、「根拠を持った医療」を提供することがとても大切だと思いますが、軸足をぶらさずに、邁進努力してゆきたいと思います。

2023年5月29日

クリニックF 院長
米国レーザー医学会専門医 医学博士 工学博士 薬学博士
藤本 幸弘


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