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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:経営学

株式会社日本トリム森澤紳勝社長と

昨晩は僕が最も尊敬する人生の大先輩の一人、日本トリムの森澤社長がお忙しい中お時間を作ってくださり、赤坂で夕食を御馳走になりました。

一代で東証一部上場企業にまで成長させた日本を代表する経営者ですが、昨夜もビジネスに関して様々なご指南を頂きました。

若輩者ながらこれまで僕なりに人生の岐路が多々あり、その度に森澤社長が助言を下さったり、そっと見守ってくださったり、時に叱咤激励くださったり・・・そのおかげで僕のような小舟でもなんとか難破せずにここまで来ています。

「起業は一人でもできるが、もし志を同じくする同志が自分を含めて7人いれば組織は必ず大きくなれる」と社長は昨夜おっしゃっていました。

人生の師の一人。いつも「藤本は華やかに生きろ」と励ましてくださいます。本当にありがたいです。

昨日も前に進む勇気を頂きました。

ありがとうございました。


医師がMBAを取得するメリットとは

突然ですが、医師がMBAを取得するメリットとは一体なんでしょうか?

最近またこのご質問を受ける機会が増えましたので、ブログにも書いておきたいと思います。

今年は立て続けに友人の医者から、独立したいので経営を見てくれないかという依頼が来ました。

経営が苦手な医師が多いのはある意味当然です。

通常の医師の業務で治療費用について考えることはありません。

価格も厚生労働省が決定しています。

病原菌を撒いてお客を増やす(苦笑)なんてことも当然できません。

悪い冗談はさておき

プロのピアニストや俳優、スポーツ選手ときっと似ているところもあることと思いますが、専門についてとことん追求し、それを全うした生活を送っている、いわゆる「スペシャリスト」である分、それ以外の分野を苦手としてしまうのかもしれません。

また、芸術家や音楽家が美大や音大で似たような志向の人間の中だけである時期を過ごし、そのまま社会に出てしまうことがあるように

スポーツ選手が小さいころからずっと部活にどっぷり毎日浸かって、そのままプロチームや実業団に入ってしまうように

同じ業種の縦社会・・・先輩―後輩の関係には慣れていても、横に広がった社会の体験に乏しく、専門以外のことについて相談をしたり学んだりする機会にあまり恵まれないこともあるかもしれません。

医者の場合は学生時代に本当でしたら余裕もあるはずなのですが、その時はまだ若くて横に視野を広げなければいけないことに気付かぬまま専科に進んでしまうことも多いのです。

そんな医者にとって、ある日突然事業計画書やキャッシュフローを作れと言われても、青天の霹靂、まさに「ちんぷんかんぷん」でしょう。

これは医学の世界にどっぷり漬かった人であればあるほど、そういった傾向があるのではないでしょうか。

※※※

知的好奇心を満たすということは人間の本能だと思いますが、人間の好奇心は最終的には宇宙か、自然か、人体に向かうものではないかと思っています。

好奇心の旺盛な人間にとって、医学の勉強は学生のときに寝ずに教科書を読んでしまったりするほど、本当に面白いのです。

なぜ風邪をひくのか? どうやって骨折の骨が治ってゆくのか? どうして人は老化するのか?

そういった答を見つけるためのヒントが教科書に書いてあります。

こういった疑問を答えるために、いわば医学の共通言語を学び、将来の研究に役立てるのが医学の道です。

でも、すばらしい医療技術を持っている人が、経営も上手いとは限りません。

保険診療費が今年も下がり、7割の病院や診療所が赤字であるという現状で、落ち着いて仕事に打ち込める状態を作るのは、非常に難しいことだと思います。

病院の維持さえ難しいのですから。

また、クリニックを率いる人材になった時には、スタッフ管理の知識も必要です。

医師は独立した瞬間に

「臨床家」として

「管理者」として

「経営者」として

の3つの顔を持たなければいけなくなるのです。

僕がMBAを取得したのはもう10年以上前の話になりますが、MBAを取得することが無かったら、自分のクリニックを売却したり、国内外で医療以外の事業を始めたりすることは絶対になかったと思います。

MBAを取得するにあたり、まずは基礎的な知識をつけます。

●計量分析 

●財務会計   

●マーケティング

●ビジネス・エコノミクス

●組織行動論 

●コーポレートファイナンス   

●経営戦略   

●人的資源管理

などのMBA取得時の基礎教科は、いわば経営の解剖学、生理学、生化学、病理学、薬理学にあたる基教科です。

これらの基礎的な教科によって、経営の共通言語を学びます。

どの教科も学ぶのに非常に魅力的で、毎週授業が楽しみでした。

この基礎科目のうち、計量分析は、統計学のたしなみのある医師でしたら楽勝の教科です。

財務会計。最初はPLやBSって何だ?というところからスタートし、基礎的な簿記の本を読んで勉強しました。

マーケティングの考え方は、そもそも集客しようという概念のなかった医師にとっては全く新しい新鮮なものでした。

経営戦略では、授業のタームで6チームに分かれ、モデルを使って経営シミュレーションゲームをして、戦いました。適切なときに資金投下して、リターンを得るのですが、僕の率いたチームが総合優勝した時は嬉しかったですね。

そして、どの教科でも、プレゼンテーションが必須でした。

理系の研究では、真実は一つです。その真実について話せばよいのですが、文系の研究では、論理過程や、思考方法によって全く別の解決策を導き出すことが出来ますので、プレゼンの上手さはとても大切です。

同じ題材について、サポートする議論と反対する議論を練習したりと毎週のように練習しましたので、プレゼンは上手くなりましたね。

※※※

医師であるにもかかわらず、ビジネススクールに通いMBAを取得して特に良かったと思った点は二点あります。

一つは、「コーポレートファイナンス」という、クリニックの現在価値を瞬時に把握する企業価値評価法についての知識を得たことです。

例えば、クリニックの成長のステージで、どの価格の医療機器を、どのタイミングで投資したら良いのか? ということを、理論を後ろ盾にすぐ理解できるようになったのです。

企業価値評価法について簡単に述べると
財務予測をもとに将来のフリーキャッシュフローを予測し、資本コストにより現在価値に割引、事業外資産の処分価値を加算し、有利子負債を控除する。
という、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法の考え方を身につけたこと。

DCF法を自分が経営するクリニックの財務状況に適応し、常にクリニックの現在価値を上げる努力を行い、そのベクトルに合った投資のみを重点的に行うことができるのです。

そして、もう一点は人的資源管理の科目において、「リーダーシップ理論」を学んだことでした。

現在主流のリーダーシップ論は、ハーバードビジネススクールのジョン・P・コッターが提案した理論です。

ちなみにコッターは、MITとハーバード大を卒業し、1981年にわずか34歳、史上最年少でハーバード大学の正教授に就任した秀才です。

コッターは著書の中で、組織を動かす人間には「リーダーシップ」と「マネジメント」が要求されると明示し、さらにそれらの違いを明確にします。

リーダーシップは組織をよりよくするために変革を成し遂げる役割を持ちます。

企業進路の明確化、人心の統合、動機付けと啓発が課題達成のプロセスとなります。

マネジメントは複雑な経営環境に対処して既存のシステムの運営を遂行すること。

計画立案と予算策定、組織化と人材配置、コントロールと問題解決が課題達成のプロセスです。

変化のスピードが加速する現代では、特にリーダーシップの重要性が増しているのですが、組織内での認識は未だ低く、意思決定を合理的に導き出す「プロセス」と「ツール」を著作で提案しています。

一方で、「俺についてこい(笑)」的なリーダーシップを発揮することだけがリーダーシップではありません。

幾つかあるリーダーシップ理論のうちで、僕が面白いと思ったのは、ロバート・K・グリーンリーフによって提案された「サーバント・リーダーシップ論」です。

グリーンリーフは、
「真のリーダーはフォロワーに信頼されており、まず人々に奉仕することが先決である」
と提言しました。

サーバント・リーダーは、まず相手が最も必要としているものを提供し、相手に奉仕したのちに、その後リーダーとして相手を導く役割を受け入れるというもの。

この考え方には学ぶことが多かったです。

そして、医師に求められるリーダーシップとはどういった性質のものか、僕も考えさせられました。

大学生のときにした勉強は、記憶しなければいけないものが多く、苦痛でした。

社会人になってからの、特に大学院での勉強は、基礎知識を学んだ後に理論を構築するのが主な手法です。

時間が限られている中、新たな分野の勉強は何度も徹夜をしましたし、大変な思いをしましたが、とてもエキサイティングで、特に論文を上梓した後は充実感に満たされました。

※※※

こうして思い返してみると、実は医師免許をとった人間にとって、MBA取得のために学ぶものの数々はいずれも非常に興味深く、勉強を始めるとっかかりを掴むことさえできれば、意外にスムーズに入っていける学問のように思います。

決してハードルは高くなく、医師国家試験のあの勉強量を考えれば(笑)たぶん誰でも頑張れば極めることの可能な学問であり、また資格取得後にとても有益なものであるように思うのです。

僕も偉そうなことを言える立場には全くありませんが、一方で「医師に経営はできない」と企業の偉い方々に言われ悔しい思いをしたことも過去にあり、そんなことはないと言いたい気持ちもあります。

学問と実際の現場はまた異なることも承知していますが、MBAという資格をとるというとりあえずの目的のために医師が頑張るというのは、確かな意味があると思います。

経営学について一緒に語り合える同業のドクターが増えたらとても嬉しいですね。


医師が経営学を学ぶと言うこと

昨晩は診療後に、僕がMBAを取得した時の面接官だった喜多さんにお会いしました。

クリニックから歩いて行ける距離にある、紀尾井町のオーバカナルにて。

もう10年以上前の話になりますが、MBAを取得することが無かったら、自分のクリニックを売却したり、国内外で医療以外の事業を始めたりすることは絶対になかったと思います。

僕のようにレーザー機器を扱う医師が、経営学を学んで良かったと思うことは、「コーポレートファイナンス」という、クリニックの現在価値を瞬時に把握するツールを得たこと。

例えば、クリニックの成長のステージで、どの価格のレーザー機器を、どのタイミングで投資したら良いのか? ということを、理論を後ろ盾にすぐ理解できるようになったのです。

喜多さんは、フランスのENPC MBA ParisでMBAを取得されています。

商社などのいくつかの職を経た後、現在は英国のバッキンガムシャー・ニュー大学のMBAプログラムを国内で立ち上げる仕事をしていますが、昨晩は僕をその大学に客員教授として来ないか? という有り難いお話を頂きました。

幾つかハードルはありますが、MBAプログラムを東南アジアに持って行くといった、将来的な展開も含め、微力ながら僕のできる範囲でご協力させて頂くことになりそうです。

Buckinghamshire New Universityは科学と芸術の教育機関として1893年に設立され、現在までに120年以上の歴史を積み重ねてきた英国国立大学です。

今回は、MBA top-upという、PGD(Postgraduate Diploma)取得者が、論文を追加提出し合格することでMBA学位が取得できるという制度を利用し、9ヶ月の授業および論文提出で英国のMBAを発行すると言うもの。

医学の論文博士に似たシステムですね。

キャリアを止める必要も無いですし、日本でMBAの授業が受けられるのは魅力ですが、僕はこのプログラムを海外に輸出することに興味がありますね。


医療経営学の講演 自由診療クリニックの経営手法 マイケルポーター 経営の3つの基本戦略

おはようございます。

今日は4月17日(木)。クリニックFの診療日です。

こちら先週アメリカはフェニックスのASLMS 米国レーザー医学会でお目にかかった、ハーバード大学ウェルマン研究所のロックス・アンダソン教授。

現在の皮膚科領域におけるレーザー治療の基礎理論を作り上げたこの世界で知らぬ者はいない名教授から、光栄なことに会場でお声をかけていただきました。

もともと彼は工学部出身。研究助手をしていたのですが、その優秀性から医学部に引き抜かれ、医師の資格を取ったのです。

「Selective Photothermolysis: Precise Microsurgery by Selective Absorption of Pulsed Radiation」

1983年にSCIENCEに掲載された彼の論文は、僕も読みすぎて何度読んだか覚えていないほどです。

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さて、昨日の休診日は、ホテルサンルートプラザ新宿で開催された、自費研カンファレンスという会で講演を行ってきました。

依頼された題目は「自由診療クリニックの経営手法」。

最近はレーザー工学や薬学の講演をする機会が多いのですが、経営学は久しぶりでした。

平日にも関わらず、70名近い参加が会ったそうです。

僕は大学院医学系研究科の博士課程の時に3院のレーザークリニック経営に関わった経験から、医師も経営に関して総合的な常識を学ぶ必要があると、2003年にビジネススクールの門を叩きました。

「日本の保険診療下における医療機関の法人形態の転換―医療機関の株式会社化を含む病院経営の強化策について―」

という論文を提出し、MBA学位(The Univ. of Wales, UK)を取得しました。

その後、平成25年3月発行の日本美容外科学会会報(第35巻1号)にも、「美容関連診療所の経営強化策」の論文を掲載していただきました。

こちらは保険診療クリニックにアンチエイジング医療を補助エンジンとして加え、経営安定化をはかるための論文。

経営学には幾つかの基本理論があり、これは一定規模以上のビジネスをするためには“常識”として必ず修めなければならないものです。

しかし、これを自然科学的な学問に昇格することが出来るかというと、正直難しいというのが僕の感想でした。

あえて言えば、「ビジネススクールの教授達が実際のビジネスをしても、おそらく上手く行かない」のです。

それには、二つ理由があると思います。

●一つ目の理由は、「人間には永久の時間はない」ということ。

ビジネスチャンスというのは人生に数度しか訪れない。

この時に、投資するキャッシュと、経営に集中する時間がある人は限られています。

さらに、このチャンスをチャンスと認識できる第六感のようなものが必要です。

●二つ目の理由は、経営には「事象の再現性が無い」ことです。

自然科学の論文では、同じ実験を繰り返せば必ず同じ結果を導き出せますので、研究論文の対象になりますが、ある成功したビジネスマンと同じことをしても、業界のチェイサーとなることは出来ますがそれ以上の成功は望めないでしょう。

事業にはオリジナリティが必要です。

考えてみれば、事象の再現性がないという意味では、恋愛に似ていますね。

恋愛では、資質、情報、財力のすべてを投入したとしても、「絶対に勝つための理論」を作ることが出来ません(笑)。

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医療機関を経営し、成功させるためには、その機関が存続することが絶対条件です。

しかし、医療法人は商法上の法人ではありません。また、現在の段階では医療機関を存続させるために、株式を発行するなどの間接金融の手法を用いることは出来ません。

院長が自らのお金を出すのか、銀行などからの借金でまかなうか。直接金融に頼るしかないのです。

半公的機関として医療機関を維持するためには、

1)ただ金儲けをしているのではなく、利益を得ることで、より質の高い医療を普遍的に患者に還元する。

ことが必要です。

クリニックを経営するにあたり、僕がいつも話をしているのは、

マイケル・ポーターの「3つの基本戦略」です。

ポーターは企業の「競争戦略論」の第一人者で、彼の著書「競争の戦略」は経営学のバイブルの一つともいえますが、初めてビジネススクールでこの理論を学んだ時には、まさに目から鱗が落ちるほど衝撃を受けました。

ポーターは「競争の戦略」の中で、企業の基本戦略は突き詰めると3つしかないと述べています。

その「3つの基本戦略」とは

①コストリーダーシップ戦略

②差別化戦略

③集中戦略

です。

①のコストリーダーシップは、日本で言えば、トヨタやマクドナルドが選択している方針。

経営者に誤解されることが多いのですが、これは安売り戦略ではありません。

販売価格を下げるのではなく、社内の製造販売コストを下げて、純利益を上げることです。

2)経済がまわるためには、むやみに価格を下げて、未来の市場の刈り取りをするのではなく、正当な利益を得て、次の研究、投資に向ける姿勢が必要です。

②の差別化戦略は、事実上、僕のような個人クリニックが参考にすべき戦略です。

業界全体を市場として考えていますが、他者との競争において優位に立つために、低コストでなく、特異性を目指すものです。

業界では、フェラーリやポルシェ、またはモスバーガーなどがこの戦略を取っていると言えます。

3)他者との競争軸の方向を出来る限りずらし、戦争の機会をなるべく減らし、出来れば最初から戦わない。こちらは孫子の兵法の戦略ですね。

③の集中化戦略は、戦略のターゲットを特定のセグメントに集中する方法です。

自社の経営資源を、研究開発から製造、流通、広告宣伝、販売にいたるまでのすべての過程を特定の製品やサービスまたは市場に特化集中することにより、競争の優位に立つのです。

業界では、日野トラックやダイハツ。例えば歯列矯正のための機器や、工事現場の橋桁を作る企業などがこれに相当するでしょう。

4)一般的に長く存続する企業がこの戦略をとりますが、例えば世界最古の企業として知られる日本の株式会社金剛組(Kongo Gumi Co.,Ltd.)は、578年創業。寺社仏閣建築の設計・施工、城郭や文化財建造物の復元や修理等を主に手がけている企業です。

こうして考えると、個人クリニックとしては、差別化戦略を元に、

社会的な

ミッション(使命)

ビジョン(展望)

バリュー(価値)

を考えてクリニックの基本コンセプトを考えなければなりませんね。

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業界のニーズを理解し、今までにないオリジナルなコンセプトや、新たな経営形態のクリニックを生み出す作業は、僕自身も本当に楽しいです。

美容医療の中でも、レーザーによる肌質改善を専門とし、日々進化し続ける世界最高水準のレーザー医療を提供するために、1月に10日前後を海外出張で自分の勉強時間や思考する時間にあてようと、わずか30坪の小さな仕組みで始めたクリニックFも、今月で8年目になりました。

この仕組みのおかげで、海外での英語での講演も100を超え、念願だった工学博士号も取得し、多くの英文論文を書き世界に発表し、国内外のいくつもの医療機器メーカーと仕事をすることが出来ました。

しかしながら、そろそろ僕も、新たなコンセプトのクリニックを開きたいと思い、国内外で準備を始めましたよ。


日本美容外科学会誌に「クリニック経営」についての原著論文が載りました

おはようございます。

今日5月1日(水)はクリニックFの診療日です。

東京の朝は肌寒く、曇り空ですね。日中は気温も多少上がってくるようですが、雨も降りそうだとか。

この後連休のご予定がある方も多いでしょうから、お天気回復するといいですね。

今月末でクリニックFも6周年。6周年というのは数字としては半端かもしれません。とはいえ、3周年や5周年がひとつの区切りだったのに対し、6という数字はここを無事超えられればいよいよ10年という数字も見えてくるような気がして、当事者としては大きな意味を感じています。

ひとつ上の階段から見る景色を楽しみに、そして新しい試みも少しずつ試していきたいと思っています。

 

さて、連休の中日ですが、昨日は日本美容外科学会誌3月号に載せていただいた僕の原著論文の別冊が届きました。

「美容関連診療所の経営強化策」について。

2011年に博多で開催された日本美容外科学会の、リスクマネジメントの枠で講演させていただいた内容をまとめて加筆して、論文にしたものです。

もともと医療経営学は僕の専門の一つでもあります。

ビジネス書の新書はほぼすべて目を通していますし、週末もこんな本を再読し、感銘を受けました。

約10年前の本で、ビジネススクールに通っていたときに読んだのですが、

「経営で成功者というのは単なるまぐれで、実際には成功者に学んでその成功体験を自分の分野に応用できることはほとんどなく、むしろ失敗の原因をアーカイブすることに意義がある」

ということを再確認させてもらいました。

医学部進学のために途中退学した慶應義塾大学経済学部では、入学当初ここで経営経済学を学ぶつもりでいました。

しかしながら、まだ青かった自分は入学後考え込んでしまったのです。経営経済と一言で括る前に、どの分野の経営について、どんなテーマの経済について自分なりに突き詰め、学び役立てたいのだろうか? と。

10代終わりの、まだ乏しい知識と経験の中で自分なりに考えていたわけですが、漠然とそのとき医療のことが頭に浮かんだのですよね。

いずれ経営を学ぶにしてもまずは医師免許を取ることが、少なくとも自分にとっては先だと、一大決心をして進路変更をしましたが、医師になってから10年間は医師としての勉強で精一杯でした。

卒後6年で専門医を、卒後9年で医学博士号を手にしたのち、ビジネススクールに通う決心をしたのです。

「日本の保険診療下における医療機関の法人形態の転換―医療機関の株式会社化を含む病院経営の強化策について―」

が僕の修士論文のテーマでした。おそらく自費診療関連の医師で、最も早い時期に経営管理学修士号(MBA)を取得したのではないでしょうか?

学生のときにした勉強は、記憶しなければいけないものが多く、苦痛でした。社会人になってからの特に大学院での勉強は、基礎知識を学んだ後に理論を構築するのが主な手法です。

時間が限られている中、新たな分野の勉強は大変な思いをしましたがとてもエキサイティングで、特に論文を上梓した後は充実感に満たされました。

高等教育機関や研究所という「場」に自分は惹かれ、そこで新たなことを学び、学位や資格を取得し、それまでの経験や知識と結び付ける形で役立てることが好きなのだ、という自分の特性もよくわかりました。

その後、航空物理学や航空法規を学んで飛行機操縦士免許を取ったり、工学部博士課程に進学したりとしましたが、いよいよ今年9月の工学部博士課程修了と工学博士号取得が見えてきた今

次は薬学博士号を取ろうか?

それとも、昔から好きだった声楽関係の大学に行ってみるか?

哲学や絵画の勉強をきちんとしたいので、文学部でも受けるか?

なんて、次はどんな大学院を受けて、どの分野の勉強を始めようかと考えている自分にちょっと呆れています(苦笑)。

 

 


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