TakahiroFujimoto.com

HOME MAIL
HOME PROFILE BOOKS MUSIC PAPERS CONFERENCES BLOG MAIL CLOSE

BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:ニキビ跡

ニキビ跡治療に最も適したフラクショナルレーザー

金曜日でばたばたですが、最近また同じ御質問が増えてきた「ニキビ跡」治療について、すこし書いておきたいと思います。

いよいよ4月目前で、新学期や新入社など、生活が変わるとき。

クリニックFには、さまざまな肌の悩みを持った人がやってきますが、特にこの時期に増えるのがニキビ跡治療です。

進学や就職を控えておいでくださる10代・20代の方から、ずっとニキビ跡がコンプレックスだったと言っておいでくださる50代・60代の方まで。

現在、ニキビ跡治療は、フラクセル3DUALをはじめとしたフラクショナルレーザー機器を利用した治療法が主であり、これらの機器がなければ治すことは難しい、といっていいでしょう。

それぞれのフラクショナルレーザー機器にはそれぞれに特徴、得意な分野、そして大きな機能差があり、①深いニキビ痕、②浅いニキビ痕、③波状のニキビ痕、それぞれの病態に合ったフラクショナルレーザーを利用しなければなりません。

クリニックFも、ひとりでも多くの患者さん、ひとつでも多くの病態の治療に役立てるべく、フラクショナル機器の進化に合わせて機器の購入を続けてきました。

レーザー医師にとってレーザー機器とは、料理人にとっての包丁、あるいはフォトグラファーにとってのカメラのようなもの。

ひとつひとつの場面に対し、より細密な対応をしたければ、自然と多くの種類・機器を所持することになりますし、日々機器のメンテナンスをしなければならないのです。

また、これらのレーザー機器のどこ機械がどの部分で優れているのかは、実際に機器を所有して、比較テストをしなければわかりません。

これは僕が昨年米国レーザー医学会で発表した演題で、異なるフラクショナルレーザー機器の比較演題です。

フラクセル、フラクセル2、フラクセル3、アファームマルチプレックス、エコツー、モザイク、eマトリックス、パロマ―ラックス1540XD、DEKAスマートサイド、サイトンプロフラクショナル。

などなど、数多くの機器をテストしてきました。


実際に機器を比較すると、得意な分野と不得意な分野が機器によって違い、やはりたった一つを選ぶことはできないと感じます。

患者さんの肌を診て、それぞれの肌質と、ニキビ跡の形状、さらに部位に対して、別々の機器を使用するのが最も早い治療法と言えるのです。

そして、フラクショナルレーザーのような強力なリサーフェシング機器が有効ではない場合、フラクショナルレーザーが打てるように、肌を鍛え、肌質を改善するために違ったレーザーを使用したりもします。

最近の傾向としては、ニキビ自体が出来る場所が10年前とはだいぶ異なること。

昔は、ニキビといえばいわゆる「Tゾーン」=おでこ・鼻周り・顎 にまず出来て、その後広がる人は頬などにも出来てしまう・・という傾向でしたが、最近はTゾーンは綺麗なまま、頬にだけニキビが繰り返し出来、それがいつしか傷になって残ってしまう・・・というケースが増えているのです。

食生活や生活環境の変化などもあると思いますが、興味深いですね。

 


ニキビ跡の赤みを消す光治療機器 MaxG

今日も暑いですね。今日8月9日もクリニックFの診療日です。

ロシアブログが終わって一段落しましたので、先月クリニックFで購入したレーザー光治療器について話をしようと思います。

ここ数年進化したフラクショナルレーザー機器が登場したことにより、ニキビ跡の治療が大きく変化しました。

「フラクセル3DUAL」を頂点に、最近はDEKA社のSmartSideDOT2、シネロン社のCO2REなどの進化型フラクショナルCO2レーザー機器が出そろってきましたので、ニキビの肌の凸凹を平滑にする技術が非常に発達してきました。

しかしながら、赤みの残ったニキビ跡は色が目立つため、凹凸が目立たなくなっても治療効果の満足度でいけば、もう一段階、機器に進化があればと思っていたのです。

レーザー機器は、茶色いメラニン色素に反応する波長の検討が長く行われてきました。

日本人にとっても茶色いシミを取ることが、レーザー治療の目的の一つだったと思います。

赤い色(メトヘモグロビン)をレーザーで治療するのは、一つ厄介な点がありました。

それは施術ののちに必ず起こる、2週間程度の内出血(紫斑・パープラ)です。

赤を治療するためには、590nm近辺のパルスダイレーザー(PDL)か、532nmのKTPの波長が必要なのですが、この波長をヘモグロビンが破壊できるぐらい短いパルス幅で照射してしまうと、理論的には必ず紫斑が生じるのです。

過去、パルスダイレーザーやKTPに代わる波長の模索が行われてきたのですが、ここでレーザーの代わりに注目されてきたのがもう少しパルス幅が長いIPL(光)治療器です。

ここ数年で、特に注目されている機器が、米国パロマ社 スターラックス MaxG。

今年2011のテキサス州グレープヴァインで開催された米国レーザー医学会(ASLMS)で、ヘモグロビンの赤に効果があるレーザー機器が二つ話題に上がっていたことはこのブログにも書きましたよね。

一つは

IPLを光源に利用した米パロマ社 MaxG

もう一つは

KTPレーザーを光源に利用した米キュテラ社 エクセルV

でした。

熟慮の結果、僕はMaxGを購入することにしたのです。

米国皮膚科学会の重鎮で、僕が米国皮膚科学会に入るときに推薦状を書いてくれたEmil Tanghetti, MDは、特に顔面の毛細血管拡張症に関しては、パルスダイレーザーに比べてMaxGのほうが効果が高いと述べていますね。

I believe the StarLux 500 with the MaxG handpiece is just as good if not better than modern pulse dye lasers in the treatment of facial telangiectasia.

MaxGの特徴は、

DUALフィルターによりヘモグロビンと血管に集光しやすい光を選んでいること。

パルスダイレーザー(PDL)に比べて皮膚の深い部位にある血管にも均一に集光できること。

パルスダイレーザーに比べて、照射後の紫斑(内出血)がほとんど現れないこと。

浅く細い血管に対して効果のある500-700nmの波長と、深く太い血管に対して効果のある850-1000nmの波長を、レーザーのパワーとパルス幅を調整することでスペクトラルシフト調節できること。

ということでしょうか。

クリニックFでも、いよいよ赤みの強い患者さんに対して治療を開始しましたが、MaxGは、今年注目すべき機器ですね。


2011年ニキビ跡治療の最新トレンド

アメリカから東京に帰国後は、日々の診療と大学院での勉強に追われています。

診療では、季節の変わり目と震災、その後に続く不安定な日々・・・というファクターが相まって、「心と身体を映す鏡」といわれる皮膚にトラブルが一気に出てしまっている患者さんが、例年に比べ飛躍的に増えている感があります。

熟睡もままならず、自律神経系が乱れるばかりなのでしょう。

この一月余りで一気に老け込んだ気がする、とおっしゃる方も。

レーザー治療ではニキビやニキビ跡、毛穴、若返り適応の機種が一気にフル稼働。サプリメントや点滴の処方も必要に応じて行っています。

先日初診でいらした患者さんが、興味深いことをおっしゃっていました。

「家や車や装飾品、洋服といったものをいくらもっていても、地震のときに持って逃げることは出来ないですよね。身ひとつで逃げる可能性があることを考えると、もっていける財産は自分自身しか無い。自分の健康維持がいかに大切かわかりました。」

これからまたがらっと価値基準も変わっていくのでしょうか。

さて、ここで改めてこの春の学会情報総括を行っておきたいと思います。

毎年春、連続した月に開催される米国皮膚科学会(AAD)と米国レーザー医学会(ASLMS)。

今年は2月にAADがルイジアナ州ニューオリンズで、3月にASLMSがテキサス州グレープバイン開催されたことになりますが、世界のレーザー/光機器メーカーは、この二つの学会に新商品の発表をぶつけてくることが多いのです。

おそらく来年まで新しい機器デビューがないと考えると、この時期が今年の最新情報がすべてそろっている時期とも言えます。

2007年から治療器として最も注目を浴びてきたCO2フラクショナルレーザー治療器。

僕が定期的に目を通す、アメリカの「WebMD the Magazine」という美容健康のサイトがあるのですが、こちらで特集されたアンチエイジング・ブレイクスルーのTOP6の中の見事一位に選ばれていました。

Antiaging Breakthrough No. 1: Fractional CO2 Laser Skin Resurfacing

The antiaging breakthrough of the decade, according to many doctors, is a skin-resurfacing treatment known as CO2 fractional laser therapy. Combining the effectiveness of traditional carbon dioxide lasers — long thought to be the gold standard in wrinkle removal — with a new application technique, it delivers powerful results without the traditionally harsh side effects.

ちなみに第二位は「しわに対するフィラー治療」。第三位は「抗酸化剤」。第四位は「ペプチド」。第五位は「ビタミンA」。第六位は「アンチエイジングサンスクリーン剤」。と続きます。

CO2フラクショナルレーザー機器は、2007年以降、今までも数限りなく機種が発売されてきました。

以前のブログでも書いたのですが、萎縮性のニキビ跡の場合、治療をする以前にどのタイプのニキビ跡なのかを診察することが大切です。

ニキビ跡は、形態的に4種類(ヨーロッパでは3種類)に分類するのが一般的です。

それらは

①Rolling ローリング型

②Ice-pick アイスピック型

③Shallow box-car 浅いボックスカー型

④Deep box-car Type 深いボックスカー型

と、呼ばれています。

①ローリング型とは、丘のようにうねって平らな部位が少ないニキビ跡(Rolling scars are gently undulating, appearing like hills and valleys without sharp borders.)のことを指し

②アイスピック型とは、表面が広く深くなるに従って細くなる円錐状のニキビ跡(Ice-pick scars, also known as pitted scars, appear as round, deep depressions culminating in a pinpoint base; in cross-section, they are shaped like a “v”.)

③浅いボックスカー(箱形の車)型(Box-car scars have a flat, “u-shaped” base. Broader than ice-pick scars, they are round, polygonal, or linear at the skin surface)と、

④深いボックスカー型(Shallow box-car scars terminate in the shallow-to mid-dermis, and deep box-car scars penetrate to the reticular dermis.)

ヨーロピアン・アクネ・グループ(The European acne group (ECCA) )では、

◎ローリング型を「W-shaped」

◎アイスピック型を「V-Shaped 」 

◎ボックスカー型を「U-shaped」

と分類しています。

2011年現在では、アジア人を対象とした場合、上記のどのタイプのニキビ跡治療でも、

「フラクセル3」

がファーストチョイスになりますね。

強いCO2フラクショナルレーザー機器を最初から使用してしまうと、ダメージが多すぎて、その後の治療に結びつきにくい場合があります。

フラクセル3で数回治療したうえで、残存した深いニキビ跡には、フラクショナルRF機器であるe-matrixや、フラクショナルCO2レーザー機器を照射するのがよいと思います。

どの機械が最も効果的なのか?ということをよく美容レーザー機器を使用する同業医師に聞かれるのですが、一定の性能基準を満たしたレーザー機器を購入することを前提とした場合、機器の違い以上に、使用する医師の経験の違いが現れやすい施術ということがいえると思います。

特に治療効果の違いが現われやすいのが、「ニキビ跡治療」ということになるでしょう。


ニキビ跡治療に対するフラクショナル機器の効果比較

おはようございます。

今日も良いお天気になりそうですね。

ブログでは、先月出張したスウェーデン・オランダの出張記が続いていますが、僕は東京におり、今日も朝から四ッ谷のクリニックFで診療しています(笑)。

11月は久しぶりに一度も海外出張がない(予定)月なので、休診日の木曜日と日曜日、祝日以外はクリニックにいるつもりでいます。

だんだん年末に向けてクリニックも混み合ってきました。来院を御予定されている方は、お早めに御予約いただくといいかもしれません。年始はまたヨーロッパでの学会があり、1月中旬くらいからしか診療ができないので・・・(毎年申し訳ありません!)

さて、最近ブログではヨーロッパの風景ばかりでレーザーの話がなかったので、今日は、来年発表しようと思っている演題の1つについて書いておきますね。

クリニックFでは、国際的な視点で見ても、たぶん全世界で確実にトップ10には入るだろうというレベルで、多くのフラクショナルレーザー/RF機器を使用したニキビ跡治療を行ってきました。

フラクショナル治療機器は、2010年の段階で役者がだいぶ出揃った感があり、機器の効果の比較検討を、そろそろ行う必要があると思っていました。

来年の何処かの学会に発表しようと計画を立てて、まず手始めに簡単なデータ取りを行ってみましたので、その中間結果を発表しますね。

クリニックFで、「ニキビ跡」を対象に、2種類以上のフラクショナル機器治療を受けたことのある方を対象とし、下記の調査を行いました。

1 Downtime(施術後のダウンタイム)について

評価指数:短い=1~長い=5 まで

2 Effectiveness(施術者から見た効果)について

評価指数:悪い=1~良い=5 まで

3 Satisfaction Rate 1W(被施術者にとっての一週間後の満足度)について

評価指数:同上

4 Satisfaction Rate 1M(被施術者からの一カ月後の満足度)について

評価指数:同上

ちなみに比較したフラクショナル機器は

■レーザー機器

○アファーム(米国サイノシュア社)

○アファームマルチプレックス(米国サイノシュア社)

○プロフラクショナルXC(米国サイトン社)

○eCO2(韓国ルートロニック社)

○モザイク(韓国ルートロニック社)

○フラクセル2(米国ソルタメディカル社)

○フラクセル3DUAL(米国ソルタメディカル社)

■RF機器

○イントラセル (韓国ジェイシス社)

○e2 (e-matrix) (イスラエルシネロン社)

以上の9機種です。

調査の結果を図にすると、こうなります。

注)サイトンはテスト1週間目で、1ヶ月後のデータがまだ取れていません。

さて、この表から読み取れることは、どんなことでしょう?

効果を考えると

●フラクセル3DUAL eCO2 e2、サイトンプロフラクショナルXCが3.5ポイント以上で、ここまではよい成績を出している、と言えそうですね。

●特にe2は、深いボックスカー型のニキビ痕により効果を発揮しました。

反対にダウンタイムは

●フラクセル3DUAL フラクセル2、アファームが2.5ポイント以下で一般生活に戻れる時間が約1日後と、ダウンタイムが短いということが読み取れます。

●効果と満足度は比例する(当然ですね)。

●ダウンタイムと効果もほぼ比例する。

●一般的に新しい機種の方が満足度も効果も高い。

・・・ということですね。

ちなみに 効果/ダウンタイムの比率も計算してみました。

◎ダウンタイムと比較して効果が高い機種は、やはりフラクセル3DUALと言えそうですね。

◎フラクセル3DUALほどの効果を、他の機種で得ようとすると一般生活に戻るまでの時間が長くなってしまう、ということです。

◎イントラセルとサイトンは一時的にお借りしたデモ機で機種のパラメーターの設定が最適でない可能性があります。

ちなみに

◎イントラセルは、最近コンピューターのバージョンアップデートがありましたので、再度テストさせていただくことになりました。非常に技術力がある若い会社ですので、今後のアップグレードがとても楽しみです。

◎サイトンは、スキャニングシステムなど機器の性能は素晴らしい完成度ですが、2940nmのエルビウムヤグの波長を使用する限り、治療限界がある様な気がします。

◎出血が止まりにくいので、どうしてもダウンタイムが長くなるんですよね。新しい波長の機器が開発されると良いですが・・・。

◎来週、カルフォルニアから本社スタッフが何人かクリニックFを訪問していただけるようですので、より良い使い方がないか、再度ディスカッションしてみたいと思っています。

◎eCO2(エコツー)は、非常に効果が高いのですが、ダウンタイムも長いため、クリニックFではニキビ痕治療器というよりは、リストカット跡や手術痕などの「傷治療」の専門機器になりつつあります。

◎ニキビ跡および毛穴の治療には、2010年の段階では、今年の4月に国内の発売が決まった「フラクセル3DUAL」が欠かせないのではないでしょうか。やはり1550nmの波長に、1927nm(ツリウム)という新たな波長を開発して機器に搭載したことが勝因だと思います。

◎でも、機器が高額なのがレーザー医師泣かせで、玉に瑕ですね(苦笑)。

*************************************************

レーザー/RF機器による比較実験は、世界的に見てもあまりデータがないですので、プロトコールを決定して、肝斑やたるみ治療などのついても今後、検討してみたいと思っています。

技術開発力がある会社は、必ず進歩した機器を発表してきます。得られたデータを冷静にメーカーにフィードバックして、より良い機種を作るために協力したいと思っています。

来年にはどのような機種が発売されるのでしょうか?

楽しみです。


ニキビ痕治療器 イントラセル

ニキビ跡治療器のイントラセル。クリニックFでもデモを始めました。

照射にちょっとコツはありますが、フラクショナルレーザーを使っている感覚で照射できそうです。

ニキビ跡と首のしわに適応があると思っていますので、その症例を中心にテストしました。

クリニックFでかつて新規導入したフラクショナルレーザー機器をすべて照射してもらっているモニターがいますので、照射から3週間後にレポートをもらうことになっています。

症例をとるときのモニターというのは、その疾患があれば誰でもいい、というわけにはいかない、というのが僕の持論です。

施術中に感じたこと、自分に起きている変化、結果として良かったこと、悪かったこと、様々な事柄に対し冷静に分析しながら、適切な言葉で言語化する能力が求められますよね。そうした能力があり、且つその対象となる機器の治療対象に相応しい皮膚をもつ人材というのは僕にとって非常に貴重で、限られた人材の中から毎回お願いするようにしています。

今回も結果が楽しみですね。


カテゴリー