無事に音楽が脳に与える影響についてのトークを終えました。
トークの内容はこんな感じでした。
Q)人間の脳に影響をもたらす音楽の力というのは、どんなものなのでしょうか?
A)人間の脳は「旧脳」と「新脳」に分かれており、旧脳は人間が生物として生きていくうえで必要な情動の働きを、新脳は人間が社会生活を営むうえで必要な思考や言語などを司っています。
一方で、音楽の構成要素はリズム、メロディー、ハーモニーに分類されます。例えばリズムや、自然界の音や生演奏などに含まれる耳に聴こえない帯域の振動成分は旧脳に届きダイレクトに情動を動かすんですよね。
新脳は知性と品格を好むので、美しいメロディやハーモニーは一旦聴神経から刺激をもらったのちに大脳皮質に転写され高次元の脳で理解されます。
Q)ということは、音楽に感動して涙する、というのが「新しい脳」の働きだとすると、それとは別に、音楽の好き嫌いに関わらず、根源的な部分に響く何かがある、ということですね?
A)その通りです。
音楽は古代から「神と人間の架け橋」として用いられてきた歴史があります。
ヨーロッパの教会でも聖歌隊やパイプルガンを用いた荘厳な壮大な音楽を聴かせることで神の存在を認識させていました。
また音楽は、自律神経を安定させたり、聴覚性痛覚消失といって痛みをマスクする働きがあったり等、肉体と精神の両面において、人間の内面の安定と充実をもたらすのです。
Q)振動が大切だとお聞きしましたが。
A)動物はジャングルで生活していた時や、子宮の中にいた時はホワイトノイズとも呼ばれますが、幅広い周波数の元にいました。
皆さんも旅行に行った時に、海辺の波音や川のせせらぎが聞こえ、音として感知されるならば睡眠の邪魔になるのにも関わらず、かえってよく眠ることができるのは、それらの自然の音に幅広い周波数と振動が含まれているからです。
今日も、コンサートでの生演奏をお聴きいただくとともに、楽器の奏でる振動をも感じていただきたいと思います。
Q)現代はますますスピードが速くなっていて、私たち現代人は、改めて自分の内面の安定ということについて、考える時間がなかなかとれないですよね。
A)そうですね。私自身、最先端の治療技術を追いかけていく中で、医療だけではどうにもならない限界を感じることがあります。
それが、医学やテクノロジーでは決して止められない「時間」。そして「DNA」という人それぞれが背負っている「情報」。
しかし音楽はこれらの、人にはどうにもできない、いわば神の領域の問題に対しても、良い時も悪い時も、常に寄り添い、決して裏切ることのない親友でもあります。時に、音楽は、偉大なる主治医となることもあるのです。
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コンサート最後には舞台で他の演奏家の皆さんと「ふるさと」も歌わせて頂きました。
スポットライトの当たる舞台に立って歌うなんて良い体験させて頂きました。
本日ご一緒した出演者の皆様と記念写真です。
こうした機会を与えてくださった関係者の皆様、会実現に様々な形で関わってくださった皆様、お越しくださった皆様、この場を借りて今一度感謝致します。
ありがとうございました!