おはようございます。今日9月6日もクリニックFの診療日です。
今日は久しぶりに青空が見えましたが、ようやく残暑もなくなってきましたね。
今日の朝はオペラファンとしてはほんとうに残念なお知らせを知ってしまいました。
テノール歌手のサルヴァトーレ・リチートラさんが、シチリア島でバイク運転中に事故にあって重体だったという報道が8月27日にあったのですが、現地地時間で9月5日、つまり日本時間の今朝、入院していたシチリア島の病院で脳死と判定され、家族が臓器提供に同意したのだそうです。
享年43歳ということで、僕とは同世代にあたるのですが、本当に残念なことです。
リチートラさんは1968年にスイスでシチリア系イタリア人の両親のもと生まれ、ミラノで育ち、幅広いオペラのレパートリーで高く評価されていました。
昨年も日本に来てコンサートを開いていますし、特にまさに今月日本で開催予定のボローニャ歌劇場『エルナーニ』のタイトルロールのエルナーニ役で来日予定だったので、日本人にも馴染みが深い歌手。
実は僕もボローニャ歌劇場のチケットを取って来日を楽しみにしていた一人でした。
サルヴァトーレ・リチートラさんはイタリア人テノールとして、三大テノールの一人、同じイタリア人の故パバロッティ氏の後継者と目されていたのです。
三大テノールと日本語に訳されてしまうと、どこかでコンペティションが行われたかと勘違いされてしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、英語では単に「The Three Tenors」と書きます。
1990年にイタリアでサッカーのワールドカップ開催を記念してローマのカラカラ浴場跡で行われたジョイントコンサートが始まりで、元々は三人の有名テノール歌手によるいわば「グループ名」だったのが、その後20年かけて様々な価値を持って独り歩きしたところもあるのですよね。
その三大テノールとは
スペイン出身の
現在は主に指揮者として活躍しているドミンゴ(プラシド・ドミンゴ)氏と
すでに引退を表明したカレーラス(ホセ・カレーラス)氏
そしてイタリア出身の
故パバロッティ(ルチアーノ・パヴァロッティ)氏
のことを指します。
彼らの後、誰が「三大テノール」にあたるのかと議論はなされているのですが、リチートラさんは名前が上がっていた有力な候補の一人だったのです。
リチートラさんのCDはこのとおり、たくさん発売されていますし、いつでも聴くことができるとは思うのですが、優れた声楽家の声というものは、世界に一つしかない楽器であり、人類の宝の一つが失われた様なものだと僕は思うのです。
本当に悲しい事です。リチートラさんのご冥福をお祈りします。