さて、二日間を過ごしたライプティヒからドレスデンに移動です。
このような電車に乗り、約1時間。
見覚えのあるドレスデンの景色が見えてきました。
以前にこちらに来た時は、車を運転してきましたので、駅は初めてです。
さて、二日間を過ごしたライプティヒからドレスデンに移動です。
このような電車に乗り、約1時間。
見覚えのあるドレスデンの景色が見えてきました。
以前にこちらに来た時は、車を運転してきましたので、駅は初めてです。
おはようございます。
ドイツ・ブログの続きです。
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ワーグナー生誕200周年で滞在したライプティヒでの二日目の晩。
オペラ座にてワーグナー最後のオペラ作品である「パルジファル」を観ました。
パルジファルは、リヒャルト・ワーグナーが1865年、国王ルートヴィッヒ二世のために書いた全三幕のオペラ。
中世(10世紀ごろ)スペインの、イエスの血を受けた聖杯を守るモンサルヴァート(聖杯)城と、クリングゾルの魔の城を舞台となります。
主な登場人物は
●パルジファル 無垢で愚かな若者
●グルネマンツ モンサルヴァート城の老騎士
●アンフォルタス 聖杯を守るモンサルヴァート城の王
●クンドリー 絶世の美女、十字架に向かうイエスの姿を嗤ったため、世界をさまよう運命を持つ
●クリングゾル 魔法使い 聖者になりきれなかった人
●ティトゥレル アンフォルタスの父で先王
です。
実はこのオペラ、4時間余りもあり、ストーリーも複雑でちょっと難しいのですが、説明しますと、
第1幕
――かつて十字架上のイエス・キリストの血を受けたといわれる「聖杯(グラール)」と「聖槍」は、先王ティトゥレルに託され「モンサルヴァート(聖杯)城」の「聖杯騎士団(グラールの騎士)」によって守られていました。――
この聖杯の話はベストセラー「ダヴィンチコード」で話題になりましたよね。
ティトゥレル先王の跡を継ぎ、王となったアンフォルタスの苦悩は、そのような聖なる地位にありながら絶世の美女であるクンドリーの誘惑に負け、彼女を操る魔法使いのクリングゾルに聖槍を奪われ、さらに聖槍で傷を負ったこと。
アンフォルタス王のために、老騎士グルネマンツが治療法を求めるシーンからこの物語は始まります。
アンフォルタス王を救うために
「彼らとともに悩む、汚れなき愚者」
を待てとの神託を受けていたのでした。
グルネマンツの元に、湖の白鳥を射落とした若者が捕まえられてくるのですが、グルネマンツはこの若者こそ神託の「汚れなき愚者」ではないかと直感し、若者を連れて城に向かうのです。
城内の礼拝堂で、傷を負ったアンフォルタス王により聖杯の儀式が執り行われます。
先王ティトゥレルによって、聖杯が開帳されますが、若者は茫然として立ちつくすばかり。
グルネマンツは失望して若者を追い立て、これで幕が落ちます。
※※※※※
この作品は、舞台神聖祝典劇と名付けられて宗教性を強調していることから、ワーグナーが上演に当たり、全幕で拍手を禁止したのだそうです。
現在になっても、少なくとも第1幕のあとはカーテンコールが行われないといった独特の慣習もウィーンやバイロイトでは残っています。
ライプティヒでも観客の文化度・理解度は当然高く、一幕が終了した際に思わず数名が拍手をしてしまったところ
「おそらく観光客だろう・・・・・」
と観客がシラッとした雰囲気になったのが印象的でしたね。
カーテンコールは行われませんでした。
第一幕は長く、約2時間もあります。
通常ならオペラが一作終わる長さですよね。
さて、休憩時間には会場でシャンパンをいただくことにしました。
西洋の劇場は、本当に美しいですね。
パルジファルのスコアもありました。
雑談をしてシャンパンを飲み終わるのを待っていたかのように、ちょうど良いタイミングで第二幕が始まりました。
第二幕は、クリングゾルの魔の城にて――
クリングゾルはクンドリーに、魔の城に侵入した若者を誘惑し堕落させるように命じます。
クリングゾルの魔法によっ
て、戦場は花園になります。
花の乙女たちが無邪気に舞いながらこの若者を誘います。
クンドリーが「パルジファル!」と呼びかけ、初めて若者の名が明かされます。
ク
ンドリーはパルジファルに接吻するのですが、この接吻によって、パルジファルは知を得て、アンフォルタス王の苦悩を理解します。
クンドリーはさらにパルジファルに迫り、クンドリーの呪われた過去も明らかになってゆきます。
十字架に向かうイエスに憧れながらも、歩く姿を嘲笑してしまったために、世の中を永久に救いを求めて彷徨わなければならない運命を背負った、絶世の美女。
クンドリーは、過去、数多くの聖者によっての癒しを求めましたが、彼女が誘惑する聖者達は、誰もが彼女の容姿の美しさに目がくらんでしまい救われることが無く、この世を彷徨い、苦しんでいたのです。
しかしながら、知を得たパルジファルは、このクンドリーの誘惑を見事に遠ざけます。
クンドリーの誘惑工作が失敗したと悟ったクリングゾルが現れ、物語のキーとなる聖槍をパルジファルめがけて投げつけます。
すると、聖槍はパルジファルの頭上で静止するのです。
パルジファルがそれをつかんで十字を切ると、魔法が解け、城は崩壊して花園は荒野と化します。
ここで幕が落ちるのです。
こちらの絵、劇場で見つけたのですが
主人公が槍を持っています。
どうやらパルジファルをモチーフにした絵のようですね。
第3幕では、隠者となった老騎士グルネマンツが倒れているクンドリーを見つけるシーンから始まります。
そこに立派に成長し、武装した騎士パルジファルが現れます。
アンフォルタスは聖杯の儀式を行うことが出来ずにおり、聖杯の騎士団は崩壊の危機に瀕していることを伝えます。
グルネマンツがパルジファルの頭に水をかける洗礼の儀式を行い、パルジファルもまたクンドリーを浄化します。
3人は城に向かいます。
城では、騎士たちによって、ティトゥレルの葬儀のための儀式が、始まろうとしていました。
傷を負ったアンフォルタス王の苦しみは頂点に達し、「我に死を」と叫ぶ。
そのとき、パルジファルが進み出て、聖槍を王の傷口にあてると、たちまち傷が癒えるのです。
パルジファルは聖杯を高く掲げ、合唱が「救済者に救済を!」と歌います。
聖杯は灼熱の輝きを放ち、パルジファルの頭上で羽ばたき、クンドリは呪いから解放されてその場で息絶えるのです。
穢れなき愚者であったパルジファルは、聖槍を帰還させ、アンフォルタス王、クンドリーを救い。幕が落ちます。
聖杯(グラール)と聖槍(ロンギヌスの槍)がモティーフとして出てくるのですが、「パルジファル」の題材となった聖杯伝説は、キリスト教に基づく伝説です。
しかしながら、神の子イエスが救済を与えるのではなく、「穢れなき愚者」が叡智を得て登場人物に救済を与えるのです。
話の筋を考えると、ワーグナー独自の宗教観を提示したものとも言えますよね。
上記に一般的なストーリーを書きましたが、実はこのオペラの演出では、第三幕の幕が落ちる少し前に、パルジファルが聖杯を投げて割ってしまうシーンが出てきました。
観客は皆いったい何がおこったのか???
という反応をしていましたし、僕も驚きました。
聖杯だと思われていたものが、別のものだったのでしょうか?
カーテンコールの写真の背景に大きな円が見えますが、ちょっと子宮をモチーフとしたようにも見えませんか?
ダヴィンチコードのように聖杯は子宮だったという解釈なのでしょうか?
何れにしても斬新な演出でした。
こうした演出による謎解きも、ワグネリアンとしての楽しみでもあるのですよね。
皆、満足そうに帰ってゆきましたよ。
ライプティヒの街並。
ライプティヒで有名なものと言えば、文豪ゲーテも通ったレストラン「アウアーバッハス・ケラー」。
森鴎外もこの店が好きだったと言われています。
前回の滞在の際には立ち寄りましたが、今回はちょっと時間もなくて断念。
その目の前。市庁舎裏の講演にはゲーテの立像があります。
街を南に歩くと、現在はデパートメントストアになっているワーグナーの生家が。
こちらのプレートが見えますか?
ニコライ教会近くには、ワーグナーが通った小学校があるとのことで見に行ってみました。
こちらは現在レストランになっていますが、近いうちに博物館になるのだそうです。
ライプティヒ2日目。
朝食を食べたホテルのレストランで、このようなディスプレイがありました。
楽器を並べてディスプレイにするなんて、発想が素晴らしいですね。
バッハがオルガ二ストとして勤務したトーマス教会で合唱があるとのことで、朝から出かけてみました。
こちらがトーマス教会。
バッハの立像もあります。
日曜日朝10時からの合唱には多くの人が集まっていました。
街中でこのようなイヴェントがあるのもキリスト教の国家ですよね。
トーマス教会の中にはバッハのお墓があります。
以前来た時も訪れましたが、改めて一枚写真を撮りました。
ライプティヒの街を歩くと不思議な建築物も多く、とても楽しいのです。
ちょうどこの日は、キリスト教の復活祭にちなんで黒の入った装束で集まる企画をやっていたようで、街中にはこのような服装の人たちが沢山いました。
ホンダのオートバイですね。
さらに、近くのニコライ教会に足を延ばします。
1989年の東西ドイツの統合のきっかけになったベルリンの壁崩壊は、こちらのニコライ教会で月曜日に行われていた祈祷集会が民主化要求デモにつながったのです。
ちょうどお昼のミサが始まるところ。
パイプオルガンの演奏が素晴らしく、印象に残りました。
こちらにもバッハの胸像がありました。
ライプティヒはクラシック音楽が生まれた街の一つです。
それは、現在まで脈々と続く人類の歴史と文化を肌で感じられる場所の一つでもあるということです。
おはようございます。引き続き今日も朝から晴天に恵まれましたね。
今日6月4日(火)もクリニックFの診療日です。
このところ患者さんから続けて同じご質問がありましたので、レーザーのパワーについてすこし今日は書いてみたいと思います。
レーザーの照射をするとき、パワーをあげる方が効果が上がるのでは?
と考えている患者さんは依然多いようで、例えば施術中にぎりぎりまで我慢できるのでパワーを目一杯上げてほしい、と実際おっしゃる患者さんも少なからずいらっしゃいます。
サーマクールなどのRF(高周波)機器は、パワーを上げるほうが効果が上がる、というのはある程度真実であり、表皮に火傷をつくらない限り、ハイパワーで照射したほうが良い結果が得られるでしょう。
しかしながら、レーザーにもその理論が当てはまるとは限りません。
※※※※※
まず大前提としてレーザーには
① 波長
② パルス幅
③ フルレンス(照射強)
④ 照射直径
⑤ 皮膚温度
という5つのパラメーターがあります。
これら5つの設定がその患者さんにとって最適であれば、より効果の高い治療ができることになります。
ここ数年突出して人気のある「フラクショナルレーザー」の場合は、これに
⑥ 照射密度
という新たなパラメーターが加わります。
これらの組み合わせのパターンは、それこそ無限大。医師のセンスと経験が問われるところです。
医師の方はこれらすべてに気を配り、バランスを見極めながら照射しなければなりません。
この前提を踏まえた上で、今回はフラクショナルレーザーについて考えてみましょう。
※※※※※
フラクショナルレーザーはパワーだけに依存しない代表的な機器です。
その理由をいくつか説明しますね。
まずは、生物学的な話。
例えばここ数年に出てきた英文論文では、フラクショナルレーザー施術後に、組織再構築が行われる際には、皮下のサイトカインが誘導されることが報告されています。
これらのサイトカインは、強いパワーで照射された場合、むしろ発生が抑えられるという研究発表が多いのです。
ちなみに創傷治癒過程に関与するサイトカインとその主な機能
サイトカインには、以下の様々なものがあります。
その中の一部を挙げていきますと
○TGF-β=トランスフォーミング増殖因子β
・マトリックスタンパク質(コラーゲンなど)を刺激する
・プロテアーゼ産生を阻害する
・有糸分裂を促す
・マクロファージおよび顆粒球の走化性を活性化する
・向炎症性サイトカイン(インターロイキン1、インターロイキン6 および腫瘍壊死因子α)を放出する
○bFGF =塩基性線維芽細胞増殖因子
・血管形成活性および有糸分裂誘発活性
・内皮細胞の遊走および増殖の初期刺激を与える
・コラーゲン産生を阻害し、コラーゲン束の攻勢を助長する
○EGF=内皮増殖因子
・再上皮化活性(すなわち、角質細胞増殖、角質細胞周辺化、過剰増殖創傷表皮など)
○PDGF=血小板由来増殖因子
・単球、マクロファージおよび好中球に対する走化活性
・in vitro での線維芽細胞および平滑筋細胞有糸分裂誘発活性に対する
・線維芽細胞を刺激して、細胞外マトリックスを産生し、コラーゲンマトリックスを引き締める
○VEGF=血管内皮増殖因子
・脈管形成及び血管新生を調節する
○ビメンチン
・線維芽細胞タンパク質:マトリックスおよび細胞間物質の産生に関与
・・・といったものがあります。
これらが複雑に絡み合って肌を再生しているのですから、高出力によってこれらサイトカインの生成が減ってしまっては肌の再構築などできませんよね。
皮下にダメージは与えても、生体の反応を考えると元に戻る以上のパワーで照射されてしまっては、意味がないということです。
※※※※※
もう一点は工学的、物理学的な話。
照射密度についてです。
一般にフラクショナルレーザーを照射すると、パワーを上げればあげるほど、深達度は深くなります。
しかしながら、安価な機種の中にはビームの焦点がずれていたり、精度が悪いものもあって、単にエネルギーが分散し、ヒートショックゾーン(熱変性)を幅広くしてしまうだけの機種があるのは事実です。
フラクショナルレーザー機器間の性能違いについては、僕も英文論文やこのブログで述べてきたつもりです。
また、機種によってはパワーが上がるとやけどを防ぐために、照射密度が荒く設定されなおすものもあります。
実際にビーム照射径70µm前後だと、24時間以内に肌の再上皮化が行われますので、非常に適切だと思いますが、オーバーパワーで照射してしまうと、それ以上にダウンタイムがかかる。
さらに深いニキビ跡を治したいのか、毛穴を治したいのか、肌のきめやテクスチャーを治したいのかによって、それに適した深さや照射密度がありますので、対応してパワーを変える必要があることがわかりますよね。
※※※※※
こうしたパラメーター設定は、きわめて職人技的で、レーザーを実際に照射した医師の経験によってしか得られないものだと思います。
そして、一人一人の肌を診察し、より治療効果が上がるように機器を選び、一人一人照射方法を変えながら工夫し、結果を出すのが、この仕事の醍醐味の一つでもあるのです。